知の仕事術 (インターナショナル新書)

著者 :
  • 集英社インターナショナル
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797680010

作品紹介・あらすじ

反知性主義の流れに抗し、知識人という圧倒的少数派へ読者を導くために、これまでの作家活動から会得した池澤流スキルとノウハウを初公開。現代を知力でサバイバルするための実践技術を学ぶ。

感想・レビュー・書評

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  • 「はじめに あるいは反知性の時代の知性」

    しばらく前から社会に大きな変化が目立ってきた。(略)議論はない。その代わりに罵倒の応酬があって、それでことが決まってゆく。社会を分断する力は強いのに、まとめる動きは弱い。分断はただ数だけの多数派をつくり、彼らが数に乗じてすべてを決める。少数意見は無視され、時には炎上の対象になる。

    ものを知っている人間が、ものを知っているというだけでバカにされる。ある件について 過去の事例を引き、思想的背景を述べ、論理的な判断の材料を人々に提供しようとすると (これこそが知識人の役割なのだが)、それに対して「偉そうな顔しやがって」という 感情的な反発が返ってくる。(略)こういう人たちの思いに乗ってことは決まってゆく。この本はそういう世の流れに対する反抗である。反・反知性主義の勧めであり、あなたを知識人という少数派の側へ導くものだ。(8-10p)

    「はじめに」で池澤夏樹は挑発している。私も全面的に同意する。カチンときたなら、この本をキチンと読んで反論して欲しい。ちゃんと事実を下に、思想的な背景を述べ、論理的な判断を下に、議論をしようじゃないか。出来るだけ目と目を突き合わせて。

    技術的な部分は、実はあまりびっくりするようなことは書かれていない。と思うのは私だけで、情報を集めて、知識の整理だけで生きていて、思想を持とうとしていない人たちには、頭の痛い所が多分にあるのかもしれないとも思っている。

    ノンフィクションの場合は、目次は丁寧に見るべきだと著者は言う。本の構成を頭に入れて読むべきらしい。本当の目次には小見出しも付いているのだが、めんどくさいので、章立てだけ載せる。これで、少なくとも技術的な問題はキチンと書いているだろうと予測できるだろう。
    <目次より>
    1 新聞の活用
    2 本の探しかた
    3 書店の使いかた
    4 本の読みかた
    5 モノとしての本の扱いかた
    6 本の手放しかた
    7 時間管理法
    8 取材の現場で
    9 非社交的人間のコミュニケーション
    10 アイディアの整理と書く技術
    11 語学学習法
    12 デジタル時代のツールとガジェット

    ところが、この本の評価が分かれるところだと思うのだが、ハウツーものかと思っていたならば、後半はたいてい脱線して文化エッセイになるのである。私はそういう「脱線」を通じて、知識人が基本的に持っている「思想」並びに「教養」の正体を示していると考えるので、評価するのである。

    2017年2月読了

  • 知の仕事術というと、なんだかすごくお堅い本か、ビジネス本のようなスーパー実利的な感じかを想像するが、そんなことはなく、プライベートなことをあまり明かさなかった池澤夏樹さんが、歳もとってきたしある程度柔軟に、個人的な範疇のことも明かしましょう(考え方の種明かしをしましょう)というような趣旨のさらさらっと読める本。

    基本的には池澤夏樹ファンが、涎をだして読むようなファン向けの本である気がします。

    書いてあることはなかなか要素的には面白いと思います。
    日本の書評は短すぎるし対象を書評者が選べないのも不自由だということで、書評者が対象を選択し、字数制限を多くした話など、へぇー、そもそもはそんな制限があるんだなーと感心します。
    意外と電子的なことにも積極的にコミットしていたり、Kindleもかなり早めに手にいれているよう。バイタリティ溢れて色々なことに好奇心を抱くアクティブな筆者の像が目に浮かびます。(人嫌いだそうですが)

    私は、池澤夏樹のことほとんど知らないので、(名前は有名なので知っていますもちろん。著作を知らない。福永武彦のお子さんだということをこの本で初めて知り、結構驚いた)この本を読むことで人となりをなんとなくわかって有意義だったけど、アイドルなどがインタビューされているような、読者が筆者好きなことを前提のような雰囲気が時々漂っていて、少し胸焼けするような気分になる部分もありました。

    全体的には知的層が厚く、気づきになるような要素が徒然に書かれていて、面白い本だとは思います。

  • 池澤夏樹さんとは2度、お会いしたことがあります。
    1度目は札幌での講演会、2度目は岩見沢での講演会。
    岩見沢での講演会では、主催者の方に案内されて池澤さんの控え室へ行き、ご挨拶することもできました。
    主催者の方は、「末永さんも小説を書く方なんです」と余計なことを云いました。
    芥川賞を受賞してデビューし、その後も数々の小説、エッセーなどを世に出し、さらには世界文学全集、日本文学全集の編集までしてしまう池澤さんからすれば、たかが一地方の文学賞を取ったに過ぎない自分など、小説を書いているうちに入らない。
    私は恐縮しきりで、ひたすら頭を下げるだけでした。
    で、たまたま寄った本屋で見つけたのが本書。
    「池澤さんは、こんな本まで書くのか」と珍しくて手に取った次第。
    「自分の中に知的な見取り図を作るための、新聞や本との付き合いかた、アイディアや思考の整理法、環境の整えかた」(本書そでの説明文より)を分かりやすく教えてくれます。
    それも大変ためになりますが、私は池澤さん個人のこだわりを面白おかしく読みました。
    本書でも書いていますが、池澤さんって個人的なことはこれまでほとんど書いてこなかったのですよね。
    たとえば、池澤さんは喫茶店や図書館では本を読まないそう。
    何故なら「集中できない」から。
    分かります、自分もそうだから。
    気付いたら同じ行をもう一度辿っていたなんてこともしばしばです。
    池澤さんは本をフローとストックというふうに分けて考えていて、たとえば作品を書くために使った本は潔く手放してしまうそう。
    本棚の中身も定期的に入れ替えていると云いますから、なかなか徹底しています。
    私は蔵書が1千冊近くありますが、なかなか捨てられません。
    本書で紹介されている、書評の数々も実に面白い。
    特に、冨山太佳夫評「新グローバル英和辞典」は、それ自体が愉快な読み物でした。
    ものを書く人には、大変にためになる1冊でした。

  • 非常に心地よく読めた一冊だった。特に文章の美しさが際立っていて、小説でもないのにすらすらと読めた。筆者の仕事の進め方が細かく書いてあったが、この年代の作家さんでも結構最新のガジェットを使い倒していることに驚いた。

  •  一流のプロの書き手が自らの「知的生産の技術」を開陳した本は、数多い。私も仕事柄、その手の本をわりとたくさん読んできた。
     その中からオススメを挙げるなら、立花隆の『「知」のソフトウェア』と、ノンフィクション作家・野村進の『調べる技術・書く技術』である。この2冊を超える本は、いまだにない。

     本書は、個人で文学全集を編むなど、碩学として知られる作家・池澤夏樹が、自らの「知のノウハウ」を開陳したもの。
     池澤は「芥川賞作品を初めてワープロで書いた作家」であり、元は理系の人だからITとかにもくわしそうだし、画期的な技術が披露されるのではないかと、大いに期待して読んだ。
     
     が、かなり期待はずれ。
     「仕事術」と銘打ちながら、内容は7割方「読書術・読書論」でしかない。しかも、読書論としても陳腐で、ほとんどあたりまえのことしか書かれていない。

     終盤(全12章中の第10章)の「アイディアの整理と書く技術」に至って、やっとタイトルに即した内容になる。
     ……のだが、そこから先も、参考になるノウハウ(=「私も取り入れたい」と思うようなこと)は一つもなかった。

  • この本に続いて、池上彰さん&佐藤優さんの『僕らが毎日やっている最強の読み方』を読みました。
    似たような方針なので、続けて書きます。

    このお三方の共通するところは「反・反知性主義」だと思います。
    新聞・本・雑誌・ネットを活用し、
    忙しい中上手に時間を管理し、
    資料の整理整頓も上手。

    池澤夏樹さんが池上さん佐藤さんと大きく異なるのは
    「埼玉大学理工学部物理学科中退」というところ。
    なんで卒業しなかったのか、気になります。

    そしてこの本に彼の理系っぽさがちょこちょこ出ています。
    整理整頓の工夫や、新しいハードウェアを積極的に利用していること、
    そして池上&佐藤より「古典がちょっと苦手そう」です。

    でも次の二点が、池澤さんの中の文系っぽい部分で、
    とても面白かったので、ここにのこしておきます。

    ●読書とは、その本の内容を、自分の頭に移していく営みだ。
    きちんと読んだ本はその先、自分が物を考えるときに必ず役にたつ。
    「あの本の作者が言っていたことが、いまここで応用できるな」という場面が増え、
    言ってみれば世間との対立の場でも力強い武器となる。
    そして役に立つ本が増えれば増えるほど、
    物の見方が複眼的になり、
    うまく物が考えられるようになっていく。
    これはディベートで相手を負かすためでも、
    物知りぶって威張るためでもなく、
    自分なりの世界図を自分の中に構築するために必要なこと。

    ●そもそも人類は狩猟・採集を捨てて農耕など始めたのが間違いだった、
    まして都市を築いて文明など作ったのが大間違い。
    狩猟と採集ならばのんびりと遊び半分で暮らしていけた。
    どうしても食料が不足したときは飢えて死ぬだけのこと。
    他の動物はそれで満足している。
    それなのに農業を始めて、穀物という備蓄可能な食料を得た。
    備蓄可能はすなわち強奪可能だから戦争というものが始まった。
    余剰の穀物を一ヵ所に集めて、人を集めて、都市が生まれる、
    この高密度の社会が生み出す文化を文明と呼ぶ。
    それに追いまくられて必死で働かされているのが我々。
    いまさらもとには戻れないけれど。

    池澤さんは基本的に締め切りは守るようにしているそうです。
    制作側の事情がよくわかっているから。

    来年から新聞の連載が始まるとありました。
    朝日新聞ならいいな。

  • 池澤夏樹(1945年~)氏は、北海道生まれ、埼玉大学理工学部中退の小説家、詩人。ギリシャ、沖縄、フランス(フォンテヌブロー)に在住経験あり。『スティル・ライフ』で芥川賞(1988年)を受賞したほか、多数の文芸賞を受賞。個人編集の「世界文学全集」、「日本文学全集」の刊行は話題を呼んだ。紫綬褒章、フランス芸術文化勲章オフィシエ受章。
    本書は、小説のほか、書評・時評の執筆、翻訳、文学全集の個人編集など、文芸分野で幅広く活動する著者が、自らの知的生産術を綴ったものである。
    章立ては、1.新聞の活用、2.本の探しかた、3.書店の使いかた、4.本の読みかた、5.モノとしての本の扱いかた、6.本の手放しかた、7.時間管理法、8.取材の現場で、9.非社交的人間のコミュニケーション、10.アイディアの整理と書く技術、11.語学習得法、12.デジタル時代のツールとガジェット、で、知的生産に関わるテーマは一通りカバーされているが、類書には無く、参考になった点は以下である。
    ◆本の新刊広告の表舞台は、新聞一面下段のサンヤツ(三段八割)。各出版社が出しているPR誌のページ左端には、新聞広告スペースを買えない小さな出版社のここでしか出会えない情報に遭遇することがあり役立つ。
    ◆ノンフィクションの場合、目次は本の内容全体を表しているので、本文を読みだす前に頭に入れておくと理解度が変わってくる。解説や翻訳本の訳者あとがきも、難解な本を読む場合には先に読んだ方がいい。
    ◆本は私的な所有物であると同時に公共財であるという意識があるため、いずれ手放すという意識で本を扱う。よって、マーキングは6Bくらいの鉛筆で、消そうと思えば容易に消せるように行う。それは、自分なりの本に対する敬意。
    ◆読書(本)は「ストックの読書」と「フローの読書」に分けて考える。フローの読書に当たる本については、「キャッチ・アンド・リリース」する、即ち、自らの知的レベル・好奇心に応じて、(蔵書を)随時「更新」していくことが重要。
    ◆海外を本気で旅する際(取材など)には、「地球の歩き方」、「ミシュランガイド」より「ロンリープラネット」が重宝する。
    また、ハウツーの詳細のほかに、「はじめに」に書かれた次の件が印象に残った。
    「しばらく前から社会に大きな変化が目立ってきた。人々が、自分に十分な知識がないことを自覚しないままに判断を下す。そして意見を表明する。そのことについてはよく知らないから、という留保がない。もっぱらSNSがそういう流れをつくった、というのは言い過ぎだろうか。ツイッターが流す「情報」をろくに読みもしないで、見出しだけを見て、「いいね」をクリックする。それで何かした気になって、小さな満足感を味わう。・・・ものを知っている人間が、ものを知っているというだけでバカにされる。ある件について過去の事例を引き、思想的背景を述べ、論理的な判断の材料を人々に提供しようとすると、それに対して「偉そうな顔しやがって」という感情的な反発が返ってくる。彼らは教えてなどほしくない。そういうことはすべて面倒、ぐじゃぐじゃ昔のことのお勉強なんかしないで、この場ですぱっと思いつくままにことを決めようよ。いまの憲法、うざいじゃん、ないほうがいいよ。さっくり行こうぜ。こういう人たちの思いに乗ってことは決まってゆく。この本はそういう世の流れに対する反抗である。反・反知性主義の勧めであり、あなたを知識人という少数派の側へ導くものだ。」
    知性を否定する(「反知性主義」の本来の定義とは少々異なる)こうした風潮が、今や世界中を覆い、世界を動かしつつあることに、私は著者と同じく強い危機感を持っているが、著者の思いに反して、そうした人々に限って本書を手に取ることはないだろうと思うと、暗澹たる気分になる。
    文芸分野でマルチな活躍をする池澤氏が、反・反知性主義を勧めるべく書き下ろした知的生産術である。
    (2022年9月了)

  • 作家・詩人・翻訳家として知られる著者が、初めて自らの仕事に関わって書いた本。知人に教えてもらって手に取りました。

    池澤さんの時代に対する見方が、「はじめに」(あるいは反知性の時代の知性)に書かれてあります。生きるために大切なことが3つ(①情報②知識③思想)あり、それをいかに獲得し更新するに自らの工夫していること(新聞の活用・本の活用・アイデアの整理と書く技術等)を整理して読者に投げかけていく構成です。

    自分なりに「ものの見方・考え方」を持つこと、そのための知恵や工夫・技術を身につけること・継続させることなど、いろいろと考えるきっかけを与えてくれたように思います。新聞に出る書評記事など、これまでほとんど読まずだったのですが、注目してみようと思いました。

    なかなか面白い本です。みなさんもぜひどうぞ。

  • 池澤夏樹の仕事術。前から仕事の幅の広い人だなとはなんとなく知っていたけど、その仕事が垣間見られた。

    保育園落ちた日本死ね!!!の全文をちゃんと読んだのは初めてだったけど、確かにタイトルだけで受ける印象とは違う。

    生きるためには1.「情報」、2.「知識」、3.「思想」が必要。

    新聞やインターネット、本との向き合い方などなど。「はじめに」だけでも読んでよかったと思える。

  • タイトルはビジネス系のようだが、小説家の「知のノウハウ」なので半分以上が読書に関する内容であった。
    本書が陳腐化しているというよりも、この手の本を何冊も読んできたせいか、新鮮味がなくなってきた。本質的なところは、共通しているところが多いということだと思う。

    ・人間にはもともと知的好奇心がある。「知りたい」しいという気持ちが、人を動かしている。身体が食べることで新陳代謝を行うのと同じょうに、脳の中は、知的な食べ物の摂取と不要なものの排出によって常に新しくなっている。その入れ替えを意識的に行いたい。生きるためには、軽い順に一「情報」、ニ「知識」、三「思想」が必要だと考えてみよう。
    ・「情報」はその時々に起こっていること、起ころうとしているこし。いわば日付のあるデータだ。たったいまの世の動きを知るにはこれが欠かせない。
    ・「知識」はある程度まで普遍化された情報、しばらくの間は通用する情報であって、普通にものを考えるときにはこれが土台になる。その一方で知識もまた変わりゆくから更新が必要で、古いものは信頼性が低くなる。
    ・「思想」しは、「情報」や「知識」を素材にして構築きれる大きな方針である。個人に属するものもあり、多くの人々に共有きれるものもある。それ自体が人格を持っていて、成長し、時には統合され、また分裂し、人類ぜんたいの運命を導く。「哲学」や「宗教」まで含む大きな器。
    ・これらをいかにして獲得し、日々更新していくか。かつて学んで得た知識を、いかにアップ・トウ・デートしていくか。現代を知力で生きていくスキルを整理してみることにする。
    ・まず日頃からできることとして、日刊紙を読むことを提案しよう。ハは話すときには感情に流されがちだが、書くとなるし論理的になる。紙面に収まる量には制限があるから、どうしてもエッセンスだけを抽出しなければならない。新聞ならば見出しを見た上で、精読に価するかどうか判断して読める。自分の側に判断の余地がある。世の中に向かうしきに大事なのは、「何が答えか」ではなく、「何が問題か」というほうだ。
    ・(直接的な記載はないが著者のお薦めは毎日新聞と思われる)
    ・先に、生きていくには「情報」と苅識」と思想」が必要であると述べた。それらの源泉の一つが本だ。
    ・本を探す手段として、まず新聞広告が役に立つ。各出版社が出しているrx誌がももこれは年間購読しても送料ともで千円程度という価格で毎月届き、けっこう読みでがあるから、お買い得だと思う。集英社だし「青春し読書二角uは「本の旅人「新潮社は「波岐文春は「本の話「講談社は「本一などなど。たいていは自社のその月の刊行物について、誰かが書評やエッセイを書くという記事が多く、後ろのほうはだいたい連載が載っている。岩波書店の「図書一は、自社の本についての文章はほとんど載せていない。
    ・毎日新聞の書評欄は他紙と異なり、書評委員に任期がない。さらに書評も2千字と分量も多く、書評委員自らが書評したい本を探して取り上げる。この方法を四半世紀続けている。書評は日曜版に載っているので日曜版だけでも購入する価値はある。
    ・広く書評を読んでいると、そのうちご贔屓が出てくるだろう。これは本に限らず、芝居を観るのでも音楽を聴くのでも同じで、いわゆる評し呼ばれるものを、最初は広く浅く眺めるのでいい。そうしているうちに、この人はセンスがいいな、という誰かが見えてくる。自分に合う書評家が自然と見つかるものである。
    ・最もアイデアが湧くのは、実は書いているときだ。書くというのはすなわち考えることで、時間をかけて少しずつ構築してくような大きなグランドデザインであっても、書さながら考えることがほとんどだ。
    ・例えばエンターテインメント小説のように、冒頭から読み始めて、読み続けて、読み終わる類いのものなら、電子書籍でもいい。つまり一直線に一回読んでおしまいのものぼ、電子書籍でも読める。一方、行きつ戻りっしながら、中身全体を自分の頭に移す読書をするときはまるで役に立たない。

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著者プロフィール

1945年生まれ。作家・詩人。88年『スティル・ライフ』で芥川賞、93年『マシアス・ギリの失脚』で谷崎潤一郎賞、2010年「池澤夏樹=個人編集 世界文学全集」で毎日出版文化賞、11年朝日賞、ほか多数受賞。他の著書に『カデナ』『砂浜に坐り込んだ船』『キトラ・ボックス』など。

「2020年 『【一括購入特典つき】池澤夏樹=個人編集 日本文学全集【全30巻】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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