エロの敵: 今、アダルトメディアに起こりつつあること

  • 翔泳社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798111087

作品紹介・あらすじ

ヌードグラビアからアダルトビデオ全盛期を経て、ネット時代にエロメディアは大きな変革を迎えた。あなたが知らないアダルトコンテンツの真実。

感想・レビュー・書評

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  • 世紀末読書

  • エロの敵は、エロが「価値」を失ってしまうこと。どこにでもあり、いつでも手に入る、ありふれたものとなってしまうこと。お金を払う価値のないものと思われてしまうこと。
    インターネットで情報が無料で見られる現代は、エロにとって生きにくい時代なのだ

  • [ 内容 ]
    ヌードグラビアからアダルトビデオ全盛期を経て、ネット時代にエロメディアは大きな変革を迎えた。
    あなたが知らないアダルトコンテンツの真実。

    [ 目次 ]
    1 消え行くエロ本文化(エロ雑誌時代の終焉;エロ雑誌の歴史;二極化するエロ雑誌 ほか)
    2 「進化」するアダルトビデオ(AVの歴史1―ビデ倫全盛期;AVの歴史2―セルビデオの拡大;小さくなるモザイク ほか)
    3 インターネットの影響と次世代アダルトメディア(次世代のアダルトメディアパッケージは?;ネットはAVを継ぐ者なのか?;日本は既にポルノが解禁されている ほか)
    付録アダルトメディア年表

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  •  エロ雑誌って、「風前の灯火」なんだって。いやー昔はそれなりにお世話になりましたよ、『スコラ』とか『デラべっぴん』とか『URECCO』とか。この本によると、オレの大学生時代がエロ雑誌の「黄金時代」だったそうでねぇ。でも、いまは相次ぐ休刊、リニューアルでいまや見る影もないんだとか。残る雑誌も「エロ満載!140分DVD付録付き!」とかになっちゃって、雑誌にDVDがついてくるのか、DVDに雑誌がついてくるのかわかんね、みたいになってるそーな。

     この本では、2人のライターがそれぞれ「エロ雑誌」と「エロビデオ(DVD)」を担当して、80年代後半ぐらいから現在に至るまでの流れを追っている。わりと手際よくまとめられていて、つるつる読める。この分野、村西とおるだとか末井昭だとかで役者には事欠かないが、そういう「列伝」風ではなく、あくまでも「業界」としての分析に終始。全体のトーンにあるは、「このインターネット時代にエロ雑誌・エロビデオがどー生き残っていくのか」という危機感だ。いわゆる「誰がアダルトメディアを殺すのか」……って、版元が『だれが「音楽」を殺すのか?』と同じだった。

     なぜエロ雑誌は衰退していっているのか。著者は、「ヘアの解禁、ネットの普及で、ハダカの価値が暴落したから」というのを第一に挙げている。たしかに、昔はハダカは「貴重品」だった。ぶっちゃけハダカさえ載ってりゃ、商売になった。モノクロページでお遊びする余裕だってあった。でも今は、ちょーっと検索するだけで、いくらでもヌード写真ひっかかるもんなぁ。わざわざカネ出して買おうというものは、よほどモデルがイイとか、話題の人とか、工夫や演出がされてないと……ねぇ。著者は、若者にとって「エロはタダ」になった、と慨嘆している。

     でも、こういう射程ではとらえられてないモノも、いっぱいあるよね。この本ではなんだか近頃の若者ったらすっかり枯れちゃって……みたいにも思えてくる書き方だが、若者のエロパワーは秋葉原方面ではまだまだ盛んでしょ。エロ雑誌、エロビデオが全盛期を過ぎたのだとしたら、それはアニメだとかコミックだとかゲームだとかに若者のエロぢからが拡散したせいではないだろうか。
     こっち方面が視野に入ってないせいで、「インターネット時代のエロ表現」みたいな大上段振りかぶりもちょっと「ん~ちょっとストライクゾーンせまいんじゃないの?」と思える恨みが残る。
     というわけでトリビアな要素としてはおもしろいし、実際業界にいる人が内側から書いたという点でリアルだし、実話誌が出てきた背景とかへーとか思っておもしろかったけど、うなずくばかりではなく疑問もわいてくる、そんな本です。

  • エロがビジネスとして衰退しつつある2000年代半ば、近代黎明期〜全盛期、そしてネットが普及した現在までの変遷を振り返る。
    規制、ニーズ、媒体、内容の変化のポイントが事情に通じた著者により細やかに描かれている。
    エロの敵が何か、その敵とどう戦うか、について著者の明確な見解はなく、全体像を伝えて読者に委ねるスタイル。
    「エロの歴史」「衰退するエロ産業」等が妥当なタイトルで、「敵」は販促目的だろう。

    個人的には敵はもともと存在せず、エロに限らない世界の自由度の拡大に伴い、エロコンテンツの経済価値が低下しているにすぎないと感じる。
    純粋な欲望ほどビジネスにしやすいが、それは入手しやすさと相関する。
    食料は自力で入手しづらい。他人から入手する行為がなくなることはない。
    睡眠は自力で入手できる。限定需要を除き経済価値になりにくい。
    お金は自力で入手しづらい。労働は勿論、楽に入手できる気分になる賭博は経済価値になる。
    エロは

    http://sunyata-bookreview.blogspot.jp/2013/11/blog-post.html

  • 遠山緑生先生推薦

    エロとセックスから社会を見てみるシリーズ(1): よく、新しいメディア装置の普及には、エロコンテンツ(アダルトビデオ等)が決定的な役割を果たした、というような言説があります。真偽のほどはともかく、メディアに対する利用者意識は、アダルトコンテンツには極端に影響しやすいという特性があるのは確かで、メディアについて考える上では非常に面白い現場からの考察がなされています。

  • カテゴリ単位でのメディア史のフォロー本としてすごく良くできてると思うんだこの本。メディアの形態とコンテンツとユーザのあり方、みたいなのに興味がある人で(エロに抵抗がない人)は是非。

  • これまでも「エロ」は新たなメディアに対するニーズを掘り起こしてきたが、その最終局面としてネットが旧来メディアを駆逐する様が一番最初に現れたのがこの「エロ」の世界であり、その希望の見えない黙示録を淡々と記録した良書。やましい気持ちで読んでも全然ギンギンにならないので注意されたし。

  • エロの氾濫は、隠れエロ研究家としては喜ばしいことですが、今以上のエロの発展は期待できるのでしょうか。

  • 今日立ち読み読破(知っているジャンル担当の人に一言断ってから)。でも買う価値があると思うので、小金もちになったら買います。衰退しつつあるエロ業界の今が分かります。コンビニでえっちい雑誌を立ち読みするのが趣味だった僕を含む男子諸君は、懐かしさとともに現状に思いを馳せましょう。エロ雑誌コーナーで起こっていたそういえばな変化がすごく分かりやすく丁寧に解説してあります。これベストセラーにできないかなあ。できるんじゃないかなあ。恥ずかしくて買わないもんなのかなあ。

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著者プロフィール

1967年埼玉県生まれ。ライター、アダルトメディア研究家。
美学校考現学研究室卒。主にアダルト産業関連をテーマに執筆。特にエロとデジタルメディアの関わりや、アダルトメディアの歴史の研究をライフワークとしている。AV監督やカメラマン、漫画原作者、トークイベントの司会者などとしても活動。
主な著書として『痴女の誕生――アダルトメディアは女性をどう描いてきたのか』(2016年)、『巨乳の誕生――大きなおっぱいはどう呼ばれてきたのか』(2017年)、『日本エロ本全史』(2019年、いずれも太田出版)、『AV女優、のち』(角川新書、2018年)、『ヘアヌードの誕生――芸術と猥褻のはざまで陰毛は揺れる』(イースト・プレス、2021年)などがある。

「2023年 『日本AV全史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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