COLD HEART in NEWYORK (ビーボーイノベルズ) (B-BOY NOVELS)
- リブレ出版 (2014年8月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
- / ISBN・EAN: 9784799715338
作品紹介・あらすじ
秋沢のことを本当に好きになってから二人甘い蜜月を過ごしていたが、ある日秋沢のスキャンダルが発覚。楠田が問い詰めると、彼は悪びれもせずに関係を持ったと口にした。それを悪いとも、そもそも浮気とも思っていない秋沢に楠田は耐えられず別れを切り出すが、彼の極端すぎる執着に楠田は…。好きだけど、愛しているけど、一緒にいられない-。COLDシリーズスピンオフ、書き下ろしも100ページ超収録!
感想・レビュー・書評
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BL芥川賞あげたい。木原音瀬は完全に一般文芸で勝負できる実力を持った作家であり、にも関わらずここには年下攻めの萌えも、BLがやりがちなレイプファンタジーに対するシリアスな視線もあり、最高だと思った。一般文芸でやれるけど、ずっと男同士書いててほしいなと思う。実力のあるBL作家が男女ものにシフトしているのを見ると(特に漫画は多い)、ああ世の中の異性愛がスタンダードみたいな風潮にカウンターカルチャーとしてのBLが妥協を強いられたんだ、みたいな気持ちになって悲しくなるんだけど、木原音瀬は講談社文庫を出してからもしっかり男同士で書く姿勢を崩さないでくれていて、すごく嬉しいです、一般文芸のヘテロ基本姿勢をこのままぶっ殺してほしいです。
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地獄絵図
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秋沢くんがもうひどくてひどくて、ひどい!!!と思いながらがんばって読んでたら、最終的に大好きなかんじになった瞬間に物語の幕がおりて「ここで終わるんかーーーーい?!?!?ひどいよーーー」とうなだれながら本を閉じました、ひどい……アフターストーリー何年後でもいいから読みたいです。
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秋沢のぶっ飛んだ思考が経過した歳月で常識化するとは思えないんですが最終的になんとか楠田のもとに戻ってこれてよかった・・のかどうか・・・(笑)
なんにせよ人は変れると信じたくなりました。 -
TOKYO編でこれでいいの?後悔しないの楠田さんとNY編読みすすめるとあらら
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やはり東京編は嵐の前の静けさだったらしい。ここからが木原さんの本領発揮…痛いです。痛いんだけど夢中でページを捲る手が止まらず一気読みでした。ニューヨーク編になってからも秋沢が殆ど成長していない思考回路なのはさすがw人間そんなに簡単に成長する訳はありません。ただ少しずつ引くことを覚えているのかなぁ 一途なのは変わらないしこのまま少しずつでも相手の気持ちが分かるようになっていってほしい。まだまだ時間はかかりそうだけど。救いはラスト楠田が怯えるでもなく本来の楠田に少し戻っていたことかな。いろんな意味で楠田も時間が止まったままだしそれが少しでも動きだしたらいいと願わずにいられないラストでした。
木原さんの素晴らしさは続きが読みたいな…って思わせるラストでいつも終わっていること。決して到達点ではなくこれから愛が育まれていくやもしれぬ始まりで。だから全てのストーリーが尾を引くしいつまでも心に残るのだと思う。とりあえず今回も続き…続きが読みたい! -
痛いと評判のNEWYORK編。
木原さんの痛さに慣れっこなので
木原さんらしい作品だなぁ~と(笑)
前編で秋沢の一途な気持ちに絆された正彦。
でも木原さん正彦をどん底に突き落とします。
秋沢は一途で自分の気持ちに正直だけど
他人を思いやる事が出来ない、考えられない。
常に自分の気持ちが一番で
自分に都合の様に変換してしまう。
相手の事を思いやれない行動はまさにストーカー。
この秋沢が初めて正彦の気持ちを理解した時……
ラスト、
ここからが2人の本当のスタートライン何だろうね。
あとがきに書いてあったようなストーリーを希望 -
前半部分の秋沢がただただひどくて楠田さんにひたすら同情。話しが通じないということの恐怖と諦めの先にあるものが、あの形でしかなかったのも頷ける展開。
しかし視点が秋沢に移った後半を読み進めるにつれ、秋沢はなんてかわいそうな男なんだろうと思えてきた。愛してる男の気持ちが全然わからないという点では秋沢もある意味同じで、加えてこの世界との齟齬…。
まぁだからと言って秋沢のした行為を許すことは私には無理なんですけど。シリーズ内で作中一フラットで優しかった楠田さんには一般的な形で幸せになってほしかったので、終わり方にモヤモヤしたものは残るけど、こういう一筋縄ではいかないところも含めて木原作品だよな、と。 -
木原作品は、やはり一筋縄ではいかない手強さでした…
前回の成り行きにふんわりしていたかと思ったら、奈落の底へ一直線。案の定、突き落とされます。
きっかけは相手を御するための恋愛モードだったのが、もはや本気の付き合いであることを自認する楠田。
だからこそ、受け入れられないこと許せないことが、秋沢にはまったくわかっていません。
人の心がわからないアホと愛し合うことで味わう失望に震撼とさせられます。失望どころか、これはもう恐怖の段階。
楠田は何とかして自分の気持ちを秋沢に伝えようとするものの、人の気持ちを慮ることができず、自分の感情ばかりを人に押し付け、好かれるための努力もしない相手には何ひとつ通じることもありません。
秋沢のクズで幼稚な人格のせいで、恐ろしい状況に陥ることになる楠田です。
客観的に見てこれは許されません!楠田の味わった恐怖を思うと読んでいてもう耐えられませんでした。
「FRAGILE」も酷かったけど、これは酷すぎ。そして悲しいのは、楠田の中に秋沢に対する「情」がまだ残っているところです。
秋沢も憎しみでストーカーのごとくつけまわしているのではなく、愛しているからこその仕業なのが辛いです…
誰かこのアホ犬に常識ある大人の行動を躾けてくれないでしょうか?
書き下ろしは秋沢視点で、ヤツのいじらしいところがぽつぽつ見えて、コキ下ろし罵倒しながらも、あまりにおバカであわれで泣けます。
私見として、二人に幸せな未来は不可能に思えるんですが…
秋沢はめちゃくちゃがんばりそうですけどね~
でも、もしもこの先に二人の幸せがあるのなら、ものすごく見てみたいです!そんな気持ちにさせる壮絶なドラマです。
センセも甘い時間に至るまでには、あともう一冊必要そうとおっしゃってるので、ぜひぜひ薄い本ではなく商業誌で後日談を出して欲しいです、プリーズ。