ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社
3.61
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本棚登録 : 16647
感想 : 1445
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800226105

作品紹介・あらすじ

京都の美大に通うぼくが一目惚れした女の子。高嶺の花に見えた彼女に意を決して声をかけ、交際にこぎつけた。気配り上手でさびしがりやな彼女には、ぼくが想像もできなかった大きな秘密が隠されていて-。「あなたの未来がわかるって言ったら、どうする?」奇跡の運命で結ばれた二人を描く、甘くせつない恋愛小説。彼女の秘密を知ったとき、きっと最初から読み返したくなる。

感想・レビュー・書評

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  • 作品の冒頭がクライマックス。初めて読んだ際には、まさかここがそんな重要な場面だとは気づくこともありませんでした。一つの場面でもその意味するところを知っているか知らないかでは、全く別物になるということを実感させられました。また、「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」この書名、確かに作品の内容を的確に言い表しているとは思いますが、人によっては、あまりに軽くあまりに軟派な印象を受け、手に取ることすら躊躇してしまうのではないかとも思いました。

    この本では、かなり大胆なSFの設定を用いています。これには驚きました。でもさらに驚くことはその大胆な設定を前面に押し出すことなく、あくまでその設定はただの舞台であって、その上でごく普通の日常にある恋愛物語を淡々と描くことに徹しているところだと思います。その結果、空前の切なさを感じる作品になりました。全ての想い出が共有できたその時にはもう恋人同士としては二度と会えなくなる。こんな切なすぎる設定ありえないです。よくも考えたものだと思います。

    実のところ映画を先に観ました。観終わった後、あまりの切なさに耐えきれなくなり、すぐに見返して、さらにこの本も手にしました。
    二人の想いを考えれば考えるほどに究極の切なさを味わえる作品です。

    本を読んでみて、私的には映画の方がより洗練されていて二人の30日(本では40日)の二度と訪れることのない愛おしくかけがえのない日々を身近にリアルに感じられると思いました。一方で本の方はどちらかと言うと原石のような素朴で落ち着いた輝きを発しているように思います。こちらはこちらでとても好きです。

    ネタバレしても何度も楽しめる。良い作品に出会えました。

  • 時の流れと出会いと別れ、その時の過ごし方を考えさせられる作品。一瞬の大切さを思う。

  • 題名に首を捻ってしまい手が出なかったが、つい読んでしまったら結構良かった。
    初めての恋愛を思い出す。思い切って申し込み、付き合うことの出来た喜び。今でも高校時代の友達と飲むと揶揄われて、自分の中で思い出がどんどん美化されて行く。そんなキュンキュンする恋愛小説が中盤からファンタジーに変わって行く。設定が複雑なので、何度もどういう事かと再確認してしまうが、純粋にどういう結末を迎えるか気になってしまい、あっという間に読み終えた。出会いが運命というか必然というか納得させられる。切ない最後だった。

  • これを言ったらタブーなんだろうが、彼女は産まれた時どんな状態だったんだろう。また、何故時を遡る彼女がまた電車で会えるんだろう?15歳と25歳ということ?
    読みやすくて気楽な感じの読書だったので、まあ楽しめたかな。

    • さてさてさん
      kakaneさん、こんにちは!

      ずっとご挨拶ができておりませず、大変失礼しました。いつもありがとうございます。女性作家さんの小説限定と...
      kakaneさん、こんにちは!

      ずっとご挨拶ができておりませず、大変失礼しました。いつもありがとうございます。女性作家さんの小説限定という狭い範囲の読書をしている私からは、多彩な読書をされていらっしゃるkakaneさんの選書の幅広さに、とても新鮮なレビューを読ませていただいています。ありがとうございます!

      この作品、私も読書最初期に読みました。と言っても私の読書歴はまだ三年しかありません。そんな読書の実質的起点になった一冊がこの作品です。この三年でそんな読書も600冊近くになったのですが、その中から恋愛小説を一冊選べ!と言われた場合には一才の躊躇なくこの作品をあげます。私にとってはそれくらいに強いインパクトを与えてくれた作品です。今回、ご挨拶を兼ねてコメントを書かせていただくことにしたのは、kakaneさんが『?』を書かれた点について私の理解を書かせていただきたいと思ったからです。この作品の舞台はパラレルワールドなんだと思います。彼と彼女はパラレルになった二つの世界の別の住人。それぞれの世界は、その世界に暮らしている住人からすると、私たちの住む世界と同じ。なので、彼女は彼女の世界で普通に赤ちゃんとして生まれ、年をとり、お年寄りになって死んでいく、これ自体は私たちの概念と何も変わらないと思います。それが、この小説のように、彼の世界から彼女の世界を見ると大人だった彼女が子供になっていくように見えるのは、二つの世界の時間軸が逆行しているからなのだと思います。お互いの世界の時間は通常、私たちが考える感覚で流れています。でも、その二つの世界をそれぞれに眺めると相手の時間は時間軸が逆になっているために逆に流れて見えるというイメージです。東京から博多行の新幹線に乗っているのが彼、彼女は博多から東京行の新幹線に乗っている。その移動の流れを時間に置き換えて、彼から彼女の新幹線を見ると自身にとって過去である東京に向かって彼女は進んでいるとなります。そして、そんな二人が新大阪で出会う。この作品はそんな新大阪の出会いを描いたものなのだと思います。その出会いの後に彼から彼女を見ると彼女は過去(東京)に向かって進んでいくように見えます。そして、これから彼が向かうのは、彼女が生まれた側、博多へと向かっていくことになります。しかし、この作品では10年に一度再会を果たしていきます。なので山手線や大阪環状線に置き換えて考えれば良いのかなと。この時に、時間軸が逆行しているので、彼から見ると彼女は時を遡っているように見えますが、彼女の時間軸から見ればなんのことはなく、私たちの概念と変わらない時の流れで進んでいるとなります。
      2008年のアメリカ映画に「ベンジャミン・バトン」というものがありました。あの作品では老人として生まれた彼が、成長するに従って若返っていく姿が描かれていました。老人から青年、赤ちゃんとなっていく彼。この概念だと生まれた時がおじいさん!という摩訶不思議なイメージになっていました。それに比べてこの作品は、パラレルワールドのそれぞれは普通の世界、彼も彼女も普通の人生を送っているとなるので、私としては「ベンジャミン・バトン」には違和感をとても感じましたが、時間軸が逆行というSFの概念設定さえ受け入れれば、この作品は、より自然なのではないかと思いました。
      この作品、私は映画から入りました。映画では、作品の最後に彼女の視点から見た物語が早送りで挿入されているんです。これを見ると、彼女の時間軸的にはとても自然、しかし、彼の時間軸(彼の気持ち)に違和感を生じないように振る舞う彼女の努力がいかに苦痛を伴うかが見えてきました。彼から彼女は出会い→手繋ぎ→キス→初体験なのが、彼女から彼は、初体験→キス→手繋ぎ→出会いという体験をすることになります。こんなこと普通にはありえないです。それを、彼の時間軸的に違和感のないように彼女は自分の時間軸ではありえないにも関わらず、そうは見えないように必死に振る舞います。それは、彼女が如何に深く彼を愛しているからです。そんな彼女の心を思うとあまりに切ないです。彼女の立場に立てば立つほど耐えられない思いに未だ囚われています。映画では、それから10年、20年後の世界も描かれていました。これをトータルに見た時の二人のそれぞれへの想い、それぞれの時間軸の流れに沿って、相手と最後の別れをした後の気持ちを思うと、すみません、コメント書きながら涙が止まらなくなりました。馬鹿みたいですが、この作品、私には未だ地雷のようなヤバい作品です。

      すみません、自分のレビューでもないのに、こんなに長々とコメントを書いてしまって大変申し訳ありません。
      私の理解はこんな感じです。どうぞよろしくお願いいたします。
      2022/10/15
    • kakaneさん
      さてさてさん、コメントありがとうございます。
      別世界での異なる時間の流れ。すっきり納得しました。
      最近乱読が過ぎて、話の本筋を逸脱することが...
      さてさてさん、コメントありがとうございます。
      別世界での異なる時間の流れ。すっきり納得しました。
      最近乱読が過ぎて、話の本筋を逸脱することがあり、丁寧なご説明にストンと落ちる感じで理解しました。
      ありがとうございます。
      一年前くらいに読んだフィリップ・k・ディックの「逆まわりの世界」も時間を遡る現象を扱っていましたが、こちらはなんの説明もなく、しかもホラーだったので読後感が良くなかったのですが、「ぼくは明日、昨日・・・」は読後感が良くて気持ちの良い読書でした。本当にご説明ありがとうございました。感謝!これからも充実した読書生活をお過ごしください。
      2022/10/23
    • さてさてさん
      kakaneさん、ありがとうございました。
      長々としたコメント大変失礼しました。
      おっしゃる通り「ぼくは明日、昨日・・・」はとても読後感...
      kakaneさん、ありがとうございました。
      長々としたコメント大変失礼しました。
      おっしゃる通り「ぼくは明日、昨日・・・」はとても読後感が良いですよね。そんなところも読書の充実感に繋がるような気もします。
      こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願いします!
      2022/10/23
  • 心あたたまる恋愛もの。京都が舞台なので、土地勘がある人は嬉しいかも。私も関西住みなので聞いたことのある地名たくさんで嬉しかった。

    • 土瓶さん
      ゆうりさん、こんばんは~^^

      これは映画で観ましたねー。
      レイトショーで安かったので。
      意外と(失礼)良くて、特にback num...
      ゆうりさん、こんばんは~^^

      これは映画で観ましたねー。
      レイトショーで安かったので。
      意外と(失礼)良くて、特にback numberの挿入歌「ハッピーエンド」がイメージにピッタリでした。
      2023/11/27
    • ゆうりさん
      土瓶さん、コメントありがとうございます(*´ω`*)
      映画予告編見てみました!キャストさん、どハマりでいいですね。
      挿入歌にも注目して見てみ...
      土瓶さん、コメントありがとうございます(*´ω`*)
      映画予告編見てみました!キャストさん、どハマりでいいですね。
      挿入歌にも注目して見てみようと思います!
      2023/11/29
  • タイトルで、バレているにも関わらず感動させてくるとは…素晴らしい(´;ω;`)時間の逆行の設定は分かっていても、細かいルールや感情の機微の描きかたが絶妙でした。切ないっ!

  • ん?え??あれ??んん??あーーーー…
    みたいな感じだったかな…(笑)
    最初はしばらく理解出来なくて、こんがらがったけど、納得は出来てもなんだか。
    "あーそうだったんだー"ってゆう感想かな。

  • 幼い時からのファンタジー&ラブ少女漫画好きでした。ので‥突然の告白、可愛い女の子、etc…私の好きなもの全部つめこまれてる!みたいな作品でした。
    でも、切ない。切ないしか最近言ってない笑。大人になった今、読んでしまったから、単なる恋愛小説には感じなかったです。若い頃読めていたらさぞかし素敵な夢が見られていたと思います。笑。
    反対側からお互いに進んで行く時間。交差した所でしか一緒に過ごせなかった2人。私は、可愛いヒロインには母性と、人生ってそういうものだなって寂寥感感じてしまいました。で…でもやっぱりこんな青春過ごしたかったなー笑

  • やばい、これは一気読みするべきだった。
    何日もかけて、ちょっとした合間に読むものじゃなかった。
    女性は絶対好き。この手の話。
    もう1回読み直したい。だけど図書館で借りたから返さなきゃ。
    って事は、この本、買います!
    すっごい好き!

  • 愛した人は、時間が逆に進む世界の住人。

    相手が大人のとき、自分はまだ幼くて。
    相手が子供のとき、自分は老いる。

    お互いが20歳のとき、出逢って、交差して、恋をして、
    そして離れていく···

    って、せつなすぎませんかぁーーーーー
    想像して苦しい。

    一緒に歳をとれる人と過ごせるって、幸せなことなのね。
    当たり前と思ってたことに、感謝。

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著者プロフィール

大阪府生まれ。『Astral』(電撃文庫)でデビューし、ライトノベル、一般文芸などジャンルを超えて幅広く活躍。第3回京都本大賞受賞作『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(宝島社文庫)はミリオンセラーとなり話題を集めた。他の著書に『君にさよならを言わない』(宝島社文庫)、『ケーキ王子の名推理』(新潮文庫)などがある。

「2021年 『100万回生きたきみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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