前の巻でチセの前に幾つかの未来へ繋がる選択肢が提示されていたが、今回は片腕がドラゴンの呪いを受けてしまったことでより実態を伴った形でチセに選択肢が示される。
分かれ道に立つチセとエリアス、裏返してみればカルタフィルスが居る表紙はこの巻の内容をよく表している
周囲が悲嘆に暮れてしまうような呪いを前にしてもイマイチ自分事として受け取っていないようなチセ。
結局のところチセの芯の部分は大きく変わっていないのだろうな。自暴自棄に成り自分をオークションに出した頃よりも様々な経験を経てチセは生きたいという想いが強くなっているのは確かだけど、それは自分の行動によってほんの少しでも他人が幸せになれる光景を見たから。誰かに貢献できた想いがあって初めてチセは生きている実感を得られる。自分の身を守ることよりも他人を優先してしまうから、エリアスにはその姿勢が自己犠牲に見えてしまう
だからと言ってあの展開は辛い……
チセとエリアス、擦れ違いの最大の原因は優先するものがそれぞれ違うから。エリアスは人間を理解できないし理解されないと思っているから故にチセ最優先でそれ以外はどうなってもいいと考えてしまう。対してチセはまだ人間と魔法使いの狭間にいるから周囲との絆を大事にしつつエリアスの傍に居ることを望む。
その考え方の違いからエリアスはチセを生かすためにステラを手に掛ける
そしてチセは夢の中でネヴィンの言葉で己の幸せを諦めなかった自分の心を思いだし、エリアスから怪物の言葉を聞いてしまい、更にはカルタフィルスによって追い詰められ道を分かつことを決心。
目の前の現実が次々と崩れ行く様を突き付けられたチセの表情が本当に辛い……
こんな形で二人の絆が分かたれるなんて思っていなかったな…