冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場

著者 :
  • 集英社インターナショナル
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797673319

感想・レビュー・書評

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  • 2017.1.16読了。社会の不条理は「喜劇」として笑い飛ばす態度こそ、倫理的かつ建設的なのだという逆説。


    国民もまた、司法組織というものに「けしからん」「許せない」「我慢できない」「我々をもっと安心させろ」といった、負の感情を背負わせている。

    「取り調べが可視化された場合、一部の国民が『こんなのは甘い、もっとひどい目に遭わせろ』と言い出しかねないのが怖い、という司法関係者もいる」



    不可思議千万なる現象
    ・無実の証拠となりうる「防犯カメラ映像」の存在を警察に知らせてはいけなかった!
    ・「奥さんが知らない場所で生活して、最低でも半年間は家族と接触しない」という念書。取り交わすと、警察に従順で迷惑をかける人間に非ずという証拠になる!

    裁判所というのはもはや人権を守る最後の砦ではなく、「国家権力を守る最後の砦」だということ(周防正行)

  • 冲方丁さんが逮捕されたとは存じませんでした。
    多分ニュースだけでみたら、信じてしまっていたでしょう。
    小説や映画と言ったエンタメで知ったつもりになっている公権力は全然違うものだった。
    公権力の恐ろしさを描いた作品もあるけれど、そういう恐ろしさとは違う気がする。
    怖い。

    そんな中でずっとどこか客観的な視点を保てて、話す内容が一貫しているというのがすごい。
    事実だから仕方ないけれど、じゃあ実際なぜこんな事に?という部分がハッキリしない事、そしていまだお子様と会えていないという現実に及ぼした影響が後味が悪いしモヤモヤする。

    こうして発表できる方だからまだマシなのか、これもまた一方だけの意見だから全てではないのか、何が本当なのかわからない。

    自分には無関係と思ってしまうし、どこかで警察を信じている自分がいるが、そういう態度が公権力への圧力とエクスキューズになると思うと…。

    信頼できる弁護士さんを探せるのか
    黙秘する
    サインはしない

  • 【抱腹絶倒の喜劇?】
    そうしてしまいたい冲方さんの気持ちが感じられるけれど、なかなかそうもいかない、後味悪い感じの読後感。何でしょう、思考停止とはまた違う、例えるなら…いじめが起こっているのに声を上げずに静観している自分をみているような気分…?

    外からは見えなかった事実が、本や映画で少しずつ見えてきた今。
    とにかく、関心を向けること。
    まずはそこから行動を変えていきます。

  •  貴重な体験談だが,『それでもボクはやってない』を観ていれば,それほど新しい情報はないかも。過酷な経験を喜劇として語れるのはフィクション作家ならではだと思う。しかし,著者ほどの社会的地位にありながら,弁護人に恵まれたのが純粋な偶然であることは驚き。出版社が顧問弁護士を手配するとかないんですかね?結果オーライとはいえ,その点が気になりました。

  • 作家の冲方丁が、身に覚えの無い 妻へのDV容疑で逮捕され、9日間勾留ののち釈放され、正式に不起訴になるまでの戦いを おもしろおかしく描いた作品

    非常に怖いです。
    火の無い所に煙は立つんだ‼︎ ゾッとした。

    もし逮捕されたら、黙秘 調書にサインをしない
    気をつけよう

著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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