外道クライマー

著者 :
  • 集英社インターナショナル
3.81
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感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797673173

感想・レビュー・書評

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  • 長らく積読本なっていたが、ようやく手に取った。 1990年代から始まった国内の大滝登攀も、剣沢大滝、称名滝が登られ、次は大渓谷のゴルジュ突破の時代になった。 著者は国内を代表する沢屋である。称名廊下や台湾のゴルジェ、タイのジャングルでの46日間の溯行は、その迫真の文章に魂が揺さぶられた。 かつて私も沢登りに狂い、台湾の未踏の渓谷にチャレンジしたこともあったが、この本は見事に沢屋の本心を表現してくれたと思う。 写真や溯行図をもっと見たかったが、それを置いても、山の本では数少ない沢登りの記録として貴重である。

  • セクシー登山部の、舐め太郎。「山ヤ」として相当の力量(日本で15番目くらい?)を持ちながら、あえて格下とされる「沢ヤ」を標榜する数奇者。しかし、それは「山ヤ」が「沢ヤ」より偉いのかという反骨精神の表れでもある。かつて、登攀とは、その頂きの天辺を踏むことにあった。しかし、より高く、より困難な(単独、無酸素等)それは、今日日もう無いのではないか。舐め太郎に言わせれば『企業のロゴ入りの服を着て登るなんてダサいことはやれない。重役風の男と握手をする写真をブログに載せ「登山家」「冒険家」なる職業を名乗っている男など100パーセント、パチモン』なのである。より高く、より困難な登攀など、もはや「山ヤ」の郷愁でしかない。舐め太郎が外道であることは、いっそ道を外れることで、世界にまだまだ、より面白く、より刺激的な登攀が残されていること、それを示すことにあるのだ。

    巻末の角幡唯介の解説がとてもよい。
    http://honz.jp/articles/-/42617
    「どんなに行儀の良さを装ったところで、登山をはじめとする冒険行為一般は、反社会的であることから免れることはできない。」

  • 沢登りの話。
    そう言えば覚えています。那智の滝を登ろうとして逮捕された人。ニュースになりました。

    まさか、その人の本とは知らず…。
    ちょっとこういう人とは友達になれないなぁという感じの人柄。

    冒険としては面白いけど、イマイチ沢に興味がわきませんでした。
    おわり。

  • まさしくイカレポンチ。
    沢ヤのヤはヤクザのヤ?

  • 椎名誠の無頼漢の群像と、新田次郎の孤高の冒険家、双方の要素を併せ持つ人たち。読む限り、本当に命がけの行為を行っており、ここまでやるからには貫き通して燃え尽きていただくのも人生かなと思う。

  • ほんとに、世の中には、いろんな人がいるなあと…。先週著者の方がテレビに出演されていて、映像で沢登りを見ましたが、自分には、技術とか体力の前に、まず勇気が出ない。まったく違う世界。不思議だ…。

  • 危険だと諌められても、ならぬと禁じられても、冒険に身を投じる著者。
    登攀技術の高さはもちろん、サバイバル能力の高さ、運の強さも凄い。
    未踏の地を踏みたい、登りたい、という欲求に極めて素直に従う姿は、清々しくもあったり…。
    でも、ダメと言われたトコロは、登っちゃダメじゃないか?

  • 高野秀行さんが「早くも今年度ベスト1」と絶賛し、アマゾンの20件近いレビューはすべて☆五つ。探検・冒険ものは好きなジャンルでもある。それでも、これはちょっと…。

    いや、おもしろいのはわかる。著者は、「沢ヤ」を名乗り、昨今の軽くてお行儀のいい登山やアウトドアブームに唾を吐きかけ、「反社会的行為」としての山登りを前面に押し出すスタイルをとっている。その露悪的と言っていいほどの徹底ぶりは、タイトルからも明らかだ。はっきり言って下品なんだけど、妙なユーモアと魅力があるのだ。

    主に綴られているのは、46日にも及ぶタイのジャングルでの沢登りと、日本最大の滝である称名滝登攀の記録だ。これがもう、よくぞまあ死なずに帰ってきたものだという壮絶さ。その迫力には有無を言わせぬものがある。

    それでも小声で言わせてもらえば、わたしはやはりマッチョは苦手。「力」というものにどうしようもなく惹かれていくのは人のサガだと思うが、それは人間の一側面でしかない。マチズモはそこが肥大しているわけだ。著者の破壊的なエネルギーや情熱には痛快さもあるが、胸がざわざわするような違和感を感じずにはいられない。ちょっとしか出てこないが、女性の描き方ははっきりと不愉快だ。

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