キャズム: ハイテクをブレイクさせる超マーケティング理論

  • 翔泳社
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本棚登録 : 1978
感想 : 159
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  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798101521

作品紹介・あらすじ

ドリームキャスト、PC98、レーザーディスクはなぜ、市場から消えたのか。すべての答えは、ハイテクの落とし穴キャズムにあった。

感想・レビュー・書評

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  • 近年のマーケティングの重要単語ということで読んでみたが、このキャズムは、IT・ハイテク製品についてあくまで論じているのであって、どんなサービスや製品にでも乗り越えるべきキャズムが存在するとは明言していない。
    ハイテクマーケティングにおいては、確かに、early adopterからearly majorityへと市場が広がりを見せるのに、大きな溝が存在するのは感覚的にもわかる。なぜなら、ハイテク製品においては、個々人がこれまでに持ち合わせていない知識を新たに習得するという作業が含まれるからだ。これにより、消費者の参入障壁があがるにちがいない。

    ■テクノロジー・ライフサイクル
    「いつ、(電気自動車)を購入しますか?」という問いに対する答えで、消費者がテクノロジーライフサイクルとどのようにかかわっているかを推量することができる。
    テクノロジーライフサイクルとは、新たな製品が市場でどのように受け入れられていくかのサイクルのことだ。
    そして、人々の行動様式に変化をもたらすような製品は、一般的に不連続なイノベーションとよばれる。逆に、製品の通常のアップグレードのみで、行動様式に変化を起こさせないものを連続的なイノベーションとよぶ。
    ハイテク産業においては、この不連続なイノベーションが起こる頻度が高い。
    よってキャズムが生じる。

    ■キャズムがあらわれるところ
    小さなキャズム(クラック)は、それぞれの階層に移行する際に生じるが、その中で最も大きいものが前述のearly adopterとearly majorityとの間である。
    early adopterは、「変革のための手段」を購入しようとする一方、early majorityは「生産性を改善する手段」を購入しようとする。このような購入目的の大きな違いがキャズムの要因である。
    (会社のシステム導入担当者を想像するとわかりやすい)

  • 初版刊行が1991年であるのに内容が全く色褪せず、そして多くの企業がこの戦略を理解して対応していればせっかくの製品がもっと埋もれずに済んだのではと思わされる。
    ハイテク分野の製品ライフサイクルについてのものであるが、ハイテク分野のみならず、今まで市場になかった商品やサービスを広めようとしている企業にとっても参考になるところは多い。
    それらの価値を認めてくれる一部のファンのものから大衆的な性質のものにするにはどうすればよいかを考えさせられる。
    そのためにはニッチ市場を橋頭堡とし、拡大を図ると書かれており、それも闇雲に狙うのではなく、ここぞというところに目をつけて絞り込むべき、という戦略が詳細に述べられている。
    表紙の見返しに「あなたの製品(サービス)がキャズムを越えられるかどうかのテスト」として本文で取り上げられているエレベーターテストの内容が載っているが、本文を読むまではこの意味がわからず、ありきたりの文のように思えたが、本文を読むと橋頭堡を作るために必要な要素が詰まっていることが理解できる。
    実際に世に送り出そうとしている製品や商品の戦略に困ったら、その状態と照らしあわせて参考にしたい内容である。

  • 最初に読もうと思ってからだと、10年以上経っていると思います。

    この本を読んで、キャズムについて、いろいろ勘違いしていたことや、かなりの理解不足であったことがわかりました。
    そしておそらく、「キャズム」を口にする人の多くは、この本を読む前の自分同様、キャズムに関して勘違いしていたり、理解不足だったりするのではないかと思います(そういう人たちとの会話から察するに)。

    アーリー・アダプター(ビジョナリー)と、アーリー・マジョリティ(実利主義者)の間の溝(キャズム)の発生は、ある種、必然ではあるものの、そこを超えられる可能性はあり、この本では、キャズムを超えるための方法が、丁寧に説明されています。
    とはいえ、その方法を実行するのは、決して簡単ではなく、しかも、リソースや組織のあり方の変更も含めた方法であることを考えると、かなりハードルは高いと思います。
    ただ、信憑性はありそうな方法なので、試してみる価値はありそうです。

  • 課題図書。
    ふんわり理解だったキャズムの解像度が上がった。実利主義者の取り込みが大事だけどどうやるのさ〜というのに答えていてよかった。
    ホールプロダクトってこの時代から言われてた概念なんだなーと勉強になりました。

    セールス周りのところは流し読み

  • 新規事業を立ち上げ、売上が立ってくる。その後に訪れるキャズム(=溝)を越える事が大変である。について書かれた、マーケティングの古典。

    20年ぶりに再読したが、事例は古くとも普遍性は変わらない。

    2014年に事例を刷新したver.2版がある。

    @BizHack1 #キャズム
    https://amzn.to/3DpPYl2

    2023/08/05

  • 翻訳本特有の読みづらさ、言い回しの難しさはあるが、企業経営として面白い

  • 以下を詳細に知りたい人は読めばいいと思うが、ネットにある情報を得るだけで良いような気もする。

    ・キャズム理論のグラフ
    ・アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間に溝があり、飛び越えるのが困難

  • キャズムについて改めてしっかり認識しておこうと思い読書。

    メモ
    ・キャズムを越えるためには、メインストリームの入り口であるアーリーマジョリティに存在をアピールすることが不可欠です。

    そして、アーリーマジョリティにアプローチをすることによってキャズムを乗り越えるということが1つの正攻法であるとも言えます。

    アーリーマジョリティにアプローチをするためには以下のことが不可欠です。

    ・利用する際のリスクを最小化する
    ・数字を提示する
    ・実績を強調する

  • 改めて自分の事業がChasmに達していないことが確認できた。
    考えてみると、メジャーデビュー直前で頓挫したミュージシャン時代もそうだった。ライブ活動と度重なるオーディションを勝ち抜いていたあの状況は、この本の文脈に沿うと初期市場から受け入れられていたと言うことか。

    大きな金銭的リターンが得られていないところを見ても明らかだが、僕はまだキャズムを超えたことがない。

  • 返却期限が来てしまったことから、後半は飛ばし読みしてしまった。様々な製品がうまくローンチできない状況を非常によく説明していると感じた。キャズムという状況について説明しているだけかと思ったが、さらにその状況を打開するための方策にまで言及されていて、非常に良書だと思う。

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著者プロフィール

破壊的テクノロジーがビジネスと組織運営に与える影響と企業がとるべき戦略をテーマに、著述と講演を続け、スタートアップと大企業の双方に助言をしている。複数のベンチャーキャピタルを支援するとともに、コンサルティングやトレーニングを手がけるキャズムインスティチュート、キャズムグループ、TCGアドバイザーズの名誉会長を務める

「2017年 『ゾーンマネジメント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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