ボランティアバスで行こう! (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800222855

作品紹介・あらすじ

東北で大地震が発生した。多くの支援活動が行われるなか、大学生の和磨は、バスをチャーターして援助活動に参加する「ボランティアバス」を主催することに。行方不明になった父親の痕跡を探す姉弟に出会う女子高校生の紗月。あることから逃亡するため、無理やりバスに乗り込んだ陣内など、さまざまな人がそれぞれの思惑を抱えてバスに乗り合わせるが…。驚きのラストが感動に変わる!

感想・レビュー・書評

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  • 震災で被災した架空の地区へボランティアバスで向かう人々。
    参加した理由はそれぞれで、章ごとに一人の人物を主人公として進んでいく。
    最後の章は唐突な印象があるが、震災ボランティアの話だけでなくミステリーとして描きたかったんだなと思えば、途中のちょっとした違和感も含めてアリかもしれない。
    受けた恩は、また別の誰かに送るという恩送りの考えは、震災に限らず、生きていく上で大切にしたいと思えた。

  • 震災復興のためボランティアバスに乗り込む面々、それぞれに事情や思惑があるもののその根底には、誰かを思う気持ちがある。震災という過酷な題材だが優しい気持ちになれた作品でした。

  • 震災復興をするグループがバスに乗りボランティアという繋がりから、小さな謎やハプニングに出会うお話

    同じ人を多面的に感じらたり、時間が進むことによって変化する人間関係も感じられました

    震災という重いテーマでノンフィクションの様な詳しさですが、辛いことだけでなく、前向きに強く生きていこう、そして何か手伝えることをしたいという人達の気持ちに触れて心温かくなる本です

  • ボランティア活動を知るきっかけになる本ではないかと。
    一人一人の思いも丁寧に書かれていて、読んで良かったなと思えた。

  • 読みやすい、ページ数も文体も手軽、文章もこなれていて簡易。一見よくある日常(とはいえないか)お手軽ミステリー短編集かと思わせておいて。

    一つ一つの短編は意外と小さな謎を解くことで終わっているが、最終章で巧妙に張り巡らされていた伏線を見事に回収している。なるほどそういう展開な…。

    謎解きの面白さを提供しつつ、「恩送り」という一貫したテーマを1冊通じて書きあげるのが上手い。遅ればせながら友井羊、要注目と感じたぞ。

  • こんなミステリーがあったのか・・・感動しました。

    東日本大震災で甚大な被害を被った架空の小さな街「山浦」
    そこへボランティアで向かう参加者と地元の人々との交流を描いた話
    話は6章に分かれていて
    「災害の映像を見て自分も何かしなくてはと思いました」と答えるが何か他に理油があって参加したと思われる「遠藤幸樹」

    被災地で知り合った姉弟の元父親探しを手伝う女子高生の「沙月」

    就職に役立つと安易な考えでボランティアバス運行の企画を立て参加者を集める主催者「大石和磨」

    ボランティア活動に参加したいが大石和磨に断られ、どうして断られたのかわからず理由を探す「潤一郎」

    昔の教え子が教師になったと知らせがきたが場所が山浦と気付き行方を探すこともかねてボランティアに参加した成子とその夫善治の老夫婦

    被災地の隣町で犯罪を犯し逃亡途中でボランティアバスを見つけ乗せてもらう事になった「陣内」

    それぞれがいろんな形で被災者と関わり自分の考え方などが変化していく
    半分くらい読んでる途中で
    ん?
    これってミステリー???
    と頭の中にハテナマークが沢山浮かび上がったが6章で話が微妙にズレていきエピローグで全体の話の真相が語られるとなるほどと話の繋がりに納得しました。
    感動するミステリーを読んだのは初めて。ボランティアの事情なども細かく書かれていたので感情移入もできました「まる」

  • この作者は題名は割と軽い感じなのに、中身は結構重い。「僕はお父さんを訴えます」は後半は触れると切れるようなヒリヒリした緊張感があった。
    この作品は極悪人が出てこない、日常の謎的な連作だけど、震災に対してのボランティア活動の心構えなど学ぶことが多かった。東北の震災の折に募金と日常品の提出しかできなかった自分にしてみれば、読んでいて心苦しくなった。
    最後の最後で時間のミステリーだったことに、気持ちいい騙された感。

  • 大石くん、無いなら自分で作ろうって考えがいい。困っているから助ける。恩に感じたから返す。立場により、様々心情が交錯する。自分だったらどうするのか、考えさせらせた。

  • 初めて読む作家さんの本です。
    災害ボランティアの連作短編。

    ボランティアしたことないし、震災後に神戸にも東北にも行っていない私ですが
    色々と気づかされることが多かったです。
    ボランティアバスに乗った面々が順に主人公になっていっていると思っていたのに
    最後に、してやられました。

  • 最後の最後にやられたー!って感じでした。

    ひとつひとつのエピソードはなんだかうまく行きすぎなような気もするし、
    トラブルが起こっても、なんとなくさらっと丸く収まってしまっている感は否めませんが。

    災害ボランティアについても、いろいろ考えさせられる内容でよかったと思います。

    与えるだけではない、もらうことも時には大事。

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著者プロフィール

2011年、『僕はお父さんを訴えます』で第10回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞してデビュー。14年、『ボランティアバスで行こう!』が名門ミステリファンクラブ「SRの会」13年ベストミステリー国内第1位に選ばれる。著書に“スープ屋しずくの謎解き朝ごはん”“さえこ照ラス”“レシピで謎解きを”の各シリーズ、『映画化決定』など。

「2023年 『無実の君が裁かれる理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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