- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800230645
作品紹介・あらすじ
婚活サイトを利用した連続不審死事件に関与したとして、殺人容疑がかかる円藤冬香。しかし冬香には完璧なアリバイがあり、共犯者の影も見当たらなかった。並外れた美貌をもつ冬香の人生と犯行動機に興味を抱いた週刊誌ライターの由美は、大手メディアを向こうに回して事件を追いはじめる。数奇な運命を辿る美女の過去を追って、由美は千葉・房総から福井・東尋坊へ。大藪賞作家が満を持して放つ、驚愕と慟哭の傑作サスペンス!
感想・レビュー・書評
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いつも静かで控えめなのに誰もが認める美貌の持ち主の冬香が車中練炭殺人等連続不審死事件容疑の疑いを持たれるけど、彼女にはキチンとしたアリバイがあった。しかも騙し盗られた多額の金が彼女の周りには無いのだ。
世間が騒ぐこの事件に絶好のネタとして強い興味を有する週刊誌女性記者の由美が核心に迫って行く展開はなかなか面白い。中盤までのストーリーがグイグイ興味を引っ張ってくれて流石だと思っていたが、終盤にかけて全貌が明らかになってくると少し拍子抜けしてしまった。
辛く悲しく重苦しい生い立ちの姉妹が、事件惹起に至る過程では動機が凡庸で腑に落ちなさ過ぎて残念でございました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
やっぱり外さない柚月裕子。次の展開が気になり、あっという間に読了。途中からカラクリは予想が付いたものの、それでも十分に面白かった。
フリーライターの由美は、世間を賑わせている『連続婚活不審死事件』を追うことに。容疑者は円藤冬香。美貌の女性だ。由美は、これほど魅力的な女性なら男にも金にも不自由しないのではないか?なのに何故という思いに突き動かされる。
冬香の過去を探っていくうちに壮絶な過去に直面する。物語は由美が事件を追っていく様子と、冬香の幼少期が交互に展開されていく。
冬香の境遇があまりにも可哀想で、どうしても冬香に肩入れしてしまい、このままなんとか逃げ切って欲しいと思わずにいられなくなる。
普段、私たちがこうしたニュースを見ると、その事件の本質を理解せず、容疑者に対し『よくもこんな事件を起こせるものだ』と完全に悪と見做し、被害者に寄り添った見方をしてしまう。冬香がしたことはもちろん許されることではないが、それでも冬香をこうしてしまった背景にも目を向けるべきだと思い知らされただけに、由美が書く記事の視点には救われる思いがした。
これからも、ただ面白いだけの物語ではなく、読者に問題を突きつけて欲しい。 -
今回も読み応え充分。「わたし」が何となくわかってきた頃、全容が明らかに。
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交際相手を次々に殺害したと思われる女性の過去をフリーライターの主人公が追う。実際にあった事件を彷彿させるところもあり、中盤までは物語に引き込まれたが、後半はトリックが読めてしまったこともあり、何となく消化不良。
でも、作者の新しい一面が見えた作品。 -
「蟻の菜園」と呼ばれる、蟻と植物の共依存によって成り立っている事象がある。蟻は地上ではなく樹木の上に巣を作り、その巣に数種類の着生植物が生える。蟻たちは着生した植物の果実を食料にし、植物は蟻の廃棄物を栄養源にして生きている。どちらが欠けても生きてはいけない。
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2022.4.9読了
途中までとても面白く、ページをめくる手が止まらなかった。
でも、なぜお金が必要になったかがわかったあたりから急激に冷めてしまった。
それでも、「わたし」の正体が気になって読み進めるが、それについての描写も唐突に感じた。
この設定を活かすなら、もう少し伏線のようなものがあれば良かったように思う。