マネジャーの「ジレンマ」

著者 :
  • すばる舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799100516

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  • vol.129
    仕事の醍醐味をはき違えるな!成果を生み出す判断のモノサシとは?
    http://www.shirayu.com/letter/2011/000256.html

  • *マネジャーという仕事で何をすべきか。
    プロセスを改善するだけでは足りない。ここでいうマネジャーとは、現場リーダーを卒業し、経営というそれまでとは違う分野に片足を突っ込みながらも、現場と直接的に接点を持ち、現場がうまく回るように働きかける役割を持つ人たちのことを指しています。
    *マネージャー観が変わる「3つの気づき」
    ・最初の気づき。まずひとつ目は、マネジャーという仕事がカバーする役割の広さです。
    ・2つ目の気づき。決められたプロセスを守るだけでは、よい商品をつくることなどできないということです。
    ・3つ目の気づき。マネジャーとはジレンマの中で成果を出すのが仕事だということです。
    *ジレンマを許容し、成果を生む。解消されないジレンマ。経営層、他部署、現場、それぞれの立場で判断の基準は異なります。マネジャーはその判断基準にいつも板挟みになります。どちらの事情も理解できるだけに、よけいにつらい立場に追い込まれます。あちらを立てれば、こちらが立たずというジレンマに毎日直面することになるのです。さらには、マネジメントスタイルのジレンマもあります。かつて部下として働いていたころは、指示型のマネジメントが通用しました。しかし、ここ数年、そのスタイルでは成果を出せなくなってきています。指示型のマネジメントスタイルが陳腐化しているのです。未だ経験したことのないスタイルでのマネジメントが求められるという、経験とのジレンマがそこにはあります。残念ながら、これらのジレンマを解消するすべを私は知りません。現時点での答えは「マネジャーとはジレンマの中で成果を出すもの」だということです。むしろ、相反する二つの軸の中で揺れ動きながらも、どちらかの軸に振り切れることなく、宙ぶらりんな状態をいかに許容できるかが、マネジャーとしての能力に他ならないのです。ジレンマは決して解消されません。ジレンマを許容し、そのジレンマを抱えながら成果を出すことが、マネジャーの仕事なのです。そしてその許容度が大きければ大きいほど、マネジャーとしての機能を果たすことができるのです。
    *せめぎ合いをして、着地点を見つける。やってしまいがちな間違いは、現場に迎合したり、とにかく上からの指示だと頭ごなしに押し付けてしまうことです。実際にお互いの意見をぶつけて、着地点を見つける。この考え方は自分がマネジャーとなってからのベースとなりました。マネジャーに必要な行動は、組織として必要なことを伝え、それがなぜ必要なのかを説明し、現場の事情をすべて吐き出させることです。そして、ギリギリのラインで着地点を見つけること。
    *すべてが優先順位『高』
    優先順位はつけられない。仕事には優先順位をつけなければならないとよく言われます。しかし、実際の仕事では、優先順位をつけるのがむずかしいことも珍しくありません。「既存の顧客やプロジェクト」と「新規の顧客」ではどちらを優先するのか。ほかにも「品質を求めればコストがかかる」「納期を縮めれば品質が保証できない」など、どれを優先すればいいかが、わからないことだらけです。何かを優先して、何かが足りなくなってしまえば、仕事としては成果がゼロになってしまうものばかりです。制約を逆手にとる。「顧客の追求といいながら、新規開拓のために人が抜かれる。追加の人も入れない。どうやって既存顧客を守れというんだ。」しかし、組織というのは不思議なもので、一時的には混乱するものの、2、3か月もすれば、ふつうに回るようになります。人が抜かれれば、新たにその役割についた部下が育ちます。予算が足りなければ、予算を使わないでいいように工夫します。納期が厳しければ、間に合うように効率を上げるようになります。つまり、「優先順位がつけられない、すべて優先、かつ足りないものだらけ」という状況をなんとかしようとする中で、人も組織も育っていくということがわかったのです。
    マネジャーとして仕事をしていく上で、仕事の優先順位がきれいに整理され、必要なリソースが割り当てられ、すべてがスムーズに進んでいるということは一度たりともありません。もしそんな状況があったとすれば、楽をしていたり、挑戦していなかったり、衰退しているということにほかなりません。企業は厳しい競争にさらされています。成果を出そうとすれば、多少の無理はしなくてはなりません。スムーズにいかなくて当たり前なのです。誰かが抜けるからこそ、みんなにチャンスが回ってきて、成長するんだ。足りないものがあると、工夫せざるを得ない。
    *「目先の成果」と「将来への投資」が両立しない。
    ビジネスには種まきの時期と、刈り取りの時期があります。種をまかなければ、刈り取ることはできません。しかし、短期的に成果を問われる場合、刈り取りにばかり躍起になって、種まきができないことも多いのです。経営層は、状況が悪くなってくると「目先の売上げが立たなければ会社は成り立たない」と言い、少し状況がよくなれば「目先のことばかり考えないで、将来のことを考えて動け」と言うものです。部下からも「目先のノルマでも精一杯なのに、どうやって将来への種まきをしろと言うんですか」と言われてしまします。マネジャーは目先の成果と将来への種まきの間でジレンマに陥るのです。
    *目先と将来は配分で考える。
    目先の成果と将来への投資は、1か0かで考えると、どちらかに偏ってしまいます。そこで、配分、バランスで考える必要があります。時期によっても配分を変えていかなければなりません。
    *組織で成果を生むのは影響力
    多くの組織では権限は十分に委譲されていません。一部の人間に集中していることがほとんどです。果すべき役割の重さに対して、マネジャーには十分な権限が与えられていないのです。しかし、権限がなくても、成果を生み出すマネジャーがいるのも事実です。一方で、職制上も十分な権限があるはずなのに、十分動くことができない、成果を出せないマネジャーもいます。成果を生み出すのに必要なのは、権限ではありません。権限は成果を生み出すために必要な要素の一部にしか過ぎません。成果を生み出すためには権限よりも、〈影響力〉が必要です。影響力とは「人を動かし、やる気にさせ、成果まで導く力」のことです。〈権限を伴わない影響力〉をいかに発揮するかということです。マネジャーの醍醐味は、ここにこそあるのです。
    *判断基準がない人は信頼されない
    いざというときに頼りになるのは、イエスマンや「日和見主義的な人間」ではなく、「ダメなものはダメです」と言い切れる、自分の意見を持った人間です。迎合するのではなく、判断基準を持っているからこそ、信頼がおけるからです。結局「イエスマン」や「日和見主義人間」は、割りに合いません。ストレスフルな道でありながら、その苦労が報われることは少ないのです。能力があろうとも、なかろうとも、組織で生きていくうえでは、必ず波というものがあります。誰についているから、誰に気に入られているからといって、その波に左右されないということはないのです。であるならば、多少、いばらの道に見えたとしても、自分の能力を磨き、考えを練り上げ、部下や仲間から信頼されるマネジャーとなる努力をするほうが、息の長い仕事人生を送ることができると思うのです。

  • 読み終わった後、「マネジャーのジレンマ」という題がピッタリであると思った。とても現実的な視点で述べられており親近感がわき読みやすかった。なかでも、
    ・関係部署に知り合いを作る。
    ・マネジャーは部下の一生を背負っている。
    ・判断でグレーな状態を作る。
    ・上司の実績を宣伝する。
    などは少し意識的に良いと思った。

    あと部下に示すロードマップ6要素
    1)表の目的
    2)裏の目的
    3)目標
    4)最終期日
    5)途中のマイルストン
    6)各プロセスの終了基準
    は参考になった。

    思考を促す5つの質問
    1)〇〇さんはどうしたいの?
    2)その意図は?
    3)そうしたら、どうなる?
    4)ほかにもっといい方法はないか?
    5)〇〇さんはどう思う?
    も意識してみたい。

  • リアルな経験談でとても参考になる。

    根回しの大切さ、部下を育てる大切さ、中間管理職的な板挟みのマネジャーというものに対する考え方などなど。

    やっぱり仕事は人対人で、部下や上司、顧客に対して小手先、上っ面ではなくて本気で、かつ、先を読みながら正直であるべきだなと感じさせられた。

  • マネージャーというと
    経営分野に片足をツッコミながら、
    現場がうまく回るように働きかける役割の人。

    経営層、他部署、現場、それぞれの立場で
    会社全体が最適となるよう調整していかなければいけません。

    しかし、我々のような小さな会社では、
    社員全員が、マネージャーのように全体状況を把握しながら
    ある程度自分で判断し、個々の仕事を進めることが必要です。


    本日ご紹介する本は、

    マネージャーという立場が
    抱えるジレンマを上げ、成果を上げるための
    考え方を示した1冊。

    いろいろな立場の人の状況を把握し、
    調整する力は、マネージャーでなくとも
    仕事をする上で必ず役にたつものです。


    ポイントは
    「準備」

    目の前のことだけではなく、
    いかに広く視野をもって、
    いろいろなことに準備できているかが大切です。


    「日頃のコミュニケーション」

    周りの人や他部署にムリを聞いてもらうには、
    日頃のコミュニケーションができているかどうか
    にかかっています。

    常日頃からコミュニケーションするよう
    心がけておくことは、いざというとき重要です。


    「バッファの管理」

    本来の予定や見積もりと、バッファは別に管理しましょう。

    パーキンソンの法則というのがあります。
    ”仕事は与えられた時間すべてを使ってしまう”というもの。

    予定や見積もり事態に余裕をもたせてしまうと
    たいてい、余裕分も使い果たしてしまいます。

    かといって、余裕を見ないと苦しくなります。

    そこで、余裕のあまりない計画にしておいて
    バッファは別でもっておくのがベターです。

    ぜひ、読んでみてください。



    ◆本から得た気づき◆
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    他部署にムリを聞いてもらうには、日頃のコミュニケーションができているかどうかにかかっている
    成果の共有=他部署の協力で成果がでたら、その結果もちゃんと伝えるようにする
    影響力=「人を動かして、自分の進めたい方向に持っていく力」がものごとを進める
    新しい取り組みや改善には時間がかかる→小さくても成果を感じるような工夫が必要
    最終的な判断基準は「顧客ならどう思うか」=顧客が納得することが最終ゴール
    経営資源のなかで、どこからも借りれないのが「ヒト」と「プロセス」
    「どうすればヒトが育つか?」 「どうすればプロセスをよくできるか?」 を同時に考える
    部下たちをそれぞれの分野における専門家として扱うこと
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    ◆目次◆
    1章 マネジャーが抱える「ジレンマ」とは
    2章 成果を生み出す判断の〈モノサシ〉
    3章 上位層を調略する
    4章 高みに登らせ、成果へ導く方策
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    ◆マインドマップ◆
    http://image01.wiki.livedoor.jp/f/2/fujiit0202/0d7dca494104b9bb.png
     

  • なぜか、頭に入ってこない。
    リアルなことは書かれているような気がする。

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