経営戦略全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)
- ディスカヴァー・トゥエンティワン (2013年4月27日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784799313138
感想・レビュー・書評
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過去100年にわたる経営戦略全体を俯瞰すると、以下のように推移してきた。
①「経営」の定義:テイラー(科学的管理)、メイヨー(ホーソン実験)、フェイヨル(経営管理プロセス)、バーナード(外部環境への適応手段)、ドラッガー(マネジメント)
②ポジショニング派(有望な市場を探せ):アンゾフ(アンゾフマトリクス、市場浸透・市場開拓・製品開発・多角化)、チャンドラー(組織は戦略に従う)、アンドルーズ(SWOT)、ヘンダーソン(PPM、スター・問題児・金のなる木・負け犬)、ポーター(ファイブフォース)&(戦略3類型、コストリーダーシップ・差別化・集中)
③ケイパビリティ派(企業の強みを活かせ):ピーターズ(エクセレントカンパニー)、ハメル(コアコンピタンス経営)、ハマー(リエンジニアリング革命)、ストーク(タイムベース競争戦略)、野中郁次郎(知識創造の経営)、センゲ(学習する組織)、バーニー(RBV)
④一緒にやれば派(状況に合わせた組み合わせ):ミンツバーグ(経営戦略は芸術&創発的)、キム&モボルニュ(ブルーオーシャン戦略)、アンゾフ(戦略経営論)
⑤イノベーション派:シュンペーター(イノベーションの原動力は企業家)、ドラッガー(イノベーションと企業家精神)、クリステンセン(イノベーションのジレンマ)
そして現在、やってみなくちゃ分からない「試行錯誤型」経営が最後の答えであり、具体的な経営戦略は「リーンスタートアップ」、「アダプティブ戦略」の2つである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とても勉強になった。大きい本屋さんに行っても、経営戦略系の本は有象無象すぎてどれを読めばいいかわかりにくいし、この分野の「流れ」がわからないなあ、とずっと思っていたので、分厚かったけど読んでみることにした。
この本に書かれていることも著者のバイアスがかかっているようなので(ところどころに著者の個人的な感情が見て取れた)、そのへんは織り込んで読み進めないといけないが、その手間を補ってあまりある、よく整理された内容だった。
「流れ」を頭に定着させるために、もう一度読んでみよう。そのあとはそばに置いて辞書的に使おうと思う。 -
経営戦略100年史、132名の人物、書籍72冊にわたる経営理論やツールについて、概観を端的に説明されており、充分に自社や顧客をに当てはめて考えながら読める。知っているつもりでも、改めて考えるきっかけにもなる。気になるものは、原典にあたればよいし、とても参考になったと思う。私にとって的確な濃度というか。、そんな感じでした。
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経営戦略理論が学問的にだけでなく、実務的な経営課題を素材にその解決策を提供するために発展してきた歴史を俯瞰することができる。
経営戦略や経営管理における意思決定やそのためのツールがどのような理論的な背景や課題解決のために生み出されてきたのかを理解することで、ツールをより適切に活用するための視点を得られる。
自分自身の人生や仕事を上手くやる=自分を経営する上でも様々な示唆を与えてくれると思う。 -
経営戦略の歴史を書いた本で、1910年代の大量生産の管理法から始まり、1960年代からの外部環境を重視するポジショニング派の発展、1980年代からの内部環境を重視するケイパビリティ派の躍進、そして現代の試行錯誤により戦略を決めていくアダプティブ戦略までを解説されています。著者はBCGやアクセンチュアでコンサルをされていた方。
戦略というと、説明するに分析ツール(SWOT分析など)を使う人がいたり、はたまた夢を語ることが大事という人がいたりと、いろんな方法があるなあと少し戸惑っていましたが、この本でそれぞれの戦略が生まれてきた大きな流れを知ることで各戦略の特徴を整理することができました。
特に後半に出てくる「アダプティブ戦略」の関連書籍は別途読んでみたいと思いました。 -
「ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶベスト経営書2013」というランキングで第一位だった本書を読んでみました。
経営戦略というのは、1910年頃にその源流が興って以来、現代まで多くの理論がマッキンゼー、BCGなどのコンサル会社や企業経営者、はたまた学者先生によって展開されてきた。
それらは「その時代の、その環境においては」ひとつの最適解であったものの、環境が変われば答えも変わる経営において、パーフェクトな理論というものは今のところ存在しない。
過去の経営戦略ひとつひとつは偉大だし、学ぶことに大きな価値があるけれども、一見カンペキに見えるものも数年後には別の人が論破してたりする。
その前後の時代背景を踏まえながら(点ではなく線で)経営戦略の歴史をかいつまんで学べる本書は最高の入門書です。
この本の中で重要人物132人と、重要な書籍が72冊も紹介されています。
もっと勉強したい部分があればその本を読めばよいのでブックガイドとしても使える一冊でした。
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1960年代から「ポジショニング派」というのが流行る。ポーターがその代表選手で、「どの市場において、どのような位置を取るかが企業にとって最も重要だ」と。企業の「外部」に目を向けた戦略。
ポーターは企業内のオペレーションの最適化なんてのはやって当たり前だと言った。
それに対して、もっと企業自身の「内部」に目を向けたのがケイパビリティ派で、1980年代に現れる。市場におけるポジショニングよりもその企業の能力(ケイパビリティ)こそが大事だと。
ピーターズやバーニーがその代表選手で、エクセレント・カンパニーとかイノベーションとかって言葉が流行り出す。
ただ面白いのが、ポジショニング派が褒めた企業も、ケイパビリティ派が絶賛した企業も数年後には潰れちゃったりする。
そうこうしてるうちに1990年代、どっちの考え方も必要だし、ケースバイケースだし、もっと考え方を統合させようよ、と言ったのがミンツバーグで、正解がないという意味で経営戦略はアートなんだと言った。
そして2010年代には、実験しながら、失敗しながら最適解を見つけるという「アダプティブ戦略」に行き着く。
経営戦略は「やってみなくちゃわからない」と。 -
経営戦略の全体像がわかる素晴らしい本。説明の仕方にほれぼれとする。
①今まで断片的に得てきた点の知識を、全体の中での位置づけと時代背景という縦糸・横糸で紡いだ地図の上に乗せて見せてくれる。
②個々の説明が明快で分かりやすい。断定的な言い方が小気味良い。
③話として面白く読める。人物紹介が楽しい。高校の頃、ブルーバックスを読んでて突飛な物理学者のエピソードに惹かれたのを思い出す。
④情報分野の説明が詳しい。(著者は、アクセンチュアにも勤めていた。)
⑤20世紀初頭から(多分)最先端まで把握できる。
著者が、「バラバラだった知識が俯瞰され、統合されることの衝撃と楽しさ・・・」と書いているが、まさにそれ。
この本に登場した人物は132名、会社は110社だそうだ。あらかじめ知ってたのは、ホーソン実験、ドラッカー、コトラー、ブルーオーシャン戦略、イノベーションのジレンマ、ベゾス、シュミットとペイジ、IDEOぐらいだった。それでも非常に楽しく読めた。