【2015年・第13回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作】女王はかえらない (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 1880
感想 : 159
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  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800249999

作品紹介・あらすじ

小学三年生のぼくのクラスでは、マキが女王として君臨し、スクール・カーストの頂点に立っていた。しかし、東京からやってきた美しい転校生・エリカの出現で、教室内のパワーバランスは崩れ、クラスメイトたちを巻き込んだ激しい権力闘争が始まった。そして夏祭りの日、ぼくたちにとって忘れられないような事件が起こる-。伏線が張りめぐらされた、少女たちの残酷で切ない学園ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • ミスリードの手法は乗り切れないと途端に高揚感は無くなる。これで終わる事は無いだろうと感じつつも徐々に自分の熱は冷めていった。
    性別誤認に関してはしてやられたが、ただただ騙されただけ。そのトリックは事件に関係ない。読者を騙したいだけではないか。自分の作った物語をもっと愛してくれ。

    タイトルが秀逸。
    「女王はかえらない」を「女王は帰らない 還らない」、戻らないの意味だと思っていた。
    まさか、「女王は孵らない」孵化できない、時が止まる、だったとは。凄い。

  • 小学生のスクールカーストミステリー。
    第13回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作品。

    あらすじが好みだったので手にとったが、うーん、なかなか進まない。第三章の展開はそれなりに楽しめたが、小学生全員がそんな展開になるかな?とリアルさを感じれず、それゆえにイヤミス感を堪能できなかった(´._.`)スクールカースト、いじめが描かれていて、内容はかなり重いはずなのに、いろいろな意味で軽さを感じた。ですが、ある意味衝撃的な展開と叙述トリックで記憶には残りそう。

  • 面白かった
    イヤミスに分類されるものだと思います。
    いやーな気分で読み進み、嫌な気分で終わる物語

    ストーリとしては、スクールカーストを下敷きとした三部構成
    第一部は、針山小学校の3年1組を舞台として、「ぼく」の視点で語られるスクールカースト。
    マキが女王として君臨し、誰も逆らえない中、東京からエリカが転校してきます。教室内のパワーバランスが崩れ、この二人の権力闘争が周りの子供たちも巻き込み展開していきます。そして、夏祭りに事件が発生
    こんな子供たちって嫌い(笑)
    残酷な子供たちですよね。

    第二部は、教師の視点で女子小学生の失踪について物語が語られていきます。
    この教師も嫌い..

    そして、第三部がすべての真相という形です。

    全体として嫌な気持ちで読み進むことになります。
    スッキリとはしません。
    無理やりのトリック感があるところが残念

    しかし、この表題は秀逸
    女王はかえらない、帰らない、孵らない
    なるほど..

    イヤミスが好きな人にはお勧め

  • 3部で構成されているミステリー

    第一部は小学生のスクールカーストの話しを小学生の目線で語られる
    転校生エリカがやってきたことで、今までトップに君臨していたマキとのパワーゲームへ発展し最悪な展開に…

    第二部はクラスの担任目線で語られる

    第三部は伏線回収

    第一部は読み進めていくほどに鬱積する
    それほどクラスのいじめ、争いが重い
    読んでいる私が「どうにかして…誰かどうにかしてよ…」と思っていた
    意外な形で終わるのだけど…

    この小説の凄さは二部からかなぁと思う
    一部の話しのアンサー的な位置付けなのかな?と思いつつも感じる違和感
    からの三部でのネタばらしが凄かった

    この、騙された感を味わいたくてミステリーって読んでるんだよ!と改めて思った一冊でした

  • ストーリーとしてはよく出来ていておもしろく、
    先の展開が気になるミステリーなんだけど、
    スクールカーストという、
    全編に漂ういやーな雰囲気に気が重くなった。
    ラストに向かって真実が明らかになるにつれ、
    一番そうなってほしくない展開に話が進み、
    さらにどんより。
    三十人以上の子どもが絡む事件で
    この結末は、うーん…。
    成長して選んだそれぞれの職業にも疑問。

  • うーむ、ダーク。ラストの畳み掛けは、面白かったけど、全体として重たい。ミステリーとしてのだまされた爽快感も、そこまでは感じられなかった。もっと、ひっくり返して救われる展開が欲しかったのだが、イヤミスとしてはありなのかもしれない。

  • 女子小学生スクールカーストいじめもの。二人の小学生の女王の熾烈な争いから花火の夜、事件に発展する。
    そして、教師の視点から女子小学生失踪事件に切り込む二章。見るからにアレな構造なんだが、まあある程度予想通りの仕掛けあり。多少仕掛けが過剰で、登場人物の実像が掴み難い。
    女子いじめモノ自体がまあ珍しくなく、結末がイヤミス過ぎて、カタルシスもなく、わたしにはハマらなかった。

  • 自分の小学生時代は楽しかった部類に入るかもしれない。
    もちろん、当時も嫌なことや辛いこともあっただろうが、今となっては、あまりそういうことは思い出されない。
    まあ、自分はバカな男子小学生だったので、余計にそんな感じだったのかもしれないが。
    しかし、それはたまたまそうだっただけで、本作のようなギスギスした小学生時代を送っていたかもしれない。
    恐ろしさに一気読みだった。
    もちろん、このミス大賞受賞作でもあり、ミステリとしても非常に楽しめたことも、一気読みの理由ではある。
    どんでん返しの連続で、色々な違和感が解消された解決編では思わず唸ってしまったと同時に、騙されたことの気持ちよさも味わえた。
    こういう作品を楽しめることが、ミステリ好きの醍醐味といえるかもしれない。

  • 読みやすい。3.5かな。まぁ面白い。タイトルの
    「女王はかえらない」は確かにその通り。
    人物相関図を書いて読んだので、比較的すんなり理解して読めた。名前がポイントだね。
    良くあるパターンだと思います。

  • いやはや、単なる小学校におけるスクールカーストを題材とした(ちょっといじめっぽい要素もありつつ)お話しで、その第一部を受けて、第二部ではそのつづきを今度は担任の先生目線で描いていて、なんだこの先生、子供のことがまったく掴めていないな、ちょっと退屈な作品だな~、と思いつつ読み進めていたのですが。。。

    ところが、最終盤は怒涛の展開でさまざまミスリードが仕込まれていたことに気づいて初回のオドロキ、さらに第一部での事件の真相が明らかになり、二回目のオドロキと、終盤で作品への評価がガラリと変わってしまいました。

    読んだ人にしかこの興奮は伝わらないかもしれませんが、書かずにはいられません(ネタバレのチェックボックスをONにしちゃいました)。

    ・第二部は第一部の数日後の話しかと思ったのですが、実は20年後の世界。
    ・オッサンは男の子、メグは女の子だとばかり思っていたのですが実は逆だった
    ・エリカと絵梨佳、マキと真希は全くの別人

    といったところが主だったミスリードを誘う仕掛けでしょうか。その他、諸々の真実は第三部の四年一組の同窓会で明らかになる驚愕の展開で、ラストはキツネにつままれたようにオドロキとちょっとした放心とが入り混じった読後感でした。

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著者プロフィール

(ふるた・てん)プロット担当の萩野瑛(はぎの・えい)と執筆担当の鮎川颯(あゆかわ・そう)による作家ユニット。少女小説作家として活躍後、「女王はかえらない」で第13回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、同名義でのデビューを果たす。「小説 野性時代」掲載の「偽りの春」で第71回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。同作を収録した短編集『偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理』を2019年に刊行した。他の著書に『匿名交叉』(文庫化に際して『彼女は戻らない』に改題)『すみれ屋敷の罪人』がある。

「2021年 『朝と夕の犯罪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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