- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800223395
作品紹介・あらすじ
凄腕の殺し屋・兜が登場する、伊坂幸太郎の人気シリーズ作品「BEE」。『さよならドビュッシー』の映画化で話題の中山七里が贈る「二百十日の風」は、田舎を舞台にした心温まる物語。大藪春彦賞受賞で勢いづく柚月裕子は「心を掬う」で涙を誘う。「アゲハ」がドラマ化された吉川英梨は、「18番テーブルの幽霊」で驚きのトリックを描く!心がじんわり温まる、"人の死なないミステリー小説"が待望の文庫化。
感想・レビュー・書評
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伊坂幸太郎「BEE」は恐妻家の殺し屋のてんやわんやが書かれていて、なんか痛い。
中山七里「二百十日の風」は大きくなった風の又三郎が出てきてなかなか面白い。筋の運びも手慣れたものだ。昔読んだ「風の又三郎」やその映画を思い出して懐かしかった。どうどどのメロディも浮かんできた。
柚月裕子「心を掬う」は郵便局職員の犯罪を暴くものだが、現実にはなかなかこうはいくまい。
吉川英梨「18番テーブルの幽霊」は、原麻希シリーズが終わってしまったが、その後の原麻希一家を描いたもの。シリーズを再開してくれないかなあ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
好きな(興味のある)作家さんのアンソロジー作品。
特筆すべきは5冊以上の積読本がありながら、本作品が初伊坂幸太郎、初中山七里だったということ。
ずばり、やはり、読む順番間違えたなと。
中山七里以外はどうやら個人作のシリーズキャラが登場してたようで、たかだか小説デビュー90日前後のビギナーな私が、余裕ぶっこいて観て楽しめる作品ではなかったのかもしれない。
しかしながら、初読だった吉川英梨作品は面白かった。
アンソロジーの良いとこも垣間見れたことが唯一の救いだった。 -
好きな作家4人でしたので思わず読んでしまいました。読書はエンターテイメント。
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贅沢な時間だったというのが率直な感想。
人気小説家四名による、人の死なないほっこりミステリー小説集。
伊坂幸太郎さんの恐妻家の殺し屋、兜の活躍にほっこり。
他の作家さんのも読んでみたくなった。 -
最近ホッコリづいているので、題名が気に入って買ってきた。
4人の作家の短編集だが、柚木裕子さんは名前だけ、吉川英梨は初見だった。
ホッこりという題名だけあって、ミステリだけれど解決が、あ~それはそれは、というか、へ~そうだったんだというか、日常のちょっとした話の結びは面白かった。
「BEE」 伊坂幸太郎
恐妻家の殺し屋「兜」は、夫婦の殺し屋ススメバチのメスはE2(東北新幹線はやて)事件で死んだと聴いていた。が、オスの方が生き残っていて、自分を狙っているそうだ。一方家庭ではいい夫の顔で暮らしている、出来のいい息子もいる。
妻がガレージの前に蜂の巣があると言う。それはアシナガバチかスズメバチか、どちらにせよ何とかするように妻に言われている。
殺しの紹介者は医者で、カルテには依頼内容が、腫瘍というのは標的で、依頼主は患者などと符牒が決まっている。このやり取りと、家にいる怖い奥さんと、巣を作ったススメバチとの一戦も読み逃せないと言うか、伊坂さんの殺し屋とハチがらみのユーモア炸裂!
「二百二十日の嵐」 中山七里
今で言う限界集落で、廃棄物処理場建設計画が持ち上がった。雇用促進だと言うが、城崎夏美は自然破壊が許せない、そのうえ便利な近道に使っていた崖下の道が、かっての嵐で崩れ多くの犠牲者がでて供養塔が立っている。
それを撤去しないと施設は作れない。
丘の上で揉めているところに、採石をして研究している同僚の高田先生がいた。彼は空気の悪い都会からここに来たと言う。ここの石には「モリブデン」が含まれているといった。
建設が始まって高い塀をめぐらして故意に目隠しがされてしまった。なぜか予定地に立っていた大きな慰霊碑が忽然と消えた。雨が降り続く日、危ない下家が崩れかけた、子供が一人巻き込まれたらしい。夏美はここで両親をなくしていた、急いで駆けつけると頭上の巨石が動いている。危機一髪、崖の上で石を止めたような高田先生の影が見えたが。彼は今日、産休明けの教師と交代して転任すると言う。
「モリブデン」を活用すれば、といって去っていった。夏美は子供の時に出逢った、あの童話のあの子のような気がした。
「心を掬う」 柚木裕子
郵便が届いてないらしい。どうもその数が半端でない。
「酒処ふくろう」でもその話が出た。客の佐方は考え込んで郵便物紛失について内部で調べて欲しいと言う。
そして意外な事実が出てくる、どうも現金がはいっていた郵便がなくなるらしい。しかし確証がない。
佐方は郵便の差出人の気持ちを汲んで意外な手段を選ぶ。ちょっと感動した。面白い。
この、心を掬った男、佐方直人さんは検事をやめた弁護士で柚木さんの他のシリーズで活躍しているらしい。一冊買って読んでみる。
「18番テーブルの幽霊」 吉川英梨
イタリアンレストランの18番テーブルはいつも予約済みになっている。
レストランにやって来た健太は、中学の友人から、この18番テーブルの幽霊話を解決して欲しいと頼まれている。
話を聴くために連絡したのは継母の原麻希。彼女は警視庁の鑑識課員で、父とできちゃった結婚してからはハラマキと呼ばれている。
謎解きより先に目前にある英語学院の児童の爆弾騒ぎに巻き込まれる。そこにはハラマキの娘がいた。
爆弾騒ぎはやがて解決、人質を取った爆弾男もパテシェの機転で捕まった。
蓋を開けてみるとなかなか深い人情話がひかえていて、謎あり、ちょっとアクションありよく纏まった面白い話だった。 -
BEE 伊坂幸太郎
AXにあったやつ。再読。
部分的に切り取るとなんか弱い
二百十日の風 中山七里
これ どうやって着地するんやろか
って期待してたんだけど
都合のいいファンタジーになって残念
心を掬う 柚月裕子
あまりにも不自然な流れの文章に感じてしまう。
行動にしろ心情的にも。
18番テーブルの幽霊 吉川英梨
あまり新鮮味がなく思えたのは古い作品だから?? -
「心がじんわり温まる、人の死なない物語」との帯文句に惹かれ買ってみた。「ほっこりミステリー」(単行本ではしあわせなミステリー)というタイトルからして、海外のコージーミステリーのような雰囲気を想像していたら、ちょっと違っていたかな…第一話から殺し屋が出てくるし(人は死なないといえど…)。全話読み終えても「ほっこり」ではないな、と感じているが、大切なものを守ろうとする真摯さのようなものが4話に共通して描かれ、作品によって好みはあるけれど、それぞれに印象的であった。
伊坂幸太郎「BEE」:主人公の兜が殺し屋であることから「えええ~」と感じたのだけど、予想に反してオフビートな雰囲気の作品であった。何の話なんだ!と思わなくもなかったけど、後半の展開はなかなかにハラハラドキドキ。終わり方は好きかも。
中山七里「二百十日の風」:東北の限界集落が舞台。産廃処理施設の誘致を巡り対立する反対派と賛成派。どうも…登場人物の誰にも共感できず。だけど賛成派の言い分にも一理ありで、読了後も色々考えさせられた。宮沢賢治の有名童話も絡んでちょっぴりファンタジックではあるけれど、個人的にはその展開の面白さより、過疎化の深刻な村の現実について思いを馳せ、何とも言えない気持ちになりました。
柚月裕子「心を掬う」:切れ者の検事、佐方が今回ナンバーワンのお気に入りキャラクター!本作の収録作品は、中山さん以外は全て人気作品のスピンオフのようだ。どうりで皆キャラが立ってるわけだ。郵便物紛失事件の解決に、何とも意外で途方もなく地味で過酷な作業が伴うのだが、この作業が…想像すると相当キツい。でもラストはじわ~っとくる。「心を掬う」ってこういう意味なのかと優しく沁みます。
吉川英梨「18番テーブルの幽霊」:謎解きに一番ドキドキさせられたのはこれ。そんなにミステリーを読んでるわけではないけど、ママ捜査官ってかっこよくて好きです。彼女の娘が若干8歳にしてなかなかの推理力を発揮してくれるのだが、ありえないだろ~と思いながらも痛快。
伊坂さん以外は初読みの作家だったので、ちょっと興味が湧きました。柚月作品の佐方、吉川作品の原麻希には、是非本編のシリーズ作品で再会したいなと思う。 -
表題通りの、読後ほっこりするミステリーかもしれないが、短編なりにもうちょっとキレが欲しかった。
柚月作品は、「検事の死命」で既読だったので、それも残念。