最終陳述

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著者 : 法坂一広
  • 宝島社 (2014年4月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800226198

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最終陳述の感想・レビュー・書評

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  • 冒頭
    ───
    「結論から述べます」
     前田貴子は声を張り、検察官席から法廷を見回した。2013年10月、水曜日の福岡地方裁判所。裁判員用の広い法廷は間もなく正午を迎えようとしている。百数十ほど設けられている傍聴席全体が動きを止め、静まり返った。
     法壇に座る六名の裁判員と一名の補充裁判員は、一様に目を開いて、身体を前に乗り出す。
     自分の声の余韻が消えたあともゆっくりと間をおく。聞く者の心の準備を促すように。そして何よりも自分自身と折り合いを付けて、できれば口にしたくなかった言葉を発するために。
    「石野正紀被告人に対しては死刑を求刑いたします」
    ───

    強盗殺人事件の被告人が最終陳述を始めようとする直前、傍聴席から「その人は犯人ではありません。ぼくが殺したのです」と名乗り出た若い男。
    スムーズに終わろうとしていた裁判で突然起こった衝撃の告白。
    事件の真相は?
    このあとの裁判はどう進んでいくのか?

    冒頭の、突然、かつ大胆なアクシデントの発生で、“つかみはオッケー”的に物語は始まる。
    苛立つ裁判官と検察や刑事。
    戸惑う裁判員たち。
    それぞれの視点から出来事が語られ、なかなか興味深い進み方だ。
    特に、裁判員の心の動きや裁判官との力関係、制度の欠陥に触れているところはなかなかだ。
    裁判員制度の問題点に一石を投じる小説と言っても過言ではないだろう。
    そういえば、裁判員になって、残虐な写真などを見せられたことで精神的ストレスを与えられたという訴訟があったのも、つい最近のことだ。
    一審では却下されたが、今後どうなるかはまだわからない。

    この作品を読んでいると裁判官が裁判員に対して非常に傲慢な考え方を持っていると感じるのだが、実際どうなんだろう?
    こんな裁判官ばかりなら、裁判員制度の意味はない。
    早く結審することばかり考えている裁判官や検察官など、テレビドラマ「HERO」でキムタクにコテンパンにやっつけてもらいたいほどだ。
    さらには、手提げ金庫の証拠を隠滅しようとした検察内部の判断。
    これが実際の裁判で暴露されたら、福岡高等検察庁の偉い人の首が簡単に飛ぶのじゃなかろうか。
    許せませんよ、こんなの。

    物語は、最後で再びの大どんでん返しを見せるのだが、ここはそれほど驚きを感じなかったのは何故だろう。
    この人が犯人じゃなければ物語自体が破綻すると薄々感じ取れていたからか。
    最後に近づくに連れ、尻すぼみ気味に終わったような気がする。
    他にも、ライターの恋バナや、ジョンレノン「スターティング・オーヴァー」の曲を意味ありげに登場させるのは、ちょっと余計だった。
    この作品の中で、それほど重要な役割を果たすモノには感じ取れなかった。

    ということで、一見、面白いかなと思って読み始めたが、だんだんとつまらなくなっていったので、評価はそれほど高くない。
    もう一つ付け加えれば、文章があまり上手だと感じられなかったことか。
    現役の弁護士さんらしいが、小説を書くにあたっては一層の精進をお願いしたい。

  • なかなか読み進まなかった。それは内容のせいなのか、文体のせいなのか。
    最後は、ちょっと甘い。

  • 切り口は面白いけど、ダラダラ感・・・

  • 二人を殺めた強盗殺人事件の裁判員裁判で、被告人の最終陳述が始まろうとするなか、傍聴席の若い男が「その人は犯人ではありません。殺したのは私です」と突然声をあげた。混乱する法廷。予定通りに裁判を終わらせたい裁判官、曖昧な印象で合議すゆ裁判員たち、組織の方針に縛られる公判担当検事、強引に方針を決めていた弁護人。彼らは無実の男を裁こうとしていたのか、それとも……?真犯人と自ら名乗る男が現れたことで、裁判は迷走し始める。事件の真相とは。

    裁判員裁判ってめんどくさいんだなあって話。とにかく疲れた。誰に対しても、よくやった!とは思えなかった。偏見かもしれないけど、裁判所や検察に対しての敵意をひたすら感じて、作者が弁護士だと知って、やっぱり、と思ってしまった。

  • 2人を殺めた強盗殺人事件、。裁判員裁判、裁判の過程がよくわかった。

  • そうでしたか。感服。関係各位の細かな心情がよくわかった。なるほど。

  • #読了。二人を殺し、強盗殺人の罪で起訴された裁判員裁判が行われている中、最終陳述の際に突然傍聴席から、「私が真犯人です」との声が。混乱する裁判員、司法関係者をよそに、男は犯行を自白するが・・・現役の弁護士さんとうことで、リアルに描かれている。本当にこんなことがあったら?と思わずにはいられない。

  • 無実かもしれない人間一人の命より検察庁という役所のメンツが優先。時には事実の隠蔽さえも。裁判所も右に同じ。ともすると真実が法的建前に劣後してしまう。我々一般人も真実の前に自分たちの都合が頭をもたげる。普通の日常が自らの感情を押し殺す。裁判員制度の欠陥と責任転嫁するのは誰にでもできる。どうすれば無辜の冤罪をなくすことができるのか。終章の「はじまり」には健全な議論のはじまりを予感させるものがあった。

  • 殺人事件の裁判員裁判における、最終陳述の際に、
    傍聴席から真犯人が名乗り出て…、から始まり…、
    揺さぶられながらも、真実に辿り着くお話でした。

    起では、最終陳述における真犯人?の名乗りを、
    承では、各組織の思惑と所属する若手の葛藤を、
    転では、弁論の再開と、どんでん返しの展開を、
    結では、真相と動機を、それぞれ描いていました。

    各組織の思惑と若手の葛藤は、ワンパターンで、
    法廷や人物の描写も浅く、臨場感もありませんが、
    それでも、裁判員裁判における、最終陳述の際に、
    傍聴席から真犯人が名乗り出る…といぅ始まりは、
    その後の展開への興味を、十分に持続できました。

    でも…、それだけに、最後の真相と動機の暴露は、
    茶番と、安っぽぃメロドラマになってしまぃ…、
    終盤の失速といぅよりも、台無しといぅ感想です。

    まぁ、裁判の仕組み上、
    中盤のどんでん返し後は、主要な登場人物は、
    次の裁判(真相を語る舞台)に立てなぃので、
    物語の収束の持っていき方も、難しぃでそぅが…。

    裁判員裁判の問題点を、
    傍聴席から真犯人が名乗り出る…といぅ展開で、
    切り出したお話の構成は、興味深かったので…、
    評価は、ベースが★4に、終盤の失速で-★1。

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最終陳述の作品紹介

二人を殺めた強盗殺人事件の裁判員裁判で、被告人の最終陳述が始まろうとするなか、傍聴席の若い男が「その人は犯人ではありません。殺したのは私です」と突然声を上げた。混乱する法廷。予定通りに裁判を終わらせたい裁判官、曖昧な印象で合議する裁判員たち、組織の方針に縛られる公判担当検事、強引に方針を決めていた弁護人。彼らは無実の男を裁こうとしていたのか、それとも…?真犯人と自ら名乗る男が現れたことで、裁判は迷走し始める。事件の真相とは-。

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