ビジネスモデル・ナビゲーター

  • 翔泳社
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  • Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798146881

作品紹介・あらすじ

成功するビジネスモデルは55パターンに分類される!

ビジネスモデルのイノベーションは、天才のひらめきによって生まれると思われがちですが、
日本企業では個人のひらめきで事業を動かすことが難しいことも事実です。

スイス・ザンクトガレン大学のガスマン教授は長年ビジネスモデルを研究し、
成功企業のビジネスモデルは55種類のモデルパターンのいずれかに分類される
ということを突きとめました。

本書は、この55パターンの組み合わせや創造的な模倣によって、
新しいビジネスモデルを創出するツールを紹介する画期的な内容です。
天才のひらめきではなく、ビジネスモデルをシステマチックに構築するノウハウは、
企業文化で日本と共通点の多いドイツでも多くの実績をあげています。

例えば、次のような新たなビジネスモデルに関する戦略が紹介されています。
ジレット社のカミソリの替え刃で実績のある「サプライ品モデル(本書でのビジネスモデル・ナンバー39)」を、
コーヒー業界に適用することを考えたネスレ社は、
さらに、「ロックイン・モデル(ナンバー27)」「直販モデル(ナンバー12)」も組み合わせることで
ネスプレッソを生み出した。
その成功実績を自社の別商品(お茶:Special.T、離乳食:BabyNes)にも
展開することでさらなる相乗効果が得られた――。

55種類のパターンを学ぶことで自社のビジネスモデル革新に挑戦してください。

感想・レビュー・書評

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  • ザンクトガレン大学で企業のビジネスモデルについて研究している著者らにより、「世の中にあるビジネスモデルは全部で55通りしかない」をコンセプトに書かれたビジネス書。
    55個のビジネスモデルそれぞれの基本的な戦略、特徴、起源、代表的な企業が解説される。

    既知のものも多かったが、なんとなくしか理解していないものも多く、新鮮に読めた。
    ボリュームは多いが、知識を広げて頭の中をクリアに保つためには有用かと思う。

    どれだけ斬新なビジネスをしているように見えるベンチャー企業でも、基礎的な既存のビジネスモデルを組み合わせているに過ぎない。納得感の高い本だと感じた。
    しかしどんなビジネスモデルを採用するとしても、重要なことは自社が提供する価値と目的をぶらさないことだと思う。ビジネスモデルはマネタイズの手法でしかない。

    ポーターなどの基礎的なビジネス・ストラテジー理論を理解して読めば、より深く理解できると思う。

  • ●巻末のまとめ資料:写真撮影済
    ●ビジネスモデルとイノベーション
     ・Who:自社の対象顧客は誰か
     ・What:自社が顧客にもたらす価値は何か
     ・How:自社の製品/サービスの提供手段。
     ・Why:収益モデル。何故自社が儲かるのか?
    --->前者2つ(外部要因)後者2つ(内部要因)に対して2軸以上を刷新する
        ことがイノベーション
    ●Add on(基本料金を格安+追加オプションで稼ぐ)
    ・価格を横並びで比較検索すると他社を圧倒して総取り
    ・LCCや自動車のカスタマイズ。
    ・人間は序盤は理性的(基本料金で横比較)だがそこを過ぎると感情論が強化
    ※クロスセルなども近いモデル。

    ●合気道:競合の強みを弱みに変える。業界の進路に対して真逆に攻める。
    ・スウォッチ社(スイス)独自デザインの時計をお手頃に。時計=時間を計る
     物という考えからファッションアイテムへとシフト。”時計の2個持ち”を浸透。

    ●Auction:製品が希少&特殊で”市場の標準的な価格”が存在しないほど好相性。
     Reverse Auction:購入者が商品を競り落とす代わりに販売元が契約を競り落とす
     例)Priceline社(旅行):顧客の希望条件を満たす提案をした場合、その提案を
       購入する義務が顧客側に発生。支払いの上限価格などを設定しておく。
    ●Long Tail:ITシステムによる”管理・流通コスト”の削減によって起きた変化
    ・パレートの法則(20%の商品が80%の利益)ではなく、大量販売品(ブロック
     バスター)と同程度にニッチ製品が稼ぐ。
     ※Amazon:long tailの書籍(従来の書店では取扱無し)が40%の売上
    ・流通処理コストの効率化と、顧客側のニッチ商品検索負荷の削減が不可欠。
    ・究極は顧客側に商品を設計させる(”Mass Customization")
     --->顧客自身に製品を修正、自分のニーズに合わせてゼロから設計させる
    --->eBayにおける個人の商品出品など。
     --->DellのPCや、mymuesli社(シリアルのカスタマイズ)など

  • ビジネスモデルの事典のようなものだと思い読み始めたが、イノベーションの起こし方を主軸に書かれていたため自分の目的と少しずれていた。
    イノベーションの起こし方のガイドラインはあったが、それを実行するのがかなり難しそうだとも思った。
    本書だけではイノベーションを起こすプロジェクトの遂行には不足しているかなと感じる。
    イノベーションとビジネスモデルの事典の両方を広く浅くわかりやすくまとめているような印象。

  • 具体的なビジネスモデルもそうだが、第一章?の、イノベーションに関する内容が勉強になった。

  • ビジネスモデル イノベーションに向けたヒントを与える本。
    冒頭の概念整理の部分など明確で非常にわかりやすくよい。
    ビジネスモデル パターンの辞書的な本。
    ビジネスモデルパターンは大したことないものも少なくないが、冒頭セクション含め、考えるヒント、問いを整理頂いていることは非常に有益。

    メモ
    ・顧客、提供価値、提供手段、収益モデルなど2軸以上変えることをビジネスモデル イノベーションと定義。
    ・障壁1 業界の常識を打ち破ることの難しさ 
     障壁2 技術や製品でなくビジネスモデル という視点で考えることの難しさ
     障壁3 システマティックなツールの欠如
    ・影響因子の分析
    新技術 常に将来を念頭に置き、備えを怠らない。
    メガトレンド 対象絞り注視すべき
    ・itによるビジネス動向
    顧客接点におけるソーシャルメディア重要性高まり
    オンラインコミュニティとネットワーク化
    フリーミアムで現物提供しデジタルアドオン販売
    デジタル化で製品強化 withings
    センサーのオンラインサービス ネスレ
    オンラインとオフラインの体験融合
    分析からビッグデータへの進化 
    ・類似原則に基づくパターン適用
    自社業界に関係の深いビジネスモデルからはじめ、徐々に薄いパターンへ広げていく。
    自社に適用することで既存のビジネスモデルがどう変わるかを考える。
    ・対極原則に基づくパターン適用
    現状と潜在ビジネスモデルの差分から未知の機会を考える。明らかに異なるビジネスモデル から考える。
    ・鉄則
    新たなアイデア出しの前に既存アイデアを全て吐き出す。創造性に制限なし。著作権フリー。質より量。否定禁止。10秒ルール。風呂敷広げる。例示と適切質問。
    ・設計フェーズ 現状分析、パターン適用、事業設計を行ったり来たり繰り返す。
    ・実行フェーズ 設計、プロトタイプ、検証を繰り返す。
    成功のための10の鉄則
    心を閉ざさない、勇気、繰り返し、多様性、変革、要点の整理、失敗、挑戦、コーチ、方向
    ・変革の管理
    1変革の推進 トップコミットメントを示す。変革の推進に従業員を巻き込む。変革推進のスターとリーダーを育てる。認知バイアスを防ぐ。
    2アクションプランの定義 ビジョンの検討。いつまでに実現するものか。早期に効果をえる。
    3構造と目標の定義 全体構造を定める。目標の設定。smart specific measurable acceptable realistic timebound 成果管理システムの導入
    4実行能力の構築 適切なチームメンバー選定。不足した能力の構築。社内の能力開発、外部提携による補完、買収による能力開発。イノベーション文化を確立する。
    自由、コミットメント、公正、喫水線。
    ・イノベーション企業の特徴 従業員の自発性、非正規プロジェクトへの作業許可、セレンディピィ、従業員の多様性、徹底したコミュニケーション。

    ■ビジネスモデル パターン
    ●アドオン お値打ち+アドオン 追加オプションへの課金
    ・アフィリエイト google Amazon ピンタレスト あなたの成功が私の成功
    ・合気道 強豪の強みを弱みに変える。
    ボディショップ、スウォッチ、任天堂
    ブルーオーシャン的な価値モデル
    ・オークション ほかにない?落札 Yahoo
    ・バーター 物々交換 
    ●キャッシュマシン 支払い前に販売代金回収 アメックストラベラーズチェック、デル、アマゾン、アップル、ペイパル
    ・クロスセル 一石二鳥 IKEA シェル 組み合わせ提供で顧客メリット
    ・クラウドファンディング 一般大衆から資金調達 
    ●クラウドソーシング 大衆にアウトソーシング 新たなアイデア創出コミュニティをつくれるか
    ●カスタマーロイヤルティ ポイントプログラム 顧客ニーズ理解のためにどう顧客とコミュニケーションを図るべきか。自社のファンになってもらうには。スポーツチームとファンのような関係は築けないか。
    ・デジタル化 eビジネス化 
    ・ダイレクトセリング 中間業者を省く デル、アムウェイ
    ・eコマース 価格透明性とコスト削減 アマゾン
    ●体験販売 雰囲気をつくる スターバックス
    ・フラット料金 食べ放題 ネットフリックス
    ・部分所有 シェアリングで資産有効活用 
    ・フランチャイズ みんなはひとりのため、ひとりはみんなのため マクドナルド
    ・フリーミアム 無償版で人集め
    ・プル戦略への移行 カンバン方式 トヨタ、ザラ 顧客主導主義
    ・稼働保証 いつでもご利用頂けます IBM
    ●隠れた収益源 別の方法で稼ぐ 広告モデルなど。フェイスブック、グーグル
     自社資産を別の方法で商用化できないか。顧客と商流をわけられないか
    ・素材ブランディング 部品のブランディング デュポン、インテル、ゴア、シマノ
    ・インテグレーター 垂直統合 カーネギー、フォード、エクソン、ザラ
     垂直統合は儲かり、維持可能か
    ・専門特化プレイヤー ぷろのノウハウ ペイパル
    ・顧客データ活用 データから価値を生み出す アマゾン、グーグル
    ・ライセンシング 知的財産の商用化 IBM アーム 
    ・ロックイン 切り替え障壁の構築 ジレット、レゴ、ネスプレッソ
     顧客をつなぎとめる法的、技術的、金銭的仕組みがあるか
    ・ロングテール 塵も積もれば山となる アマゾン、イーベイ、ようつべ
    ・保有能力の活用 本業能力を横展開 アマゾンAWS
    ・マスカスタマイゼーション パターンメイド リーバイス
    ・格安製品 フォード、マクドナルド
    ・オープンビジネス 共同開発 P&G BASF 外部提携でどんな顧客付加価値を実現できるか。メリットがあるのは自社どの部門か、エコシステムにおけるパートナー役割はどうあるべきか
    ・オープンソース 無償の公共ソリューション IBM ウィキペディア
    ・オーケストレ−タ バリューチェーンを統率する ナイキ
     自社の強みを明確に認識した上で、外注を戦略活用、パートナー管理
    ・従量課金 ペーパーユース グーグル
    ・投げ銭方式 支払額を顧客が決める 
    ・個人間取引 個人取引仲介 イーベイ、エアビー
    ・成果報酬型契約 成果に基づく料金体系 ゼロックス
    ・サプライ品モデル エビでタイを釣る ジレット ネスプレッソ
    ・レンタルモデル 買う代わりに借りる ゼロックス、ブロックバスター
    ・レベニューシェア ウィンウィンで共存共栄 アップルストア シナジーを生み出すためにパートナーとの関係をどう設計するか。協業シナジーから利益を生み出せるか。提携によるブランド波及効果はプラスに働くか
    ・リバースエンジニアリング 競合から学ぶ ペリカン模倣で開発
    ・リバース・イノベーション 発展途上国から先進国へ GE ノキア ハイアール
    ・ロビンフッド 金持ちから奪い貧困層に与える ワービーパーカー先進国収益を非営利団体へ
    ・セルフサービス 顧客自身に動いてもらう イケア、マクドナルド
    ・店舗内出店 おんぶ競争 
    ・ソリューションプロバイダー ワンストップショッピング 3M サービス連携により事業全体の付加価値向上。
    ・サブスクリプション 期間契約 セールスフォース、スポティファイ
    ・スーパーマーケット 品揃え多く、価格安く ベストバイ、トイザらス 規模と範囲の経済が有効な状況で適用可能
    ・低所得層ターゲット 所得ピラミッドの基盤層を狙う グラミン、タタ、ウォルマート
    ・廃品サイクル ゴミをお金に変える BASF
    ・両面マーケット グループ間の橋渡し ぐーぐる、ダイナース グルーポン、ネットワーク外部性がある領域のモデル
    ・究極の逸品 高級にするほどよく売れる ランボルギーニ 新興国で有効
    ・プロシューマー ユーザーがデザインして販売  レゴ
    ・OEM製品 他社ブランド品の製造 ホワイトレーベル 鴻海
    ・ビジネスモデル・イノベーション10の鉄則
     経営トップ支援を得ること
     組織横断チームで臨むこと
     変化を受け入れ、他人の指摘を真摯に受け止めるべく、心の準備をしておく
     55枚のビジネスモデルパターンをふまえて社内の常識、業界の常識を乗り越えること
     オープンな文化を作ること
     繰り返しの手法を使い、何度も何度もやり直すこと 
     自分たちのビジネスモデルの仮説にのめりこまないこと
     プロトタイプ手法でリスクを限定すること
     新たなビジネスモデルがうまく成長するように必要な肉付けをしてやること
     先頭にたって変革のプロセスを進めること

  • アイデア出しにはいいかも

  • マジックトライアングルが超本質。

    1.顧客(Who/誰に)
    2.提供価値(What/何を)
    3.提供方法(How/どのように)
    4.収益モデル(Why/なぜ)

    事業を創造する際に明確に定義して儲かるモデルが具体的に描けているかを確認すること。

    イノベーションを考える際には検討漏れをふせぐ、辞典のような形でも使えると思います。

    イノベーションを起こす際は結果を求めない。それがゆえに経営層の理解が必要不可欠。そして失敗を認める。その代わりに失敗により得られた学習を価値とする。そうした文化形成ができていないと相当難しい。

    55のビジネスモデルパターンは、ビジネスモデルというよりはマジックトライアングルの要素の一つか複数を指している。なのでビジネスモデル?と呼ぶべきかは少し疑問。4つ揃ってビジネスモデルなので。

    それを混同すると単なる提供方法や収益モデル自体をビジネスモデルと理解してしまいそうで注意。それだけ取り入れれば良しとししてしまわないように。

  • ビジネスモデルを55パターンにまとめてくれている。辞書的に使えそうだし、クリエイティブに思考する前のインプットとしても便利。
    序盤のイノベーションの起こし方も参考になるが、一番示唆があったのは、イノベーションは価値の組み替えということ。

  • 成功しているビジネスモデルを分類している。各モデルで重複のある内容もあるが仕方のないところだろう。

  • 全てのビジネスモデルは55個に分類される、として、それらの説明やそれらを用いた新たなビジネスアイデアを生み出すことを説明した本。
    なかなかアイデアが出ないので、なんらかのパターンに当てたりして考えないと無理だなぁ…と思って読んで見た。

    それぞれのモデルについて例示が多く、説明も丁寧なのでわかりやすい。が、いかんせん色んな意味で重たく、読み切るのが大変… 読むのが遅いのもあり、ちゃんとは読みきれず… リファレンスとして買うのもありかもなぁ。

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著者プロフィール



「2016年 『ビジネスモデル・ナビゲーター』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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