インターネットは永遠にリアル社会を超えられない (ディスカヴァー携書)

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
3.05
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本棚登録 : 78
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799316177

作品紹介・あらすじ

「インターネットは世論を反映している」という世界観が、いまだに社会にはびこっている。ネットで目立つ言論や、それに対する反応は、氷山の一角として飛び出した存在であり、海面下にはその何万倍もの人々がいる…そんな固定観念は、まったくの誤りなのだ。また、ネットが社会をつなぎ、「新しい価値を創造する」というのも嘘である。古色蒼然たる「ネット万能論」は害悪でしかない。本書は、「インターネットは無効である」ことを、さまざまな角度から点検していく。ネットユーザーの手前勝手な思い込みには疑問を呈し、ネットの声に必要以上に反応し、ありもしない価値を見出してしまう人々に対しては警鐘を鳴らすものである。

感想・レビュー・書評

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  • 990

    ネット上での活況と、実際の世論の皮膚感覚は、つねに乖離している。ネットでの人気は、イコール「世論」ではない。   そうしたことを考えると、インターネット上での反応というのは、リアルの社会を超越することはないし、ほとんど「無効」といって差支えがないのではないか。   インターネット上での反応をそのまま、自身への賛同とか同意などと同一視する考え方には、無理がある。ネットの反応を、そのまま、「世論を代弁するもの」として計量する試みは、まったく適当では



    インターネットは、誰しもが皮膚感覚で認識する感性や感情を表現しづらい。前提的に文字だから、ということも大きい。よほどのセンスや作家性がない限り、皮膚感覚を言語化するのは難しい。 だから、インターネットではときとして政治的なコメントばかりが目立つが、それが「世論を代表している」などと思ってはいけ



    ネット上で目立つ声や反応は、日本人の皮膚感覚を代弁しているわけではない。どちらかというと少数の、「突出した」意見に過ぎないと心得るべきなので



    インターネットの声や反応ははあくまでリアル社会とは隔絶された、「突出した少数者による異空間」と見做すべきであるインターネットの声や反応が、リアル社会を突き破ってくる、ということはありえないの


    在日コリアンの生活保護受給世帯の割合は約 14%と、全世帯の受給率3・1%の約4・7倍と



    安倍政権を批判的に見る人は、「安倍政権は極右だ」などというが、それはいき過ぎである。有権者の多くは、たとえ消去法であっても、「自民党より右」を否定し、より現実的な安倍政権を普通の皮膚感覚で選んだ。少なくとも自民党の獲得議席は静かにそれを物語って



    「NHKは売国放送局!」 「NHKは、ニホンハングル協会の略!」 「朝日新聞は極左売国新聞だから廃刊にしろ」 「在日朝鮮人に支配されているフジテレビやTBSは見



    「現実」と「仮想」、どちらの存在が真実で、そしてどちらがより上位なのか――。この問題は、遠くない過去から、たとえば多くの創作物の中で普遍的なテーマとしてあつかわれてきた。 とくにこの問題を、映像作品の中で継続してあつかってきたのは、アニメ監督として知られる押井守で


    二つ目は、2009年に公開されたジェームズ・キャメロン監督の『アバター』だ。 キャメロン自身が大の押井ファンであることを公言



    インプレス総合研究所の資料によると、電子書籍の売上は、2007年ごろから急加速している。また、2012年のキンドル日本版の発売以降、2013年においても大きく上昇し、2013年度では936億円、予測では2014年度は1050億円程度の可能性がある、と指摘されて



    ちょっとしたことで、人間はすぐにキレ、他者に凶器を向けるのはどの時代でも同じことである。 それは、国民皆インターネット時代の現在でも変わることはない。   重要なのは、太古の昔から、「たった一人の人間との関係性すら、築くことは難しい」という普遍的なことだ。 一度会っただけで意気投合する人もいるが、通常、人間関係というものは長い年月と複数回の濃密な接触があってはじめて、徐々に育まれ、構築されるもの



    変わったのは電話機のデザインや通信速度であって、人間や人間社会では



    そういえば、インターネットではいまだ再現しきれていないものがあったな、と思う。その代表格は「匂い」だ。インターネットの動画で、映像や音声、文章の技工により臨場感を再現することはできても、「匂い」だけはいまだに再現することはできていない。今後も、たぶんできないだろ

  • ネット言説とはごく一部の変人=ノイジーマイノリティによる「幻の世論」であり、現実を反映したものではない。日本人の大多数はSNSで頻繁に投稿しないし、店にクレームもつけない。沈黙が美徳の国民性だからである。投稿型動画サイトも奇行で人寄せする見世物小屋やド素人芸ばかり。それもテレビのサル真似でしかない。総じてインターネット空間には創造性のカケラもない。SF映画『マトリックス』が描いた仮想空間も今のところはファンタジーの域を出ず、紙の本を駆逐するといわれていた電子書籍もパッとせずに終わりそうだ。要するにデジタルネット空間は言うほどすごくないのである。やはり、アナログな現実世界こそが最強なのだ。

    というような内容だった。データに多少古さは感じるものの納得できる内容だった。ただ、だからどうなんだとは思った。

  • 藤本直子先生 おすすめ
    3【教養】007.3-F

  • 文字通りインターネットが現実の社会を凌駕することはないことを説いた一冊。

    確かに未だにテレビは強いし、ネットの記事も新聞社の者がほとんどだし、納得する部分が多かった。

  • Internet

  •  この社会に出る本としては勇気が必要だっただろう。
     ネット社会に依存されたこの世界、少しでも否定的なことを書くと一斉に叩かれる。そしてその後は後味の悪さだけを残していくそんな感じ。

     至極まっとうな事が書かれているのだが、結局すべてが破壊されていずれネット住民の人類補完が起こりそう。

  • 世にはびこる(?)「ネット万能論」に物申す一冊。その主張は「ネットは現実に依存するものであり、人間はネットをあくまで道具として使いこなさなければならない」ということである。
    ただ注意すべきは、これが攻殻機動隊やSAOのような「自らの意識をネットに投下できる技術は未来にも訪れない」という前提に立っていること。もし、将来的にこのような技術が現実視されるようになった場合、この著者の意見はどのようなものになるのかはちょっと気になるところではある。

  • もの言わぬ沈黙の民 1枚の亀の甲羅 氷山の一角ではない ROM専 田代祭 ニューメディアvsオールドメディア バルス祭 ネットニュースの出所 オールドメディアに強く依存するニューメディア YouTuber 借り物だらけのコンテンツ 劣化コピー 反射空間 クリエイティビティ 現実と仮想 Facebook ザッカーバーグ インターネット交流 友達申請 リアル交流 オフ会 

  • 粛々しゅくしゅく クラスタ=群れ=マス 島宇宙 亀の甲羅 もの言わぬ沈黙の民 瓦解した旧世界のネット観 斜陽産業に頼りきりのニューメディア 呪詛 バルス祭り 黎明期れいめいき 犯罪予告の温床おんしょう ネットは既成の企業やメディアが創造する価値観に寄生するしている反射空間に過ぎない 分水嶺ぶんすいれい 電車男はネットを卒業しなければならなかった 攻殻機動隊 押井守 ジェイムズキャメロン アバター 中型免許 倒錯した皮肉な状況 クリックは1回だが運ぶのは人間 Facebook マークザッカーバーグ デヴィッドフィンチャー セブン ドラゴンタトゥーの女 普遍的な孤独 関係性の欲求 フィンチャーの普遍的なテーマとは、つねに理想化された「現実との戦い」である 人間を突き放すことは「冷酷」なのではない。偽りの希望を真実として描き、人間に希望を持たせることこそが「冷酷」である

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著者プロフィール

古谷経衡
1982年札幌市生まれ。作家・評論家。立命館大学文学部史学科(日本史)卒業。(社)令和政治社会問題研究所所長。(社)日本ペンクラブ正会員。NPO法人江東映像文化振興事業団理事長。インターネットとネット保守、若者論、社会、政治、サブカルチャーなど幅広いテーマで執筆評論活動を行う一方、TOKYO FMやRKBラジオで番組コメンテイターも担当。『左翼も右翼もウソばかり』『日本を蝕む「極論」の正体』(ともに新潮新書)、『毒親と絶縁する』(集英社新書)、 『敗軍の名将』(幻冬舎新書)など著書多数。

「2023年 『シニア右翼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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