イノベーションへの解

  • 翔泳社
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798104935

作品紹介・あらすじ

本書では、新事業を予測通り発展させる立場にあるマネージャーに指針を与える。収益ある成長事業の構築とは、あまりにも膨大なテーマである。そのためここでは、成長を生み出すためにあらゆるマネージャーが下さなくてはならない、九つの意思決定に的を絞った。これらはイノベーションのブラック・ボックスのなかで成功するための重要な決定である。

感想・レビュー・書評

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  • イノベーションとは、日々顧客と接する中で生まれてくること。そして、そのイノベーションを育てていくためには、マネジメントとしてどうあるべきかを考察する。

  • 破壊的イノベーション(新市場型、ローエンド型)、持続型のイノベーションに関する解説
    顧客のニーズをつかむのではなく、顧客の用事(できれば片付けられないもの)をつかみ、金を支払って解決する意思があることが必須
    破壊的イノベーションはすぐに上位市場への移行を検討するべき。
    ゆくゆくは相互依存的なアーキテクチャではなく、モジュール型のアーキテクチャを検討するべき
    資源、プロセス、価値基準から組織の能力は決まっており、プロセス、価値基準が有意であれば、それを統合する必要はない。統合しても良いケースは資源が有意である時のみ。

  • 前著「イノベーションのジレンマ」が企業の競争戦略・成長戦略における“問題提起”及び“問題(現象)の構造化、理論構築”を担う内容だったのに対し、本著はまさにその問題に対してのいくつかの解を示してくれている。この2冊はそれぞれで読んでも非常に価値が高いが、言うまでもなくどちらも読むべき、あまねくビジネスマンにとっては必読書と言える。
    特に日本にいる私達にとって、日本経済の成熟、国内産業の成熟化が進み、情報技術革新が劇的スピードで進歩する今、本著に描かれている「戦う知恵」無くして戦場(市場)に向かうことのリスクは計り知れない。
    一筋縄に全てを瞬時に理解できるような代物ではないが、時間をかけてでも、少しずつ咀嚼しながらでも読むべき本。読むことに遅すぎることも早すぎることもない。
    破壊的イノベーションによる破壊的事業を作るためのマーケティング、製品(サービス)、組織、戦略、資源と言ったあらゆる面で必要な考え方が詰まった至極の一冊。

    ・イノベーションのプロセスにおける中間管理職の重要度…様々な階層から集められる十分に熱し切れていないアイディアを形にして、資金獲得の為経営層にかけあう
    ・株価を動かすのは成長の方向性ではなく、企業の収益率やキャッシュフローにおける予想外の変化である
    ・新しいアイディアが、一部の既存企業にとって破壊的イノベーションでも、別の一部にとって持続的イノベーションであるようならば、今すぐそのアイディアを取り下げるべきだ
    ・2つの破壊
     「新市場型破壊」第3次元に新しいバリュー・ネットワークを生み出す破壊
     「ローエンド型破壊」最も収益性が低く、ニーズを過度に満たされた過保護な顧客=ローエンドを攻略する破壊
    ・3つのリトマス試験
     →それをやる上での不便さが存在していたか?
     →ローエンドに安かろう悪かろうでも喜ぶ客がいるか?利益は確保できるか?
     →すべてのプレイヤーに対して破壊的であるか?
    ・マーケティングの鍵となる分析単位は「顧客」ではなく「状況≒用事」
    ・なぜマーケティング担当はそれでも属性ベースの市場分析を進めるのか
     →的を絞る事への恐れ
     →定量分析の要求(いずれも企業の資源配分プロセスに関わる)
     →多くの小売チャネルが属性に基づく構造を持っている
     →広告の経済学
    ・顧客はやりたくない用事には手を出さない。既に片付けようとしていた用事を効率化してくれるものには手を出すだろう。
    ・高いコミットメントと柔軟性を同時に獲得するため、破壊的技術を経営に対しては機会<脅威とインプットし、しかし主流市場への押し込みを避けるため、新規組織において機会>脅威として事業化の責任を課す
    ・市場における製品性能水準が十分でない場合は相互依存型のアーキテクチャが競争優位を発揮する
    ・コモディティ化がバリューチェーンのどこかで作用している時、必ず脱コモディティ化という補完的なプロセスがバリューチェーンの別の場所で作用している
    ・競争優位を発揮する上で「コア・コンピタンス」であるかどうかということは、これから金が向かう場所に滑走していく能力の決定要因ではない。
     →競争力は、単に得意だと自負する業務を行うことではなく、むしろ顧客が高く評価する業務を行うことから生まれる
    ・組織の能力=資源、プロセス、価値基準
    ・「ライトスタッフ=正しい資質」を持った人材が必ずしも適材ではない
    ・まずイノベーションを成功するための資源かどうかを判断し、次の2つの質問に答える「その組織の習慣的なプロセスは新たな課題に相応しいか?その価値基準は適切な優先順位をもたらすのか?」
    ・最初から正しい戦略を持っているケースは稀である。正しい戦略を立案することではなく、あらゆる状況に対し創発的プロセス主導で戦略を策定する機動力、対応力が必要である。
    ・不十分な成長から生じるデス・スパイラル
     →成功した直後から持続的向上への性向が強まることでローエンドの逸失を見逃してしまう
     →株主価値との成長ギャップを埋める唯一の方法は破壊的事業の創出であるが、短期間の評価には耐えられない
     →当初の計画からそれた創発型戦略に従うことができなくなる
     →過剰な資金流入による早期のコスト構造化が収益の確保を妨げる
     →新事業の損失を中核事業で賄おうとするが、損失は既に増大してしまっているため、株主価値を上回る収益が期待できない
    ・破壊的新事業を守ってくれるのは持続的中核事業である。持続的イノベーションが最も顕著であるときでなければ破壊的事業が漕ぎ出すことは難しい=成長投資のジレンマ
    ・良い金か悪い金か、分岐は資金が投入される状況にある。「成長する必要がないときに成長を追求する」「成長は気長に待つ、しかし利益を待ってはいけない」
    ・経営関与の理論
     →持続的世界と破壊的世界の橋渡し…主流事業への破壊のリスク
     →中間管理職にとって意味のない実行計画や混乱を招く数字が、上層部に検討・共有されることはまずない。会社を動かしているのは一体誰か。
    ・破壊的成長エンジン
     →必要になる前にはじめる
     →上級役員による監視
     →専門家チーム「始動者と形成者」
     →部隊の訓練

  • まず思ってしまうのは、本当にこういった方法論で大企業が破壊的イノベーションを引き起こすことができるのか?ということだ。この本に登場する成功例の企業は現在だいたいにおいて下り坂にいる。成功を維持できない理由がイノベーションのジレンマにあるような経営陣の持続的イノベーションへの寄りかかりだとすると、ここにかれている方法論が以下に現実的でないかの証左になってしまう。

    今イノベーションという言葉から真っ先に思い浮かぶアップルはどうだろうか?スティーブジョブズは彼がアップルで最も誇りに思うのはどの製品よりもアップルという会社組織だと言っていた。イノベーションのジレンマは間違いなく読んでいた彼の答がアップルであるとするなら、アップルの成功がいつまで続くか、それがどんな組織で実現されるのか、はイノベーションを実現させるための組織体についての注目すべきテストケースになるであろう。

  • ▼福島大学附属図書館の貸出状況
    https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB00040861

  • [出典]
    「解像度を上げる」 馬田隆明 P.155

  • 勝間さん推薦

  • 既存の企業が今の顧客がいるという点で、破壊的イノベーションを実施する企業に勝てないという点。昔のSONYのWALKMANように、ハイエンドと持っていない未顧客の間の領域に入っていくような発想が印象的。また、顧客が何を片付けたいかというジョブ理論型の思考は常に考慮しておきたいところ。

    どんなマネージャーに任せるかという議論も面白かった。

  • 第一弾『イノベーションのジレンマ』は驚くべき内容でしたが、問題提起といった位置づけでした。一方こちらは、その問題に対する解です。

    隙きのない理論でとても読み応えがあります。
    2種類の破壊的イノベーションに足元を救われないために、あるいはイノベーションを起こすのになにに着目すればいいのかが、非常に明瞭に説明されています。

  • 論文の重要なフレームワークとなった。
    この本無くしてゼミのまとまりなし。

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