経営戦略全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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  • / ISBN・EAN: 9784799313138

感想・レビュー・書評

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  • 経営戦略史、その名の通り、大凡「経営」にまつわる歴史として、大きなインパクト残した賢人及び書籍、そしてその内容を簡潔に紹介している。歴史とはストーリーだ。本書でも紹介されている『偶然の科学』にもあるように、過去の事実から必然的な答えを導き出すことは困難であるが、時の流れはシーケンシャルであり、スロットの異なるイベント間には少なからず論理的な動機づけが介在している。そういった意味で、断片的かつ単発でしか持ち合わせていなかった経営戦略に係る知識を、有機的に整理しエンハンスすることができるツールとして、非常に効果的であった。

  • タイトルの通り、経営戦略の歴史を一冊にまとめたもの。
    わかりやすく、読みものとしてもおもしろい。
    大きな流れは理解することができる。(した気になれる。)

    <メモ>
    ・人は経済的対価より社会的欲求の充足を重視する。
    ・合理的でなく感情に大きく左右される。
    ・インフォーマルな組織に影響されやすい
    ・職場での人間関係に労働意欲は左右される
    以上メイヨー。
    〈アンゾフの成功する多角化の戦略的要素〉
    ①製品市場分野と自社能力の明確化
    ②競争環境の特性理解 
    ③シナジーの追求
    ④成長ベクトルの決定
    ・TOWS分析は戦略のオプション出しに使える!ただし、施策のアイデアが出てくるだけで、答えは出ない。重みづけもトレードオフもないため。
    〈ポーター5力フレームワーク〉
    ①競争戦略策定時もっとも重要なのは企業をその環境との関係でとらえること
    ②その環境として大切なのはその企業がいる業界の定義とその構造
    ③業界構造は自社にかかる圧力として理解でき、5種類ある。
    ④その中でもっとも強い力が決め手(競争の最重要要因)となる
    〈ナポレオンは勝てるところだけで戦った。〉
    〈ランチェスターの第2法則〉
    ・特定の敵を複数の味方が同時に攻撃できる場合1人が複数人と戦えるため戦力はその二乗に比例する。自社がシェア2位なら3位以下と闘ってシェアを奪ってから1位と戦う。1位は狭いところに相手を逃げ込ませず、遠距離法で戦う。
    ・業界外のベストプラクティスに学ぶ。ゼロックスは倉庫業務をLLビーンに学び、請求業務をアメリカンエクスプレスに学んで成長している。
    〈シュンペーター〉
    イノベーションの4つの主張
    ①イノベーションの非連続性
    ②イノベーションの類型化 業界で未知であることが必要
    ③金融機能の重要性 
    ④企業家の役割 経営者ではなく、企業家
    〈スティーブンソンのアントレプレナー論〉
    ①戦略の立て方:今の資源に囚われず機会を追求する
    ②機会への対応:長期に徐々に出なく素早く対応する
    ③経営資源:所有するのでなく必要なだけ外から調達する
    ④組織構造:ヒエラルキー型でなくフラットに。インフォーマルなネットワークで多重に結ぶ
    ⑤報奨システム:個人でなくチーム単位で。固定式でなく儲けに応じて配分する。
    →要は起業で成功するには、戦略をじっくり立てるのではなく、外部からくる機会に素早く対応し続けよということ。
    〈バーニー 持続的な競争優位性の源泉の判断基準〉
    VRIO
    ・経済価値 希少性 模倣困難性 非代替性
    〈クリステンセン イノベーションのジレンマ解決策〉
    ・小さな別働隊をつくって、別の指標で管理して、既存顧客には売り込まず、それを求める新しい顧客を開拓しよう。
    ・イノベーターの特徴
    ①5つの基本的な発見力(関連付ける力、質問力、観察力、ネットワーク力、実験力)に優れ、人より時間を費やしている
    ②関連付ける力は認知的スキルだが②~⑤は行動である。行動を変えることで創造性は上がりうる
    ・過去の知的資本を守り、未来の知的資本から最大の収益を上げるための戦略が知財戦略。知財戦略とは製品戦略、R&D戦略と三位一体のもの。
    〈ワークシフト〉
    ①できれば好きなことの中で複数の専門性を持つ
    ②他者とネットワークをつくる。やすらぎを感じられる人間関係も含めて
    ③所得と消費による満足から脱却する。
    ・過去に学ぶのではなく、今の知慧を集める。予測・推測するのでなく、実際にやってみる。が社会学からの答え。
    ・流行の最先端を追う事で実現する思考錯誤型戦略。
     今の流行をはかるちから
    〈ブランク〉
    ・顧客開発モデル
    ①顧客発見(聴いて発見)
    ②顧客実証(売って検証)
    ③顧客開拓(リーチを検証)
    ④組織構築(本格拡大)
    〈リース〉
    ・顧客に価値を提供できないものは全てムダ
    ・それが検証できないもの、学びにつながらないものはすべて無駄
    〈リーンスタートアップ〉
    ・戦略は軸足を変えながら改善し続け、固まるまでは大勝負をしない
    ・作業は提供価値の向上とアイデアの検証につながることだけに絞る
    ・これらの改善、検証をMVPを使って超高速で行う

  • 経営戦略理論が学問的にだけでなく、実務的な経営課題を素材にその解決策を提供するために発展してきた歴史を俯瞰することができる。
    経営戦略や経営管理における意思決定やそのためのツールがどのような理論的な背景や課題解決のために生み出されてきたのかを理解することで、ツールをより適切に活用するための視点を得られる。
    自分自身の人生や仕事を上手くやる=自分を経営する上でも様々な示唆を与えてくれると思う。

  • テイラーの科学的管理法から始まり、今現在も淀みなく流れ続けるAmazon、Googleまでを捉えどのような時代背景を基に考えられ、受け入れられてきたかがこの1冊で分かる。
    私自身今まで、色々な戦略に触れてきたが、ブルーオーシャン戦略が発表されたときもまだ鼻水を垂らすような人間であったっため、どれもが新鮮でありどこか古くもあり(色んな派生の情報を受けていたため)、魅力的であり、どれを軸に分析・実行をしていけばいいか分からないでいた。

    そこに、あらゆる経営戦略を俯瞰的に”楽しく”読めて、自社の立場を鑑みてどのような戦略で「テスト」をしていけばいいかという指針となる本である。

    あと3回は読んで自分に刷り込んでいつでも取り出せるようにしておきたい。

  • 経営戦略の歴史を俯瞰して要領良くまとめられていて読みやすかった。また、リーン・スタートアップなどの最新動向も経営戦略の一部として捉えて説明されているのが良かった。

    ただ、本の作りとして段組や余白がなぜこんな変てこな感じなのか分からない、読みにくい。

    あと、この手の本を読む人は結構真面目な人が多いと思うので、架空の対話とかソフトタッチの概念図とかはっきり言っていらない。普通に論理的にまとめられている方がいいと思う。

  • 経営戦略の歴史を書いた本で、1910年代の大量生産の管理法から始まり、1960年代からの外部環境を重視するポジショニング派の発展、1980年代からの内部環境を重視するケイパビリティ派の躍進、そして現代の試行錯誤により戦略を決めていくアダプティブ戦略までを解説されています。著者はBCGやアクセンチュアでコンサルをされていた方。
    戦略というと、説明するに分析ツール(SWOT分析など)を使う人がいたり、はたまた夢を語ることが大事という人がいたりと、いろんな方法があるなあと少し戸惑っていましたが、この本でそれぞれの戦略が生まれてきた大きな流れを知ることで各戦略の特徴を整理することができました。
    特に後半に出てくる「アダプティブ戦略」の関連書籍は別途読んでみたいと思いました。

  • まず、経営戦略の概要をざっと把握できる。
    しかも、挿絵がお洒落かつ経営学者たちの写真が挿入されているため、とっても親しみやすい。
    それぞれの特徴もよくまとまっており、断片的に知っていた経営戦略の位置づけを理解するのに大変役に立った。ここから、特に気になる経営思考を深掘りしていく作業に移ることも可能。
    中でも私は、野中先生のSECIモデルとその考え方に興味を持ったので、次は「知識創造企業」を読んでみようと思う。
    随所に織り交ぜられているコラムも大変参考になる。(恐竜がなぜ、絶滅したかなど、親しみやすい例で伝えてくれる。)

  • 経営戦略にいまだに決定版は出ていないということはよくわかった。というか、色々な状況の外部因子が多すぎるということと、所詮結果論であるというようなことかな、という感想を持った。
    過去の賢人の知恵は同じ失敗をしないという意味で補助的に利用する必要はあると思う。それを歴史的に源流に遡るカタチで理解できるという意味では素晴らしい本だと思った。

    でも、まったくこのへんの知識がない人が読んでも、なるほどとは思うけど、右から左へ流れてしまう本だとも思った。まぁまったく知らない人がこの本を手にとることもないとは思うが。

  • 「ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶベスト経営書2013」というランキングで第一位だった本書を読んでみました。

    経営戦略というのは、1910年頃にその源流が興って以来、現代まで多くの理論がマッキンゼー、BCGなどのコンサル会社や企業経営者、はたまた学者先生によって展開されてきた。
    それらは「その時代の、その環境においては」ひとつの最適解であったものの、環境が変われば答えも変わる経営において、パーフェクトな理論というものは今のところ存在しない。

    過去の経営戦略ひとつひとつは偉大だし、学ぶことに大きな価値があるけれども、一見カンペキに見えるものも数年後には別の人が論破してたりする。
    その前後の時代背景を踏まえながら(点ではなく線で)経営戦略の歴史をかいつまんで学べる本書は最高の入門書です。

    この本の中で重要人物132人と、重要な書籍が72冊も紹介されています。
    もっと勉強したい部分があればその本を読めばよいのでブックガイドとしても使える一冊でした。

    ---

    1960年代から「ポジショニング派」というのが流行る。ポーターがその代表選手で、「どの市場において、どのような位置を取るかが企業にとって最も重要だ」と。企業の「外部」に目を向けた戦略。
    ポーターは企業内のオペレーションの最適化なんてのはやって当たり前だと言った。

    それに対して、もっと企業自身の「内部」に目を向けたのがケイパビリティ派で、1980年代に現れる。市場におけるポジショニングよりもその企業の能力(ケイパビリティ)こそが大事だと。
    ピーターズやバーニーがその代表選手で、エクセレント・カンパニーとかイノベーションとかって言葉が流行り出す。

    ただ面白いのが、ポジショニング派が褒めた企業も、ケイパビリティ派が絶賛した企業も数年後には潰れちゃったりする。

    そうこうしてるうちに1990年代、どっちの考え方も必要だし、ケースバイケースだし、もっと考え方を統合させようよ、と言ったのがミンツバーグで、正解がないという意味で経営戦略はアートなんだと言った。
    そして2010年代には、実験しながら、失敗しながら最適解を見つけるという「アダプティブ戦略」に行き着く。
    経営戦略は「やってみなくちゃわからない」と。

  • 中小企業診断士で企業経営戦略の勉強している時、この本があったらもっと理解が進んだのになと思える良書。経営学の歴史を発端から現代まで、俯瞰的にたどることができる。

    ・経営戦略史は、定量的分析、定型的計画プロセスを重視するポジショニング派(企業の外部環境重視)と、数量的に分析できない人間的側面を重視するケイパビリティ派(企業の内部環境重視)の2潮流があった。何でも屋の天才ミンツバーグは、外部環境が大事な時はポジショニング派的に、内部環境が大事な時はケイパビリティ派的にやればいいと言った。
    ・21世紀になって、経済環境、経営環境の変化が劇的になったため、ポジショニング派もケイパビリティ派もすぐ陳腐化するようになった。そこで出てきたのが、アダプティブ戦略。やってみなくちゃわからない、どんなポジションで、どんなケイパビリティで戦うべきかは、ちゃちゃっと試行錯誤して決めていこうというやり方。

    <経営学の始まり>
    ・経営学の父、テイラーは、定量的な経営学を始めた。時間、作業分析によって管理者が最適な労働を科学的に定めれば、工場の生産性は上がるとした。
    ・メイヨーはテイラーの科学的管理技法に反対し人間関係的管理法を主張した。作業の生産性は作業者の士気に左右される。士気は、職場の上司や同僚との人間関係、相互信頼に左右されるとした。
    ・フランスのフェイヨルは、経営者の立場から、企業全体の活動を定義した。最も大事なのは、経営活動(計画、組織化、指令、調整、統制管理)プロセスだとした。

    <近代マネジメントの創世>
    ・アンゾフは、企業における意思決定を3種にわけて、3Sモデルとした。意志決定の対象は戦略、組織、システムである。中でも戦略が最も重要とされた。
    ・経営戦略とは現在と未来をつなぐ方針である。未来の自社のあるべき姿を描き、自社の現在地を明確にし、その差、ギャップを埋めるギャップ分析こそ経営戦略である。
    ・事業多角化の際、既存事業と新規事業を結びつけると相乗効果が出る。無関連多角化は戦略ミス。
    ・チャンドラーは、経営者にとって事業戦略は変えやすく、組織戦略は変えにくいので、事業戦略に従って組織を改編していくべきとした。これが日本の教科書では「組織は戦略に従う」という言葉になった。

    <ポジショニング派の台頭>
    ・ポーターは戦略は3つしかないと言った。敵より安く作るコストリーダーシップ戦略、敵より付加価値が高いものを作る差別化戦略、敵より土俵を絞り込む集中戦略の3つだけである。
    ・SWOT分析(内部環境の強みと弱み、外部環境の機会と脅威の分析)は現状分析でしかない。TOWS分析は戦略オプション出しに使える。
    ・機会と強みで積極攻勢策。
    ・機会と弱みで弱点強化策。
    ・脅威と強みで差別化策。
    ・脅威と弱みで防衛撤退策。
    ・コトラーはSTPとMMが大事だと言った。STPは、自分が有利になるように市場を分割(セグメンテーション)し、市場を決定(ターゲッティング)し、競合に差をつけるポジショニング戦略を決めること。MMとはマーケティングミックスのこと。STP具体化過程で行うマーケティング戦略である。4P(プロダクト、プライス、流通チャンネル、プロモーション)を元に考えることが多い。
    ・成功した日本企業の分析によって、アメリカの経営学者ゼーコンは「事業に自信があるなら借金を増やせ!」という方程式を得た。自己資本比率を高めることだけが善だった経営者にとって衝撃的だった。

    <クラウゼヴィッツの戦争論>
    ・ナポレオンが連戦連勝したのは、勝てる戦いだけ戦ってたから。

    <ランチェスター戦略>
    ・数が多い方が勝つ。数が少なかったら、1対1に持ち込む。火力を集中して少なく分離した敵と戦うべし。
    ・弱者は一点に集中して接近戦の一騎打ちに持ち込むべき。
    ・自分が市場2位なら、まず戦うべきは1位ではなく3位のプレイヤー。3位からシェアを奪ってから1位に戦いを挑むのが弱者の戦略。
    ・強者は逆。近距離戦は避けて遠距離で戦う。接近の白兵戦になっても、相手の集中攻撃に対する素早い対応と資源投入さえ怠らなければ大丈夫。

    <孫子の兵法>
    ・開戦にあって最も重視したのは兵の数や武器の多さと人の要素(君主、将軍のリーダーシップ、兵のスキル、統率とモチベーション)
    ・孫子は勝利を重んじたので、百戦百勝。しかし、「戦わずして敵国、敵軍、敵兵を降伏させるのが最善」。


    <ケイパビリティ派の群雄割拠>
    ・ゼロックスは競合や他業種のベストプラクティスを学んで、自社の実力と比較(ベンチマーキング)。内部ベンチマーキング(社内比較)、競合ベンチマーキング(業界内比較)、機能ベンチマーキング(業界外比較)を駆使し、日本企業に対抗した。
    ・日本企業に学んだストークは、コストではなく時間を重視しろというタイムベース戦略を主張。顧客要望の対応時間を短くすることで、付加価値を上げた。
    ・ハマーのリエンジアニング理論は、企業全体を変革する手法だったが、難しくて実現困難だった。
    ・ハメルはコア・コンピタンス経営を主張。他社にマネされにくく、顧客価値を創出でき、他業種に展開できる企業の中核がコア・コンピタンスだとされた。
    ・フォスターとマッキンゼーはイノベーション戦略を提唱。
    ・イノベーションは担当者の変更を伴う、非連続な革新である。シリコンバレーの起業家(アントプレナー)の成功が注目されるようになった。

    <スティーブンソンのアントプレナー論>
    ・今自分が持っている資源に囚われず、チャンスを追求する。
    ・徐々にでなく素早くチャンスに対応する。
    ・経営資源は所有するのでんあく外から調達する。
    ・ヒエラルキー型ではなくフラット。インフォーマルなネットワークを多重に結ぶ。
    ・個人でなくチーム谷で、固定式でなく儲けに応じて報酬を按分する。
    ・起業家として成功するには、戦略をじっくり練るのではなく外部から来るチャンスに素早く対応し続けよ。
    ・多くのアントプレナーは計画なしで成功する。しかし、背後には膨大な失敗がある。理論になりにくい?

    <組織ラーニング論>
    ・起業家論で組織が置き去りにされた。組織論には、組織ラーニング論が流行。個人と組織が継続的に学習する。
    ・野中侑次郎はSECIモデル(共同化、表出化、連結化、内面化)を唱えた。

    <ポジショニングとケイパビリティの統合と整合>
    ・ミンツバーグは状況に応じてポジショニングとケイパビリティを組み合わせて使えとコンフィギュレーションを提唱。
    ・ノートンとキャプランはバランスト・スコアカードを発表。財務の視点、顧客の視点、内部プロセスの視点、イノベーションと学習の視点の4つの視点で企業活動を評価する枠組み。ここで全ての企業活動は統合され、ポジショニング戦略とケイパビリティ戦略が1つにまとまった。

    <ブルー・オーシャン戦略>
    ・フランスのキムとモボルニュはブルー・オーシャン戦略を発表。強豪がひしめき戦いの血で染まったレッドオーシャンではなく、新しい価値とコストをもとにしたブルー・オーシャンを作ることを提唱。
    ・ポーターの付加価値追求か低コスト追求かの二択しかない、トレードオフ関係を否定した。良い戦略とは、敵のいない新しい市場を作り出すこと。高付加価値と低コストの両立は可能とした。
    ・戦略とは、新しい市場コンセプトの創案と、それを実現するケイパビリティの創造(バリュー・イノベーション)であるとされた。
    ・ブルー・オーシャンはすぐマネされて、レッド・オーシャンに変わり得る。アマゾンやグーグルのように、常に新市場を探索しつつ、内部環境を改革し続ける姿勢が必要。

    <グローバル化の動向>
    ・フリードマンは世界はフラット化したという。フロリダは、『クリエイティブ・クラスの世紀』で、フラット化したのはクリエィティブ・クラスが集まる都市だけの話で、世界はむしろどんどんギザギザになっていると言う。
    ・世界の不確実性は増している。世界は膨張している。世界は複雑化している。
    ・リーダー企業は顧客志向がありすぎるため、既存顧客にしがみついて、イノベーションできなくなる。やがて破壊的イノベーションに成功した企業に負けて、市場から撤退する。

    <BOP>
    ・BOP層とは、年間世帯所得3000ドル以下で暮らす層。2007年時点で世界に40億人いる。ここを支援の対象でなく市場とみるのがBOPビジネス。
    ・2030年には、BOP層が新中間層に上昇する。
    ・途上国で開発された製品が先進国他世界で売られるリバースイノベーションが増加。

    <ネットの可能性>
    ・エヴァンスは、ネットによって、トレードオフ関係にあったリーチ(情報がどこまで届くか)とリッチネス(情報がどれだけ豊富か)の両立が可能になったと主張。
    ・多くの人に影響力を持つスーパーインフルエンサーはたいして重要でないと判明。情報拡散時、スーパーインフルエンサーは不要だった。スーパーでないごく普通の人達が7人つながれば、世界中に情報が届くとわかった。

    <フューチャーセンター>
    ・スウェーデンで始まった。幅広いステークホルダーを巻き込んでフラットで創造的な場を作ること。
    ・オープンイノベーション、知識経営の実践である。

    <ワークシフト>
    ・グラットンは、複数の専門性を持つこと、他者とネットワークを作ること、所得と消費による満足から脱却することを提唱。

    <最後の答え「アダプティブ戦略」>
    ・歴史に学ばず、衆知と対照実験(パターンAとBどっちが良い結果をもたらすか実験すること)に学べ
    ・グーグルは対照実験を繰り返して、最も受けるサービスをブラッシュアップしている。もちろん失敗もあるが、ある程度失敗しないと、後続企業に負けてしまう。だからこそ無駄に見える試行錯誤を色々やり続ける。
    ・成功体験にしがみつくと、大失敗につながる。
    ・過去から学ばず、結果だけで見ず、自分で自分を評価しないようにする。予測と推測もやめて、現在実際にやってみると、成功に近づく。
    ・オープンイノベーション、知恵を集めて成功するサービスを作る。
    ・ブライトスポット・アプローチ、よき結果を出している人の工夫や努力をヒアリングし、それを他に伝える。
    ・データ民主主義、データの力で意思決定する。
    ・現代戦における戦略は、現場での試行錯誤とそのフィードバックのみによって成立する。
    ・試行錯誤経営が最後の答え。素早くやって、素早く学ぶ。素早く修正して、素早く方向転換。高速試行錯誤の連続。

    <デザイン思考>
    ・とにかくどのステップでも試作してみる。
    ・アンケートでなく対話による質問、実際の使用現場で観察してデザインの改善案を出していく。
    ・試作のハードルを下げる。まず作っちゃえ。
    ・荒削りな試作品をどんどん作ると会社が変わる。
    ・ファッションブランドも未来の流行予測、流行誘導を辞め始めた。ZARAやH&Mなどファストファッションブランドは、店舗や世界の街で今受けている洋服を販売する。武器は店頭や街角の写真で十分なのである。

    <リーン・スタートアップ>
    ・ブランクの『アントプレナーの教科書』。商品開発より前に顧客を開発(発見)しよう。顧客がいるとわかってから、はじめて商品を作る。
    ・顧客に価値を提供できないものは全て無駄。
    ・学びにつながらないものは全て無駄。

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著者プロフィール

金沢工業大学大学院 教授
1964年生まれ。87年東京大学理学部卒業。92年INSEAD卒業。経営学修士。87年ボストンコンサルティンググループ入社。96年アクセンチュア株式会社入社。アクセンチュア 戦略グループ エグゼクティブ・パートナーを経て現職。

「2023年 『マンガ ビジネスモデル全史〔新装合本版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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