経営戦略全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)

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著者 : 三谷宏治
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン (2013年4月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799313138

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経営戦略全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)の感想・レビュー・書評

  • まぁ絶えず変動する「戦」のお話ですよ、これは。だからどれも学問として成立しない絶え間ない実践話というところが究極的なミソなんでしょう。
    人道的観点などこれっぽちもない、徹底的な生き残りの方策検討。詰まるところリーダーを頂点にした構図を絶対的是とし、そのリーダーがいかに人・物資をすべからくモノとして上手に捉えるか。
    ですから人間の闇とか深淵とか全くスコープ外、ある意味能天気な人達のための深みなどないお伽噺です。ただ厄介なのはこの人たちはほぼすべからくカネを持ってます。まぁそういうことです、世の中というものは。それが嫌いでもどうしようもないってことはあるもんです。

  • 永く書店の店頭で平積みされているだけあって、確かにお勧めできる本です。

    科学の進化はより真理に近い間違いであるというので、最新の理論が現時点で最も良い理論なのかもしれませんが(そうじゃないことも多いですが)、他方学史を辿ることの意義は、最新の理論が背負っているプロセスを知ることです。

    この本では、社会背景に合わせて経営学の考え方やフレームワーク、フレームワークが変わってきたことがよくわかります。テイラーとメイヨーによる大きな枠組み、ポジショニング/ケイパビリティからのアプローチを経て、グローバルとIT化による社会の変化への対応といったここ100年の経営学史が俯瞰できます。

    何よりも大きいのが、当初大企業における経営幹部のマネジメントが中心対象であったのが、スタートアップやソーシャル、あるいは個人の経営戦略にフォーカスが置かれるようになってきており、それこそリンダ・グラットンの『ワーク・シフト』のような自己啓発本としても読まれる本も終盤に登場しています。

    そういう点では、イノベーションのジレンマを克服するためには大企業はグーグルの小プロジェクトのような企業内スタートアップにスポットライトを当てるための知見が揃ってきていると言えるし、しかしながら著者は最終盤に「市場の定義に始まり、市場の定義に終わる」と書いているように、結局は大企業にしてもスタートアップにしてもどこかで戦う場所がクロスするので、結局はポジショニングが大事なのではないかと思います。

  • 過去100年にわたる経営戦略全体を俯瞰すると、以下のように推移してきた。
    ①「経営」の定義:テイラー(科学的管理)、メイヨー(ホーソン実験)、フェイヨル(経営管理プロセス)、バーナード(外部環境への適応手段)、ドラッガー(マネジメント)
    ②ポジショニング派(有望な市場を探せ):アンゾフ(アンゾフマトリクス、市場浸透・市場開拓・製品開発・多角化)、チャンドラー(組織は戦略に従う)、アンドルーズ(SWOT)、ヘンダーソン(PPM、スター・問題児・金のなる木・負け犬)、ポーター(ファイブフォース)&(戦略3類型、コストリーダーシップ・差別化・集中)
    ③ケイパビリティ派(企業の強みを活かせ):ピーターズ(エクセレントカンパニー)、ハメル(コアコンピタンス経営)、ハマー(リエンジニアリング革命)、ストーク(タイムベース競争戦略)、野中郁次郎(知識創造の経営)、センゲ(学習する組織)、バーニー(RBV)
    ④一緒にやれば派(状況に合わせた組み合わせ):ミンツバーグ(経営戦略は芸術&創発的)、キム&モボルニュ(ブルーオーシャン戦略)、アンゾフ(戦略経営論)
    ⑤イノベーション派:シュンペーター(イノベーションの原動力は企業家)、ドラッガー(イノベーションと企業家精神)、クリステンセン(イノベーションのジレンマ)
    そして現在、やってみなくちゃ分からない「試行錯誤型」経営が最後の答えであり、具体的な経営戦略は「リーンスタートアップ」、「アダプティブ戦略」の2つである。

  • 経営学というのは比較的新しい学問である。その端緒は20世紀初頭のテイラーにさかのぼる。この本では、テイラーの科学的管理法から、イノベーション、学習する組織、スタートアップあたりまで、百家争鳴の経営理論を、流れるように理解させようと試みている。

    基本的には、ここに出てくる理論、手法についてはオリジナルの本で読んでおくべき。そうしないと、筆者の解釈が刷り込まれてしまい、自分で学ぶと得られたかもしれない発想や着眼が得られないおそれがある。

    その上で、この人の解釈はまあ面白い。科学的に分析できる、ベストプラクティスがある、結局はセンス、などの潮流が巡り巡るさまは、経営理論なんて実務家には必要ないな、なんて感じさせる。ただ一つ惜しい点は、最後のほうで筆者の三谷さんの戦略ツールを自慢げに披露している点である。いろんなツールの寄せ集めで、そぎおとすものもそぎ落とさず、これじゃ使ってもらえないなと感じる。

  • とても勉強になった。大きい本屋さんに行っても、経営戦略系の本は有象無象すぎてどれを読めばいいかわかりにくいし、この分野の「流れ」がわからないなあ、とずっと思っていたので、分厚かったけど読んでみることにした。
    この本に書かれていることも著者のバイアスがかかっているようなので(ところどころに著者の個人的な感情が見て取れた)、そのへんは織り込んで読み進めないといけないが、その手間を補ってあまりある、よく整理された内容だった。
    「流れ」を頭に定着させるために、もう一度読んでみよう。そのあとはそばに置いて辞書的に使おうと思う。

  • ずいぶん前にベストセラーになってたものを今更ながら。経営戦略の諸理論を時系列に紹介。テイラーあたりから始まって、ポジショニング派の隆盛とケイパビリティ派の勃興、2大潮流揃い踏み以降の展開、というごくスタンダードな流れでとっつきやすい。また、冒頭に書いてあるようにコンサルティング会社の生み出したフレームワークやツールにも十分なページを割いている点もいい。経営学の標準的な教科書をひと通りやったことがある人には、知識の補完や整理に読いいと思う。

    知らない人や理論がいくつかあったので、まだまだ勉強不足だなと反省。

  • 小難しそうな本だったけど気になってたので読んでみました。400ページ近くあって読書が苦手な自分にとっては読み始めるのに躊躇ってましたが、夢中になって読んでしまった。

    フレームワークや考え方をぐろびっちゃんで習うけど、どんな背景でどんな人が作ったのか、フレームワークの名前になってる人が本来やってたこと(アンゾフとか)、経営にまつわる論争とか100年の時間の流れの中で様々なコンセプトが生まれては廃れ、すべての理論は間違っているとしながらもマネージャーはどれかをえらばなければいけないというのは深いなーとほんと勉強になりました。

    三谷さんの講義受けたことあるけど、講義自体も楽しさとわかりやすさで溢れてて、学びがしっかり伝わるように一味も二味も違う工夫されてたなーと。この本も大した知識ない自分にとってもワクワクしながら読めるのがほんとすごい。
    今学んでることが整理できたし、それぞれの意味合いがわかり、とってもオススメです。

  • 100年にわたる経営戦略史の解説。日常のビジネスに活かすのではなく、知識の一部として。我々が毎日、瞬時に判断する「当たり前の事象」を論理立てて説明しているが、結局は「当たり前」のことなので、読後の率直な感想を一言で表すと「そりゃそうだ」であり、それ以上でもそれ以下でもない。帯の文句に期待しすぎた感あり。デザインは秀逸。

  • 経営戦略史、その名の通り、大凡「経営」にまつわる歴史として、大きなインパクト残した賢人及び書籍、そしてその内容を簡潔に紹介している。歴史とはストーリーだ。本書でも紹介されている『偶然の科学』にもあるように、過去の事実から必然的な答えを導き出すことは困難であるが、時の流れはシーケンシャルであり、スロットの異なるイベント間には少なからず論理的な動機づけが介在している。そういった意味で、断片的かつ単発でしか持ち合わせていなかった経営戦略に係る知識を、有機的に整理しエンハンスすることができるツールとして、非常に効果的であった。

  • タイトルの通り、経営戦略の歴史を一冊にまとめたもの。
    わかりやすく、読みものとしてもおもしろい。
    大きな流れは理解することができる。(した気になれる。)

    <メモ>
    ・人は経済的対価より社会的欲求の充足を重視する。
    ・合理的でなく感情に大きく左右される。
    ・インフォーマルな組織に影響されやすい
    ・職場での人間関係に労働意欲は左右される
    以上メイヨー。
    〈アンゾフの成功する多角化の戦略的要素〉
    ①製品市場分野と自社能力の明確化
    ②競争環境の特性理解 
    ③シナジーの追求
    ④成長ベクトルの決定
    ・TOWS分析は戦略のオプション出しに使える!ただし、施策のアイデアが出てくるだけで、答えは出ない。重みづけもトレードオフもないため。
    〈ポーター5力フレームワーク〉
    ①競争戦略策定時もっとも重要なのは企業をその環境との関係でとらえること
    ②その環境として大切なのはその企業がいる業界の定義とその構造
    ③業界構造は自社にかかる圧力として理解でき、5種類ある。
    ④その中でもっとも強い力が決め手(競争の最重要要因)となる
    〈ナポレオンは勝てるところだけで戦った。〉
    〈ランチェスターの第2法則〉
    ・特定の敵を複数の味方が同時に攻撃できる場合1人が複数人と戦えるため戦力はその二乗に比例する。自社がシェア2位なら3位以下と闘ってシェアを奪ってから1位と戦う。1位は狭いところに相手を逃げ込ませず、遠距離法で戦う。
    ・業界外のベストプラクティスに学ぶ。ゼロックスは倉庫業務をLLビーンに学び、請求業務をアメリカンエクスプレスに学んで成長している。
    〈シュンペーター〉
    イノベーションの4つの主張
    ①イノベーションの非連続性
    ②イノベーションの類型化 業界で未知であることが必要
    ③金融機能の重要性 
    ④企業家の役割 経営者ではなく、企業家
    〈スティーブンソンのアントレプレナー論〉
    ①戦略の立て方:今の資源に囚われず機会を追求する
    ②機会への対応:長期に徐々に出なく素早く対応する
    ③経営資源:所有するのでなく必要なだけ外から調達する
    ④組織構造:ヒエラルキー型でなくフラットに。インフォーマルなネットワークで多重に結ぶ
    ⑤報奨システム:個人でなくチーム単位で。固定式でなく儲けに応じて配分する。
    →要は起業で成功するには、戦略をじっくり立てるのではなく、外部からくる機会に素早く対応し続けよということ。
    〈バーニー 持続的な競争優位性の源泉の判断基準〉
    VRIO
    ・経済価値 希少性 模倣困難性 非代替性
    〈クリステンセン イノベーションのジレンマ解決策〉
    ・小さな別働隊をつくって、別の指標で管理して、既存顧客には売り込まず、それを求める新しい顧客を開拓しよう。
    ・イノベーターの特徴
    ①5つの基本的な発見力(関連付ける力、質問力、観察力、ネットワーク力、実験力)に優れ、人より時間を費やしている
    ②関連付ける力は認知的スキルだが②~⑤は行動である。行動を変えることで創造性は上がりうる
    ・過去の知的資本を守り、未来の知的資本から最大の収益を上げるための戦略が知財戦略。知財戦略とは製品戦略、R&D戦略と三位一体のもの。
    〈ワークシフト〉
    ①できれば好きなことの中で複数の専門性を持つ
    ②他者とネットワークをつくる。やすらぎを感じられる人間関係も含めて
    ③所得と消費による満足から脱却する。
    ・過去に学ぶのではなく、今の知慧を集める。予測・推測するのでなく、実際にやってみる。が社会学からの答え。
    ・流行の最先端を追う事で実現する思考錯誤型戦略。
     今の流行をはかるちから
    〈ブランク〉
    ・顧客開発モデル
    ①顧客発見(聴いて発見)
    ②顧客実証(売って検証)
    ③顧客開拓(リーチを検証)
    ④組... 続きを読む

  • 経営戦略理論が学問的にだけでなく、実務的な経営課題を素材にその解決策を提供するために発展してきた歴史を俯瞰することができる。
    経営戦略や経営管理における意思決定やそのためのツールがどのような理論的な背景や課題解決のために生み出されてきたのかを理解することで、ツールをより適切に活用するための視点を得られる。
    自分自身の人生や仕事を上手くやる=自分を経営する上でも様々な示唆を与えてくれると思う。

  • テイラーの科学的管理法から始まり、今現在も淀みなく流れ続けるAmazon、Googleまでを捉えどのような時代背景を基に考えられ、受け入れられてきたかがこの1冊で分かる。
    私自身今まで、色々な戦略に触れてきたが、ブルーオーシャン戦略が発表されたときもまだ鼻水を垂らすような人間であったっため、どれもが新鮮でありどこか古くもあり(色んな派生の情報を受けていたため)、魅力的であり、どれを軸に分析・実行をしていけばいいか分からないでいた。

    そこに、あらゆる経営戦略を俯瞰的に”楽しく”読めて、自社の立場を鑑みてどのような戦略で「テスト」をしていけばいいかという指針となる本である。

    あと3回は読んで自分に刷り込んでいつでも取り出せるようにしておきたい。

  • 経営戦略の歴史を俯瞰して要領良くまとめられていて読みやすかった。また、リーン・スタートアップなどの最新動向も経営戦略の一部として捉えて説明されているのが良かった。

    ただ、本の作りとして段組や余白がなぜこんな変てこな感じなのか分からない、読みにくい。

    あと、この手の本を読む人は結構真面目な人が多いと思うので、架空の対話とかソフトタッチの概念図とかはっきり言っていらない。普通に論理的にまとめられている方がいいと思う。

  • 経営戦略の歴史を書いた本で、1910年代の大量生産の管理法から始まり、1960年代からの外部環境を重視するポジショニング派の発展、1980年代からの内部環境を重視するケイパビリティ派の躍進、そして現代の試行錯誤により戦略を決めていくアダプティブ戦略までを解説されています。著者はBCGやアクセンチュアでコンサルをされていた方。
    戦略というと、説明するに分析ツール(SWOT分析など)を使う人がいたり、はたまた夢を語ることが大事という人がいたりと、いろんな方法があるなあと少し戸惑っていましたが、この本でそれぞれの戦略が生まれてきた大きな流れを知ることで各戦略の特徴を整理することができました。
    特に後半に出てくる「アダプティブ戦略」の関連書籍は別途読んでみたいと思いました。

  • まず、経営戦略の概要をざっと把握できる。
    しかも、挿絵がお洒落かつ経営学者たちの写真が挿入されているため、とっても親しみやすい。
    それぞれの特徴もよくまとまっており、断片的に知っていた経営戦略の位置づけを理解するのに大変役に立った。ここから、特に気になる経営思考を深掘りしていく作業に移ることも可能。
    中でも私は、野中先生のSECIモデルとその考え方に興味を持ったので、次は「知識創造企業」を読んでみようと思う。
    随所に織り交ぜられているコラムも大変参考になる。(恐竜がなぜ、絶滅したかなど、親しみやすい例で伝えてくれる。)

  • 経営戦略にいまだに決定版は出ていないということはよくわかった。というか、色々な状況の外部因子が多すぎるということと、所詮結果論であるというようなことかな、という感想を持った。
    過去の賢人の知恵は同じ失敗をしないという意味で補助的に利用する必要はあると思う。それを歴史的に源流に遡るカタチで理解できるという意味では素晴らしい本だと思った。

    でも、まったくこのへんの知識がない人が読んでも、なるほどとは思うけど、右から左へ流れてしまう本だとも思った。まぁまったく知らない人がこの本を手にとることもないとは思うが。

  • 「ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶベスト経営書2013」というランキングで第一位だった本書を読んでみました。

    経営戦略というのは、1910年頃にその源流が興って以来、現代まで多くの理論がマッキンゼー、BCGなどのコンサル会社や企業経営者、はたまた学者先生によって展開されてきた。
    それらは「その時代の、その環境においては」ひとつの最適解であったものの、環境が変われば答えも変わる経営において、パーフェクトな理論というものは今のところ存在しない。

    過去の経営戦略ひとつひとつは偉大だし、学ぶことに大きな価値があるけれども、一見カンペキに見えるものも数年後には別の人が論破してたりする。
    その前後の時代背景を踏まえながら(点ではなく線で)経営戦略の歴史をかいつまんで学べる本書は最高の入門書です。

    この本の中で重要人物132人と、重要な書籍が72冊も紹介されています。
    もっと勉強したい部分があればその本を読めばよいのでブックガイドとしても使える一冊でした。

    ---

    1960年代から「ポジショニング派」というのが流行る。ポーターがその代表選手で、「どの市場において、どのような位置を取るかが企業にとって最も重要だ」と。企業の「外部」に目を向けた戦略。
    ポーターは企業内のオペレーションの最適化なんてのはやって当たり前だと言った。

    それに対して、もっと企業自身の「内部」に目を向けたのがケイパビリティ派で、1980年代に現れる。市場におけるポジショニングよりもその企業の能力(ケイパビリティ)こそが大事だと。
    ピーターズやバーニーがその代表選手で、エクセレント・カンパニーとかイノベーションとかって言葉が流行り出す。

    ただ面白いのが、ポジショニング派が褒めた企業も、ケイパビリティ派が絶賛した企業も数年後には潰れちゃったりする。

    そうこうしてるうちに1990年代、どっちの考え方も必要だし、ケースバイケースだし、もっと考え方を統合させようよ、と言ったのがミンツバーグで、正解がないという意味で経営戦略はアートなんだと言った。
    そして2010年代には、実験しながら、失敗しながら最適解を見つけるという「アダプティブ戦略」に行き着く。
    経営戦略は「やってみなくちゃわからない」と。

  • 中小企業診断士で企業経営戦略の勉強している時、この本があったらもっと理解が進んだのになと思える良書。経営学の歴史を発端から現代まで、俯瞰的にたどることができる。

    ・経営戦略史は、定量的分析、定型的計画プロセスを重視するポジショニング派(企業の外部環境重視)と、数量的に分析できない人間的側面を重視するケイパビリティ派(企業の内部環境重視)の2潮流があった。何でも屋の天才ミンツバーグは、外部環境が大事な時はポジショニング派的に、内部環境が大事な時はケイパビリティ派的にやればいいと言った。
    ・21世紀になって、経済環境、経営環境の変化が劇的になったため、ポジショニング派もケイパビリティ派もすぐ陳腐化するようになった。そこで出てきたのが、アダプティブ戦略。やってみなくちゃわからない、どんなポジションで、どんなケイパビリティで戦うべきかは、ちゃちゃっと試行錯誤して決めていこうというやり方。

    <経営学の始まり>
    ・経営学の父、テイラーは、定量的な経営学を始めた。時間、作業分析によって管理者が最適な労働を科学的に定めれば、工場の生産性は上がるとした。
    ・メイヨーはテイラーの科学的管理技法に反対し人間関係的管理法を主張した。作業の生産性は作業者の士気に左右される。士気は、職場の上司や同僚との人間関係、相互信頼に左右されるとした。
    ・フランスのフェイヨルは、経営者の立場から、企業全体の活動を定義した。最も大事なのは、経営活動(計画、組織化、指令、調整、統制管理)プロセスだとした。

    <近代マネジメントの創世>
    ・アンゾフは、企業における意思決定を3種にわけて、3Sモデルとした。意志決定の対象は戦略、組織、システムである。中でも戦略が最も重要とされた。
    ・経営戦略とは現在と未来をつなぐ方針である。未来の自社のあるべき姿を描き、自社の現在地を明確にし、その差、ギャップを埋めるギャップ分析こそ経営戦略である。
    ・事業多角化の際、既存事業と新規事業を結びつけると相乗効果が出る。無関連多角化は戦略ミス。
    ・チャンドラーは、経営者にとって事業戦略は変えやすく、組織戦略は変えにくいので、事業戦略に従って組織を改編していくべきとした。これが日本の教科書では「組織は戦略に従う」という言葉になった。

    <ポジショニング派の台頭>
    ・ポーターは戦略は3つしかないと言った。敵より安く作るコストリーダーシップ戦略、敵より付加価値が高いものを作る差別化戦略、敵より土俵を絞り込む集中戦略の3つだけである。
    ・SWOT分析(内部環境の強みと弱み、外部環境の機会と脅威の分析)は現状分析でしかない。TOWS分析は戦略オプション出しに使える。
    ・機会と強みで積極攻勢策。
    ・機会と弱みで弱点強化策。
    ・脅威と強みで差別化策。
    ・脅威と弱みで防衛撤退策。
    ・コトラーはSTPとMMが大事だと言った。STPは、自分が有利になるように市場を分割(セグメンテーション)し、市場を決定(ターゲッティング)し、競合に差をつけるポジショニング戦略を決めること。MMとはマーケティングミックスのこと。STP具体化過程で行うマーケティング戦略である。4P(プロダクト、プライス、流通チャンネル、プロモーション)を元に考えることが多い。
    ・成功した日本企業の分析によって、アメリカの経営学者ゼーコンは「事業に自信があるなら借金を増やせ!」という方程式を得た。自己資本比率を高めることだけが善だった経営者にとって衝撃的だった。

    <クラウゼヴィッツの戦争論>
    ・ナポレオンが連戦連勝したのは、勝てる戦いだけ戦ってたから。

    <ランチェスター戦略>
    ・数が多い方が勝つ。数が少なかったら、1対1に持ち込む。火力を集中して少なく分離した敵と戦うべし。
    ・弱者は一点に集中して接... 続きを読む

  • 発展の流れが分かる。素晴らしい。文章も平易で、経済論をそれを主張した人とその人が時代に求められた背景も書かれており読みやすいです。

    ・ポジショニング派は「外部環境がダイジ。儲かる市場で儲かる立場を占めれば勝てる」と断じ、ケイパビリティ派は「内部環境がダイジ。自社の強みがあるところで戦えば勝てる」と論じました。そして互いに「相手の戦略論では企業はダメになる」という研究成果を出しています。
    →つまり、この本は経営論のジンテーゼ(二つの大きなアンチテーゼを包括する新しい考え方)の試みなのです。

    ・SWOT分析で出した機会・脅威ひとつひとつに、強み・弱みを掛け合わせるTOWS分析は、打つべき策の「案」を出せる。
    -機会と強みを組み合わせれば「積極攻勢」
    -機会と弱みを組み合わせれば「弱点強化」
    -脅威と強みを組み合わせれば「差別化」
    -脅威と弱みを組み合わせれば「防衛/撤退策」

    ・アラン・ゼーコンの「持続可能な成長の方程式」。
    式そのものは(財務論初心者には)難解でしたが、メッセージは明快でした。「事業に自信があるなら借金を増やせ!」です。

    ・マイケル・ポーターの「5力(Five Forces)フレームワーク」。
    ①競争戦略を策定する際、もっとも重要なのは企業をその環境との関係でとらえるころである。
    ②その環境として大切なのは、その企業がいる業界の定義とその構造。
    ③業界構造は自社にかかる圧力として理解でき、それには「既存競合」「買い手」「供給者」「新規参入者」「代替品」の5種類がある。
    ④その中でもっとも強い力が、決めてとなる。

    ・在庫はすべての「まずさ」を覆い隠す悪だった。

  • 経営戦略の全体像がわかる素晴らしい本。説明の仕方にほれぼれとする。
    ①今まで断片的に得てきた点の知識を、全体の中での位置づけと時代背景という縦糸・横糸で紡いだ地図の上に乗せて見せてくれる。
    ②個々の説明が明快で分かりやすい。断定的な言い方が小気味良い。
    ③話として面白く読める。人物紹介が楽しい。高校の頃、ブルーバックスを読んでて突飛な物理学者のエピソードに惹かれたのを思い出す。
    ④情報分野の説明が詳しい。(著者は、アクセンチュアにも勤めていた。)
    ⑤20世紀初頭から(多分)最先端まで把握できる。
    著者が、「バラバラだった知識が俯瞰され、統合されることの衝撃と楽しさ・・・」と書いているが、まさにそれ。
    この本に登場した人物は132名、会社は110社だそうだ。あらかじめ知ってたのは、ホーソン実験、ドラッカー、コトラー、ブルーオーシャン戦略、イノベーションのジレンマ、ベゾス、シュミットとペイジ、IDEOぐらいだった。それでも非常に楽しく読めた。

  • 非常に面白かった。
    テイラー/シュンペーター/コトラー/アンゾフ/ポーターなどなど、歴代の経営学/経済学者たちが、どういった背景で戦略コンセプトを打ち出してきたか?各コンセプトが何に対応できて、何に対応できないかが良く分かる。

    で、こうやって背景を見ると、ファイブフォース分析などのフレームワークの奥深さがよく分かる。裏には、結構しっかりした定量的な分析が必要。

    まぁ、仕方ないんだけど、曖昧な学問だなぁと思う。
    物理学とかと違って、観測が難しいし、観測する系がどんどん変化するからなぁ。

    こう見ると、割と主流になっているのは、20年くらい前のポジショングやケイパビリティに留まっている感がある。
    最先端のイノベーションとかを実務にどう取り入れるかってのは課題なのかしら。

    不確実性が高まり、かっちり計画を作るよりも、トライ・アンド・エラーが求められる、それでも経営戦略には価値がある、そう思いたいもの。トライ・アンド・エラーの確率・精度を上げるという意味で。

  • 『経営戦略全史』読了。★4.5(5点満点)
    http://www.amazon.co.jp/dp/4799313134/

    経営戦略100年の歴史が詰まった三谷さんの大作。
    400ページ超なのに読みやすいのはさすが。
    はじめは、「なぜ経営戦略なのに、全史=歴史なのか?」とよくわからなかったが、時代背景やそれまでの戦略論の流れなど、ストーリを持って読めるところがGood。
    同系統では、「戦略サファリ」よりはるかに読みやすい(^^)

    戦略論は様々あるが、どれもよいとこ、悪いとこ、条件による適用のしやすさがあるので、それを理解して適切なのを使いましょう、というのが結論か。

    さしあたって、自分の場合はやはり、「イノベーション系」をさらに攻めるかな~。

  • ビジネス書を読むことが多いのだが、これを読むことで非常にすっきりした。ビジネスの良書といわれているものでも、ある程度時間が経っているものは読んでも何かしっくりこないことが多々あった。
    本書を読むことで、歴史の流れと時代背景を把握した上で、そのような本を読むことで、ポイントを抑えることができるのではないだろうか。
    本書も指摘してあるとおり、歴史は繰り返すことはないので、過去でよいとされたことを繰り返しても同じ結果は得ることはできない。

  • 実はそんなに歴史の長くない経営戦略のメソッドや理論を、それが生まれたころから現在に至るまでどのように変遷し、どういうトレンドや対立軸が生まれていたのかをわかりやすく伝える一冊。基本的には企業を経営している社長さんが読むようなものだが、マーケティングや商品開発、チームマネジメントに従事している人にっても役立つものだろう。あらゆるマネジメント志向をここまでコンパクトに順序立てて分かりやすく説明してくれた本書の価値はかなり高い。文章も分かりやすい。

  • ビジネスの戦略をその戦略を作った人の人物像とともに紹介されている。

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経営戦略全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)の作品紹介

コンサルタント、学者、企業家たちは、こうしてビジネスを進化させてきた!ビジネス史を変えた戦略コンセプトを総ざらい。一気読み!経営戦略丸わかり。

経営戦略全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)はこんな本です

経営戦略全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)のKindle版

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