デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法(MarkeZine BOOKS)

著者 :
  • 翔泳社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798153742

作品紹介・あらすじ

企業の「売りたい気持ち」が消費者に見透かされる時代。
マーケターは「売りたい気持ち」を
消費者の「買いたい気持ち」にどう変えていけばよいのか?



新規顧客と継続顧客の育て方、
デジタルコミュニケーションの基本が1冊になりました!

売上は顧客がもたらすもの。
しかし、一言で「顧客」といっても、
・はじめて買ってくれた人
・一度買ったきり、関係性が途切れた人
・何年も継続して買ってくれている人
……など、状態や関係性はさまざまです。

本書は「新規とリピート」をデジタル時代に即した形にバージョンアップ。
新規顧客と継続顧客を生み出し、デジタルの接点を通じていかに
ロイヤルカスタマー化していくかを解説します。

顧客の構造を強化することで、見えてくる売上成長の基本的な考え方と
その数字の見方を紹介します。

【著者紹介】
西井敏恭(にしい・としやす)
オイシックスドット大地株式会社 執行役員CMT(チーフ マーケティング テクノロジスト)
株式会社シンクロ代表取締役社長

1975年5月福井県生まれ。2年半にわたって世界一周しながら
アジア、南米、アフリカ各地で旅行記を更新。Webサイトがクチコミで広がり
大人気となる。帰国後、EC企業にてWebマーケティングに取り組む傍ら
旅行を続け、訪問した国は100か国以上。
世界一周したWebマーケティングのプロとして、デジタルマーケティングフォーラム、
ad:techをはじめ、全国で講演や雑誌や新聞などのメディア掲載多数。

オイシックスドット大地株式会社ではデジタルマーケティングを
推進するために、ECやIT部門を管轄し、株式会社シンクロでは
コンサルティング事業を軸に、主に大手企業でのデジタルマーケティングに
取り組んでいる。

【目次】
1章 デジタルで大切な3つのこと
2章 顧客を「新規」と「リピート」に分解する
3章 「F2」の壁を超えるには
4章 CRMは心理学である
5章 「広告費は売上の10%」は正しいか
6章 優先度の高い広告をやり切る
7章 サイト改善とKPI
8章 選ばれるブランドになるには
9章 社内調整とチームづくり
10章 [まとめ]デジタルマーケティング10のメソッド

感想・レビュー・書評

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  • 大切なのは、1年目の新規顧客が、2年目も継続しているかを確認すること。新規のお客様からどのくらい売り上げがあるのか、継続顧客からどれくらい売り上げがあるのかというように売上を分解してみる。

    1回招待できて、そのあと自分で商品を買うまで(F2)までが新規。
    F2転換率のところがもっともインパクトが大きい。その後のF3転換率は同じくらいになる。
    F2をいかに引き上げられるかがポイント。

  •  でも、マーケティングという言葉はふわっとした感じで使われることが多く実はちゃんと答えられる人はほとんどいないんですよね。本やウェブで調べてみると、様々な定義がありますが、ウィキペディアの「マーケティング」の項にはシンプルに「売れる仕組み」という言葉が出てきます。その面接で私は「マーケティングとは売れ続ける仕組みづくり」と教えていただきましたなぜなら、自社の製品やサービスは一度売れば終わりではないからです。
     マーケティングという言葉について、 もう一人、私に示唆を与えてくれた人がいます。現在所属しているオイシックスドット大地の高島社長です。高島さんはマーケティングを「買いたい気持ちづくり」と定義しています。今まで企業が主体となって「どう売るか」だったマーケティングの世界が、デジタル化によって消費者も情報発信の主体になったとき、企業の「売りたい気持ち」というのは見透かされてしまうようになった。だから、マーケティングは企業の売りたい気持ちをどのように消費者の買いたい気持ちに変えていくかだと。
     マーケターの目線としては「どう売るか」ではなくて「買いたい気持ちをどう作るか」。さらに言えば、「買いたい気持ちをどう作り続けるか」が重要になってくるのです。

    ■デジタルマーケティング施策の重要度
    【最重要】
    SEO、SEM、メールマガジン、アフィリエイト、スマートフォン最適化、アクセス解析
    【重要】
    メールマーケティング、SNS
    【進化】
    ビッグデータ、DMP等
    【次世代マーケティング】
    AI、AR、VR

    ■デジタルの3つの特性
    ・検索性:検索ができること
    ・双方向性:企業だけでなく消費者も情報発信ができること
    ・即時性:その日その瞬間の状況に合わせたコミュニケーションができること


     この「2回目も買いたい」という体験がすごく重要で、2回買ってくれると3回目まで買ってくれるお客様の割合は60~80%くらいになったりします。つまり、長期的に1年以上使い続けていただくためには、まずは2回購入してもらうこと。そのための施策を「F2転換施策」と言います。

     ここまでは従来の通販の世界などでよく言われる「F2転換」の説明です。ただ、私自身はF2に関して少し違う見方をしています。どういうことかというと、いわゆるF2は、実は新規に近いのです。広告で新規顧客を獲得し、クーポンで2回目を買ってもらうといったところまで私自身は「新規」と呼んでいます。

     結局このF2転換率のところが最もインパクトが大きいんです。会社によってはF2転換率が5%のところもあるかもしれない。でも、この5%を10%と2倍にできれば、その後の数字も同じように上げることができます。

     商材にもよりますが、30~60日以内に再度購入しない場合は、その後のリアクション率は大幅に下がります。つまり自社の商品やサービスではどの期間までだったらF2転換しやすいかを理解することが大切です。特にF1としてはじめて購入した状態に近いうちに、なるべく早く施策を実施する必要があります。
     …
     答えは「お試しセットがなくなる前」、つまりお試しセットを申し込んでから8~9日目です。商品がなくなる前というのも大事ですが、何もしなくてもお客様が2回目を買おうと思っているそのピークのところで、いかにタイミングを逃さずにグラフのラインを上に持っていけるかがポイントです。


     商品と密接な関係があるのが、コミュニケーションの中身です。たとえば、旅行代理店ではじめての南米旅行を申し込んだ人がいるとします。はじめて南米に行くので不安だけと、行きたいから思い切って申し込んでみた。それなのに、出発するまで旅行会社から何の連絡もない。やっとメールが来たかと思えば「入金してください」という内容だったとします。それって最悪じゃないですか?
     でも、南米に行くときの注意点とか、おすすめの服装や持っていくと便利なものを紹介するメールが、申し込んでから最初の5日間くらい毎日届いたとしたらうれしいですよねだから最初の段階で、いかにちゃんとコミュニケーションをとるか。特に最初の30日間が非常に大切になります。それなのに、うちのルールでは1週間に1回しかメールを配信できないことになっているという会社もあります。1週間ごとに1通、2通、3通、4通とメールが届いても、お客様からしたら、なぜそのタイミングでメールが来るのかよくわからない。
     だから、まずはタイミング。いかに熱いうちにコミュニケーションをとるか。その次が中身です。南米旅行を申し込んだばかりなのに、「今度はアフリカもどうですか」なんてすすめるメールが来たら、「何これ?」ってなる。こういうのイヤですよね。申し込んだ直後というのは、お客様にとって不安でもあり、楽しみでもある時期です。だから、不安をして楽しい要素を増やせるようなコミュニケーションができれば、いい印象や信頼につながります。それはサプリメントでも、化粧品も同じです。
    「お送りしたお試しセットは製造して1週間以内の作りたての商品です。届いたら早めにお使いください」と伝えれば、次の旅行のときまで取っておかないで使ってみようとなる。これ本当によくあるんです。お試しセットを旅行のために取っておくっていう使い方。でも何も説明がなかったらそうしますよね。そして結局、本商品の購入まで行かずにやめてしまう場合がすごく多い。F2転換にとっては、商品・タイミング・コミュニケーションが大事だということを忘れないでほしいですね。


     私がよくやっているのは、はじめて利用してもらったお客様に「この度は登録していただきありがとうございます。弊社はこのようなサービスをしている会社です。個人情報は大切に扱いますのでご安心ください。発送の手配ができましたらすぐにご連絡します」という内容をすごくリッチなメールで送ること。これを画像が入らないプレーンテキストで送る会社が多いと思いますが、それだとお客様のテンションが下がってしまう。
     さらに、発送手配ができた時点で、発送前に「手配ができました」と伝えるし、発送できたら「発送完了しました」と連絡する。届いたときに「お手元に商品は届きましたか?もし不備があればすぐに交換しますので」という連絡をする。最初にこういうことをきっちりやると、お客様にちゃんと誠意が伝わります。


     実はオイシックスの社長は月に1回、お客様にヒアリングに行っています。お客様の家にあがって冷蔵庫とかを見せてもらう。注文している商品を見ると、魚を買っていない。この家は魚が嫌いなのかなと思っていると、冷蔵庫に魚が一杯あったりする。「どうしてですか?」とヒアリングしていくと、そこから新しいサービスができることもあります。
     社長が家に来たら、お客様がびっくりするのではと思う人もいるかもしれません。でもそれが面白くて、「社長が家に来た」といって喜ぶ人が多いんですよ。そしてそれがまたリピートにつながったりする。意外な副産物なんですけど、考えてみたら確かにうれしい。だってそうじゃないですか。ある会社のサービスを利用していたらその会社の社長秘書から「ユーザー調査をしているので、今度行かせていただいてもいいですか」と電話がかかってきて、本当に社長がやってくる。そうしたら絶対その会社のファンになりますよね。だからお客様へのヒアリングは経営者自らやったほうがいい。


     私が新規プロオーションを設計する際に、最初に改善するところがあります。それは、商品の注文完了メールです。はじめて商品を買ってくれた人に「ご注文ありがとうございました」というメールはどの会社でも送りますよね。でもモール系のショップの場合、文字だけの、誰も読まないような注意書きが一杯書いてあるメールが送られてくることが多い。そういうメールを、いかに自社が伝えたいことに変えるか。お客さんの不安を解消し、期待している情報に変えていくか。


    ここまでのまとめ
    1.自社のお客様を分析して、リテンション状況を把握する
    2.リテンションの中でも、F2を重視して施策を実施する
    3.F2だけでなく、ロイヤルティを上げて使い続けたくなる仕組みを作る
    4.入口の体験を設計して、適切な広告費を算出する


     一般論ではありますが、カートのところだけはちゃんと改善されるべきです。商品をカートに入れてから、離脱しているユーザーと購入完了しているユーザーの比率を見ると、購入完了ユーザーの割合は普通で50%くらい。いいサイトだと60%、悪いと30%くらいになる。この数字が下がるのは購入を完了する途中で、何らかの要因があって購入する気持ちが低くなってしまっているからなんですよね。

  • デジタルマーケティングの基礎としてやるべきことや重要となる考え方がわかりやすくまとまっていて良かったです。読者のターゲットとしてはデジタルマーケティングの初級編のイメージで、これからデジタルマーケティングをやりたい人や何をすれば良いのか分からない人が見ると良い気がしました。

  • デジダルマーケティングとは何かがざっくりと掴めるよくできた本。
    初回キャンペーンの次の購入をいかに作れるかが重要というところに心打たれた。

  • ★3.0
    ライトなデジタルマーケティングの入門編という感じで、新しい発見はあまりないが、楽しく読めた。

  • 自宅にいる時間が長くなったので、きちんと読んだもののアウトプットを再開したいと思います。

    最近業務範囲が拡張され、今さら感満開なんですが、デジタルマーケを勉強する必要が出てきてとりあえず総論理解したくて手にした一冊。
    何せいままで全く触れてこなかった分野のため、全てが新鮮に感じました(というか無知なだけ)
    ほんと読者が素人であることを前提に書かれているので、入門編としては最適の内容と分量のような気がします。

    ただ、何事もそうですがとにかく業務に落とし込まないと何にも生まれません。
    業務で当たって砕けながらもう一度読み直すときっと違う景色が見えるのでしょう。

    日々精進。

  • 「売れる続ける仕組み」をどのようにしたら構築できるのか。
    まずは自社の売上構造を分析し、どんな顧客から売上が上がっているのかを理解することが必要と説く。
    「新規顧客・継続顧客」と分類し、分類した顧客ごとに売上を分解していくいくと、やらなければいけないことが把握できる。
    また広告費はいくらまで出せるかは、まず自社のお客様が新規で入ってきてからの平均でどのくらいの期間、継続利用しているのか(平均継続期間)を調べ、1件あたりの新規顧客獲得単価(CPA)、および、F2転換すなわち継続顧客獲得単価(CPO)をかけても利益が出るモデルになっているかを理解することが重要ととしている。
    非常に丁寧にロジカルに語られている本です。

  • 仕事でECに関わる方は読んで損はないと思います。
    仕事でECに関わっていないため、自分ごととしてとても納得、という訳ではありませんでしたが勉強になりました。
    特に特定の顧客と継続的なコンタクトを取ることが可能なデジタルだからこそ、顧客との関係性をどう構築していくかが重要であると感じました。またECに限らずですが、本来の目的を押さえて考えていくことの大切さを改めて感じました。

  • マスマーケティングだとそこまで新規、既存について拘らないけれど、ECの世界では大切。顧客数が見えるし、そこまで追えるからなんだろうな。あと初回購入の大切さ、どの商品なら自分たちの商品のファンになってもらえるかという視点大切。

  • 「デジタルマーケティングは広く、そして深い(=大変!!)」

    デジタルマーケティングの入門書って、広くを網羅しようとすると浅くに留まって読後に何も残らないし、深くに行くのはもはや入門書じゃないし…

    本書はめちゃくちゃ読みやすいのだけど、全体に貫かれている目的思考とユーザー目線(どう思ってもらうために/どういう行動を取ってもらうために→何をする)によって、入門として必要な目線・考え方を学べる。

    先輩におすすめされながらも、大文字ドドドン!系の表紙が苦手で読むの躊躇してたのですが、笑
    読んでよかったです。

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著者プロフィール

株式会社シンクロ 代表取締役社長/株式会社コラーニング 取締役CMO(チーフマーケティングオフィサー)/オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員CMT(チーフマーケティングテクノロジスト)/GROOVE X 株式会社 CMO/鎌倉インターナショナルFC 取締役CDO (チーフデジタルオフィサー)複数社を兼業して、主にマーケティングの領域を管轄している。20代の頃に2年半にわたって世界一周しながらアジア、南米、アフリカ各地で旅行記を更新。帰国後、EC企業にてWebマーケティングに取り組む傍ら旅行を続け、現在訪問した国は140ヶ国以上。雑誌や新聞などのメディア掲載多数。オイシックス・ラ・大地株式会社ではデジタルマーケティングを推進するためにECやIT部門を管轄し、株式会社シンクロではコンサルティング業務を軸に企業でのデジタルマーケティングに取り組む。著書に『デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法』『サブスクリプションで売上の壁を超える方法』(共に翔泳社)がある。

「2020年 『マンガでわかる デジタルマーケティング』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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