- Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
- / ISBN・EAN: 9784798117829
感想・レビュー・書評
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フェイスブックやiPhoneが世の中に出始めた頃に書かれた、ソーシャルテクノロジーを企業が戦略的に使うための入門書。”グランズウェル”とは「大きなうねり」と訳され、SNSやブログ、レビューサイトなどに書かれたコメントがやがて大きな影響力を持ち、企業活動にとって無視できない存在になることを示唆している。
新テクノロジーやその利用者(もしくは非利用者)プロフィールの分析手法を解説するだけでなく、企業の中でも外でも「人」が中心であることを忘れていないのは重要な視点だ。
”レゴの顧客も、厳密にはレゴの話をしているわけではなく、「レゴを組み立てること」について語っている。この二つは別物だ。”(P.204)
ただ、格好の入門書ではあるものの、普及期に書かれた本ということもあり、やや楽観的に書きすぎている面もある。いくらインターネットのクチコミが影響力を持ち始めても、先進国ではテレビや新聞に到底かなわない状況は今でも変わっていない。民衆の声が国を動かすまで至っているのは、メディアが発達していない閉鎖的な独裁政権くらいだ。
また、顧客の声が集まればサポートセンターが力を持つようになり、経営層や製品開発部門に対して発言力を持つようになると予想しているが、現実には厄介なコストセンターとして疎まれている部門が多いのではないだろうか。小さく始めることを強調しているが、試みが小さいままで終わってしまっている企業も多いはず。
このあたりの対策は向後の本に譲るにしても、入門書としては今読んでも参考になる本だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ソーシャル化の流れを「大きなうねり」と定義し、そこに企業としてどう接していくべきかについて社内/社外、BtoC/BtoBなど様々な視点から手ほどきをしている一冊。
2008年の著書ということでブログが中心にはなっているものの、その本質は4年経った今読んでも全然色褪せていない秀逸さ。
CRMやエンゲージメントなど、顧客との関係構築をこれから取り組む、もしくは既に取り組んでいるけど壁にぶち当たっている担当者の方にぜひオススメです。 -
グランズウェル(大きな波)とは、社会的動向であり、人々がテクノロジーを使って自分が必要としているものを企業などの伝統的組織ではなく、お互いから調達する様になっている事を指すと定義されている。
ブログ、SNS、Wikiなどを使った企業戦略を総括している。
『そもそも人間には”つながりたい”という欲求がある』
この洞察は、現実問題として納得性が高い。実際にSNSなどのツールが普及する事自体もその現れであるし、なんとなく繋がっていると安心感を覚える。しかし、テクノロジーに必要以上に振り回されるのではないかという疑問も一方では感じる。
また、SNSの様なものに参加しなければならないことは分かっているが、その弊害に不安で一歩を踏み出せない人達がいる事も事実である。これを本書であh、グランズウェル接近・回避症候群と読んでいる。
企業活動の側面から観ると、クチコミとは自らの経験を家族、友人、仲間と分かち合いたいという人間の自然な欲求に根ざした最も正直な形のマーケディングである。したがって、グランズウェルを積極的にお客様との接点に利用する企業が勝ち組になるということらしい。 -
ボリュームが満載で読むのに時間がかかったなー。しかし、編集側はもっと時間がかかったことでしょう。ソーシャル(顧客の声)がいよいよビジネス上でも無視できなくなってきた年に、このうねりを解説、および味方にすべく登場した本。いま尚教科書でしょう。それは技術ではなく、人そのものにフォーカスしているから。顧客と何の為にどのようなコミュニケーションをとっていくのか、傾聴なのか、ブランディングなのか。国やサービス業態によって違うから正解は無いが(それは自分で考えるとして)、大きなヒントがここにはある。
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ソーシャルメディアを使って何ができるかを語った本。2008年に出てて、少し前の話なのに、古さを感じなかった。なんでもそうだけど、何のために、何を求めて、どう使うのか、ということ。使うことが目的になりがちだけど、そうならないようにしないといかん。
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新たなメディアが浸透し、企業ではなく、消費者にパワーがシフトしていくこと中で、どのように個人として企業人として向き合うべきかを提唱した良書。
責任感と明確な目的を持たない限り、成功はないということには同感。既にソーシャルメディアの活用は進んでいるが、すぐに読んでおきたいもの。調査結果や、各種事例も含まれており、人にもお勧めできる。 -
SNS、ブログ、youtube、twitterなどソーシャルテクノロジーの発達により生まれた消費者の力をビジネスに活用する手がかりとなる本。
事例をベースとしていて興味深く読めるし、自分自身も体験したことがある事象だからすっと入ってくる。
売り手目線の仕事が孕んだリスクの教科書としてもためになるし、対ユーザー以外の業務に展開もできる考え方。
一度は読んでみて損はないと思うし、誰もが肌で感じている内容だと思う。
これがまったくぴんと来ない人は、もうすこし自分が眺めている画面の向こうを考えてみたほうがいいかもしれない。
上層部は頭が固いのではなくて、 失敗するくらいなら何もしないという考えだよなあと改めて感じた。
実践するとなると、本書でやるべきと言っていること自体は難しくないけれど、会社規模が大きくなればなるほど実行に移すことは困難になるだろう。戦略が失敗した例についてはほとんどの企業で起こる障害だろうなと感じさせられる。
ただこういう会社が増えてくれば、消費者としてもメリットが大きいなと思った。
ついでに、これからのビジネスで成功するためにテクノロジーは不可欠のレベルまできていると感じた。
逆を言えば誰でも発想を形にしやすい社会になっているのかな。 -
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