日本国憲法はどう生まれたか? 原典から読み解く日米交渉の舞台裏 (ディスカヴァー携書)

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著者 : 青木高夫
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン (2013年7月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799313541

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日本国憲法はどう生まれたか? 原典から読み解く日米交渉の舞台裏 (ディスカヴァー携書)の感想・レビュー・書評

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  •  ルールメイクについての著作『なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか』が印象的であった青木高夫さんが、終戦後の日本国憲法の成り立ちを追いかけた一冊となります。興味深いのは、一次史料を主体としつつ日米双方の視点から追いかけている点、でしょうか。

     “目的地は同じだが、そこに向かうルートに大きな違いがある”

     この言葉に代表される白州次郎さんの「ジープウェイレター」は有名ですが、松本国務相の“欧米のバラを日本に移植しても香気を失う”もなかなかに洒落た言い回しではないかと思います。その辺りのやり取りを、原文も交えながらまとめられているのが、非常に興味深かったです。惜しむらくは、自分の英語力のなさが原因で、これらの文脈を十二分に楽しめなかったことでしょうか。。

     ん、今の憲法は、GHQから押しつけられた憲法であるのは間違いないが、この憲法にこめられたプリンシプルは立派なものだと。でも、その強要性について明言されずに70年が過ぎようとしているのは、これはこれで「護憲」と言う名の思考停止状態に陥っているのかな、と感じました。

     “ルールそのものは神聖なものでも、命をかけて守るプリンシプルでもありません”

     であれば、あらためて考えていけばいいと思います。今の憲法をゼロから作りかえるのではなく、核となる理念(≒プリンシプル)は踏襲する形で、今の実状に合った憲法(≒ルール)に改正していくとの観点で。

     そして個人的にもう一つ興味深かったのは、、次のくだりの部分でした。

     “意図の違いこそあれ、天皇を守るという部分で利害が一致する日本政府とGHQが、
      俯瞰すれば「共謀」する形で新憲法を作り上げてしまった”

     ここ最近、「ヴェノナ文書」やイギリス所蔵の「最高機密文書ULTRA」で、戦前の日米政権の中枢が「コミンテルン」による赤化運動に汚染されていたとの事実がつまびらかにされ始めています。もちろん日米に限った話ではないのでしょうが、、当時のこの“赤化”の脅威は今以上であったのが見てとれます。

     “天皇を守るためには、この憲法を世界に公表して、
      ソ連や豪州などの天皇戦犯論を牽制しなければならない”

     ソ連だけではなく、当時の豪州がこういう流れであったのはなんとも面白く、GHQの中でも赤化がひどかったとされる民政局のアヤシイ動きもあわせて見てみたいところ、、まさしくこの今この瞬間に、戦後が「歴史」へと転換しているのかも知れません、なんて。

     ちなみに、、「共産主義という価値観」が存在することは否定しませんが、共産主義が考え方や価値観の多様性を許容できないとの点で、私個人が受け入れることはないだろうな、と考えています。事実、ソ連と言う壮大な実験も失敗で終わってますしね。

     もう一つ気になったのは、次のフレーズ。

     “明治憲法にくらべると、現在の憲法には松本国務相の言う歴史などを背景にした、
      日本の「国柄」のようなものが抜けていることは否定できません。”

     イギリスの歴史学者・トインビーの言を借りれば、「12~13歳までに民族の神話を学ばなかった民族は、例外なく滅びている」となります。ちょっと前から『古事記』の見直しがようやく始まっていますが、なんとか間にあった、、というところでしょうか。自分も息子にはちゃんと伝えていかないとなぁ、とあらためて、、閑話休題。

     “絶対のルールなど人間には生みだせない、それは神の領域だ”

     なんとも欧米らしい割り切り様ですが、ルールとプリンシプルを混在しがちな日本人からみると、ちょっとうらやましいかな、とも。マハンの言う「平和は、われわれの直面している状況を無視することによって達成されるものではない」との言も念頭におきながら、プリンシプルを見失わずに「ルール作り」をしていきたいところです。

     憲法は盲目的に護るものではなく現実を見据えて使うものです、それには時代の特性に適合していく必要もあります、そこを見失わないように「改憲」を意識すべきか、なんて考えさせてくれた一冊です。

  • 知っているようで、実はあまり知らない憲法について、あらためて知ろうと思い、図書館で読みやすそうなものをチョイス。
    当時の憲法が作られた背景を米国サイドと日本サイドの視点で解説しており、ストーリーとしても楽しめる。
    あわよくば、英語の勉強にもなるかと思ったけど、残念ながら勉強不足の自分にはちょっとレベルが高かった。

  • 読了。

  • もちろん日本よりな視点でありながら、客観的に分析して行くので、すっと入っていける。
    いつの世も、激しい交渉の末に権力の大きさがものを言い、少しずつ新しい世の中になっているんだろう。
    英語がわからなくても問題なく読み進められるが、もう少し英語を勉強したら必ず再読したい。

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日本国憲法はどう生まれたか? 原典から読み解く日米交渉の舞台裏 (ディスカヴァー携書)の作品紹介

1946年2月13日に行われた日米会談-マッカーサー元帥の幕僚ホイットニー准将は、吉田茂外相以下日本政府メンバーに、突然、日本国憲法草案を手渡した。その後の懸命の交渉にも関わらず、この草案は、現在の日本国憲法の基となる。当時、多くの日本人はこの憲法を歓迎した。会談に同席していた白洲次郎は後に「この憲法は占領軍によって強制されたものであると明示すべきであった」と自身のエッセイに書いている。憲法制定の舞台裏で、どんな交渉があったのか?原典となる英文一次資料を丁寧に読み解く中で、憲法の原点が見えてくる。憲法を考えようという今、ルールメーキング論の立場から、憲法制定に新たな視点を与える1冊。

日本国憲法はどう生まれたか? 原典から読み解く日米交渉の舞台裏 (ディスカヴァー携書)はこんな本です

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