東京一極集中が日本を救う (ディスカヴァー携書)

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
3.15
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本棚登録 : 91
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799317747

作品紹介・あらすじ

本書を読まずに、地方創生は語れない。都市政策の世界的第一人者が、長年の「タブー」に踏み込む!

感想・レビュー・書評

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  • 1.これだけ地方を活性化させることを騒がれてる中で、なぜ逆の立場になったのか、また、地方に対してどのような認識を持ってるのかが気になったからです。

    2.著者が重視しているのは「選択と集中」で、東京に経済機能を集中させることで効率化を図ることを目的としています。また、サプポジションとして、名古屋、大阪を発展させ、効率化を図る。そのうえで、余った富を地方へ分配すると述べています。

    3.効率化という考え方には賛成です。ただ、行き過ぎた経済発展には賛成できません。理由は3つあります。
    1つは、著しい都市化は犯罪率や自殺率といった人間の精神的な面で多くの弊害をもたらすからです。現に、人口が集中し過ぎた地域では精神的な病気にかかる割合が地方と比べて多いからです。2つめは、災害へのリスクです。この本には災害への対応はある程度強くなってると記載はしてあります。しかし、災害は年を重ねるごとに被害規模が大きくなるので、著者の意見には不確定要素が多すぎと思いました。3つめは、富を地方へ分配するという意見ですが、そのようなことが起こっていれば日本のジニ係数は上がらないはずです。

  • 前半の部分は置いておき、今の日本に言える事は、果たしてオリンピックを2021年に開催出来るか?
    この話が非常に大事な事だと思います。

  • 東京一極集中を暗黙的に悪とする世論に対し、集中のメリットを多方面から力説。地方分散がバリューを発揮した歴史を踏まえた上で、現在の少子高齢化人口減少や世界都市との覇権争いを踏まえれば東京への集中が日本を救うと主張。東京で税金増えれば地方もそれなりに活動できる。最後のデベと東京都のWIN-WIN政策はいいよね。容積率緩和する代わりに、街の賑わいや緑の創出を義務付ける。

  • 元々感情的に著者とは逆の意見だったこともあり、終始批判的に読んでいた。

    もちろん、データを用いて論理的に説明されていて、確かに、と思わされる点は多かった。ちゃんと考慮に入れておくべき示唆に富んでいた。

    一方で、「東京と地方でパイの取り合いをしている場合ではない」と主張しながらも、全体のパイを増やす方策には触れられていないところに物足りなさを感じた。「富を東京から地方に!」論者への反対意識が強いあまり「地方を盛り上げることが東京、ひいては日本の衰退につながる」と結論づけており、二項対立の域を出ていない印象(あくまで主観)。
    そうじゃない気がする。地方は地方で自分で人・ビジネスを(理想的には)国外から呼び込んで強くなることが必要で、それにより国全体のパイが増えるのでは、と思う(理想論)。そしてそのためには多少国としてもサポートをすることは許されて然るべきではないだろうか。それにより東京が弱るとは思えない。二項対立に落ち着けてはいけない。

    「こういう理想を語っている場合か!」と言われているような気もするが。

  • なかなかのような著作は拝見したことがなかった。
    ややの首都移転、副首都などがややもよろしくないということ。

    東京オリンピックについては、今のところ少し懐疑的ではあるものの、
    開催されるなら、見てみたもの。

    東京は本当にすごい都会としか言いようがない。どこに行ってもすごい人。
    だがしかし、横浜市民として、東京だけでなく、横浜近辺も何とかしていただきたいと
    思う今日この頃。

  • 視点は確かにあるだろうなと思った。
    都市か地方かという二原論ではなく、日本が世界に勝っていかないと成長しないと。

    が、そのために今後も東京集中を続ける必要があるというのはロジックがとんでいるかと。
    東京は集積の経済をこえて人が集まりすぎ、地方は車社会とはいえ集積の経済が働かなさすぎでバランスがとれていない。

    むしろ、地方への税の横流しを少なくし適切な競争の中で稼ぐ企業をつくる。それをもとに一定の雇用を創出しコンパクトな街を多くつくる。カリフォルニアのような実験都市ができても面白いと思う。

    東京はそのぶん法人税を下げ、豊富なインフラを適切な人口でシェアすることで金融不動産等のグローバル企業にとってアジアで最も拠点としやすい都市にする。

    既に成熟化した日本が、中国やシンガポールの戦略を真似する必要はなくむしろ早期に成熟した社会としてのロールモデルを目指しローカルとグローバルのバランスのとれた国を目指すべきでは。

  • 2016.07.26 ごもっともな意見。国内の視点から見るか、世界的な視点で見るか?それによって、東京一極集中に対する考え方が変わる。反対意見も多いと思われるが、個人的には市川氏の考え方に賛同する。

  • 本日の野村の不動産フォーラムのランチタイムに登壇した方。お話が面白かったので読んでみた。
    「地方の衰退」とセットで語られることが多い「東京一極集中」をむしろ推す論調。

    2020オリンピック開催に向けたインフラ整備とリニア中央新幹線の開通による「名古屋=東京郊外化」によって東京の都市競争力は増す、というご意見。

    1964年のオリンピックの際のインフラ整備予算が当時の国家予算の1/3にのぼったということには驚いた。

  • 151026読了

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著者プロフィール

明治大学名誉教授。東京の本郷に1947年に生まれ育つ。早稲田大学理工学部建築学科、同大学院修士課程、博士課程(都市計画)を経て、カナダ政府留学生として、カナダ都市計画の権威であるウォータールー大学大学院博士課程(都市地域計画)を修了(Ph.D.)。一級建築士でもある。ODAのシンクタンク(財)国際開発センターなどを経て、富士総合研究所(現、みずほ情報総研)主席研究員の後、現職。日本と東京のこれからについて語るために国内、海外で幅広く活動する他、東京の研究をライフワークとして30年以上にわたり継続している。『東京一極集中が日本を救う』(ディスカヴァー携書)、『東京2025ポスト五輪の都市戦略』(東洋経済新報社)、『山手線に新駅ができる本当の理由』(KADOKAWAメディアファクトリー新書)など著書多数。NHK「特報・首都圏」、日本テレビ系「スッキリ」、TBSテレビ系「ひるおび」、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」などテレビ出演多数。

「2021年 『新宿の逆襲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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