オープンビジネスモデル: 知財競争時代のイノベーション

  • 翔泳社
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798115016

作品紹介・あらすじ

仲介者という新たなプレイヤー

企業にとってのイノベーションの重要性は敢えていうまでもない。今日、特に重要になっているのは「オープン・イノベーション」である。
これは、企業が社外のアイデアやテクノロジーを有効に活用する一方で、自社のアイデアを他社に活用してもらい、イノベーションの価値を高めることである。
オープン・イノベーションには知財(IP)が重要な役割を果す。IPが適切に保護されることで、IPを取引きするための自由市場が生まれるからだ。IPの管理はテクノロジーのライフサイクル、および、企業のビジネスモデルに合致したやり方で行なう必要がある。
イノベーション市場においては、イノベーションの仲介者という新たなプレイヤーが登場する。取引を促進し、イノベーションを加速するための新しい企業モデルである。IP戦略が企業経営で重要性を増すことに疑いの余地はない。
本書はIP戦略も含め、二律背反と考えられがちなオープン性と知財について、新しいプロセスと評価基準、そして従来型の戦略の見直しをしながら、収益モデルを構築するフレームワークを提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 知的財産について、自社で開発したものを自社の製品に適用するといったやり方から、自社のものを社外に売る、社外のものを自社に取り込む、といった知的財産の活用について例を引きながら説明しています。
    また新しく生まれてきているイノベーション仲介業者の概念を紹介してその重要性を強調しています。

    ---
    著者は、ビジネスモデルをおおまかに次のように定義している。
    1. 「価値提案」の明確化
    2. 「市場セグメント」の識別
    3. 「バリューチェーン」の構造の定義
    4. 「コスト構造と潜在的利益」の評価
    5. 「バリューネットワーク」内でのポジションの記述
    6. 「競合戦略」の明確化

    何だかキレがないが、なるほどなと思います。

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    内容はよくわかるが、そうだよなと思う反面、目から鱗が落ちたという内容ではない。過去の事例もその難しさを示していると思いますが、概念の理解よりも実践が難しいんでしょうね。

  • 『読者の皆様の会社はいかがだろうか?

    業界に広く浸透したイノベーション機会を無視できるだけの余裕があるだろうか。新興のイノベーション仲介市場をうまく利用しているだろうか。利用することでより多くの価値を顧客に提供できるだろうか。

    そのとき、自社のビジネスモデルはオープン化の手助けになるだろうか、それとも障害になるだろうか。そして、もし競合他社が自社よりも先にビジネスモデルをオープン化し始めたとしたらどうするだろうか。』

    どうなんでしょうね〜。
    それなりに勉強になった。

  • スリーファイブ、製品が市場に出て3年または特許発行の五年後に特許が社外で利用可能

    社内特許、できれば使ってくれそうなところにお渡ししたいです。個人的には、利用率10%といってないような印象です。でもハードルが二つ。売る相手と価格。

    まず、売る相手。探すのが大変です。特定の技術を使ってくれそうなところを探さなければなりません。売りたい特許の業界についてある程度の知識があるならまだしも、事務的な管理しかしてないと途方に暮れてしまいます。

    次に価格。マーケットアプローチ、インカムアプローチなんて到底算出できません。できる人がいたらプリーズ。算出が簡単なコストアプローチにしても、外国の特許になると、1件100万以上になる案件も多々あり、とてもそんな価格で買ってもらえるとは思いません。

    維持費だけか積もる日々が続きそうです。

  • HBS教授の本。知的財産の売買仲介市場が成立しつつあり、企業もR&D予算を削減しつつ売上を伸ばすためには、外部のリソースを使う必要があると企業の変革を促す本。自前主義や「敵に塩」反論については、TI, IBM, P&Gなどの例を挙げ、これらの企業が取組に成功して企業価値を挙げていると説く。具体的な仲介市場のビジネスモデルも紹介されており、これが秀逸。残る疑問としては、外部リソースを使う際に、企業買収、知財ライセンス、サプライヤーとしての協力の3つがあると思うが、それをどのように使い分けるかについては書かれていない。また、本書が書かれた2006年から数年たち、仲介市場がどのように進化(または衰退)しているのかも気になる所。さらに、2006年時は製造業・消費者メーカーが話の中心だったが、ウェブ業界でのオープンビジネスモデルがどうなっているのかも気になる。

  • 「知財とか他の会社と融通しあって,いっしょイノベーションしましょ.」ってことらしい.

  • 垂直統合モデルではなく、自分たちのパテントをポートフォリオ管理して、いらないものを売り、欲しいものは買うことによって成長する。

    いや、内容はたぶん良いこと書いてあると思うんですよ。

    長い…そして飽きた

  • イノベーション仲介業という業態は面白い。ただ、いわゆる中間業者の必要性は事業毎に大きく異なってくるわけで、オープンビジネスの難解さが問題提起されていた。

  • オープンビジネスモデルの先進的な例は、ハリウッドだ。かつては映画の製作、撮影、配給をすべて映画会社が行っていた。しかし今日では、脚本家がシナリオを買い求め、プロデューサーが資金を集め、役者やディレクターと契約し、セットが製作される。特撮、技術班、ケータリング業者などのプレーヤーを独自に組み合わせたプロジェクトである。

    全ての優秀な人材が自社に揃っているわけではない。有意な知識は世界中のさまざまな規模の企業に拡散し続けている。イノベーション活動と企業の規模との関連性は小さくなりつつある。つまり研究開発投資の額が大きいからといって、企業が成長していないという結果になっている。社外のテクノロジーを積極的に活用できる企業が優位に立っているのである。インテルは可能な限り研究開投資を低く抑えながら高い成長率を達成している。シスコ、P&Gも同様の戦略をとっている。

    未使用の技術を社外にライセンスすれば、事業部門は他社からの競争激化により敗北することが恐れられる。また社外の技術の活用が有効であれば、そもそも社内の研究開発部門の存在意義が問われる。しかし、自社に優秀な研究要員を抱えていなければ、社外のテクノロジーを識別し、価値認識し、活用することはできない。

    P&Gは2000年から05年の5年間で、アイデアの50%が社外から得られるように、戦略の大転換を図った。(コネクトアンドデベロップ戦略)

    一方で、知的財産の取引市場がうまくいかない理由は、

  • いわゆる「オープン・イノベーション」について書かれた本。
    閉鎖的なIP管理では、経営資源を有効活用し切れずにイノベーションを提供する機会を閉ざしてしまっている可能性があるので、製品ライフサイクルに応じてIPをオープンし、顧客にソリューションを提供するビジネス・モデルを実現する重要性を説いています。
    とても説得力ある説明ですが、一企業で実践するには断片的ではなく全社的な変革が必要なので、まだ日本では難しい気がします。実際、取り上げている仲介ビジネスも日本ではかなり苦戦してるようですが。ただ、近い将来「オープン・イノベーション」の考え方がどんどん浸透していくことは間違いないと思いますので、読んでおくのに損はないでしょう。

  • (S)
     製品の実現に必要なテクノロジを、すべて自前でやるのではなく費用対効果を考えて、アウトソースできるものはしましょう、ということを説明した本。
     
     全般的に「まあ、そりゃそうだろう」という内容で、目新しさはない。個人的には、技術の目利きみたいなところにもっとフォーカスして突っ込んで欲しかった。「できます」というベンチャはたくさんいるものの、モノにできるところは少ない。そのリスクをどう読むのかが、大企業側としては気にするところ。

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