血の季節 (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 369
感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800258564

感想・レビュー・書評

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  • 幻の名作らしいが、今一つの面白さだった。最初から最後まで判然としないストーリー、ミステリーなのか、ホラーなのか、曖昧模糊、混沌とした雰囲気のままでラストを迎える。

    青山墓地で発生した幼女惨殺事件。逮捕された犯人の過去と現在が描かれるが…

    裏表紙に記載された魔性も狂気も感じられず、吸血鬼小説の面白さも、サイコパス小説の面白さも、警察小説の面白さも味わえなかった。

  • 最後の物語の閉じ方が絶妙。警部が熱い良い味を出している。

  • 「復刊希望が相次いだ、幻の名作がついに復刊」と出版社直々に書かれますと、どんなけ面白いんだ!?と、期待のハードルがグイグイ上がってしまうものですが、とくに山場らしい山場がないまま読み終わってしまった感がありました。
    この肩透かし感は出版社のふれこみを真に受けてハードルが上がりすぎてしまったからかと考えてみましたが、やっぱりこの作品はホラーと呼ぶには物足りなく、ミステリーと呼ぶのも物足りない。「血の季節」というタイトルから何となく想像できると思うのですが、その辺のゴシック感もやっぱり物足りない。
    恐らくですがこの作品が刊行された当時は、私が物足りないと思ったすべての要素が水準以上で、この物語の妖しい雰囲気がたまらなく、復刊を待ち望んだ方々の記憶の中に生き続けていたのではないかと思います。
    ただミステリーもホラーも妖しい雰囲気の小説もこの35年でどんどん水準が上がっていってしまい(表現もどんどんぞくっぽくなっていっているし)、今の基準に慣れきった者は物足りなく感じてしまうのではないかと思いました。
    超個人的な感想としては、もっと美少女の蠱惑的な面を見たかった!それがいちばん物足りないと思った点でした笑

  • 復刊ありがとうー! タイトルからもちょっと彷彿とさせますが、吸血鬼をメインモチーフに置いた、ミステリ+ホラーな作品(帯に謳っている、警察小説、サイコパス辺りの要素は、そうかなぁ?と思う程度にしかないので期待しない方がいい)。
    作中、少年期~青年期と回想が進むにつれ、最初は匂わせる程度だった吸血鬼ネタがジワジワと現実味を帯びて迫ってくる感じが凄くイイ。(この情報を出していく塩梅が絶妙)
    某国大使館に住む美しい兄妹。東京の空襲、広島と生き抜いた「運が良い」主人公のぼく。読み方によってホラーにもミステリにも取れる。サクサク読めるしさすが小泉喜美子。

    『ダイナマイト円舞曲』もいつか復刊されるといいなぁ。

  • 精神科病棟に収容された囚人の幼年期から現在にいたるまでの独白と、幼女惨殺事件の犯人を追う警部の捜査過程とが交互に展開していく構成となっています。
    囚人の幼年期と、警部の捜査(現在)と時間帯のずれがあるため、この二つの話がどう組み合わさっていくのだろうと考えながら読み進めて事になるかと思います。
    全般を通し、あまり急展開といった場面は無いため、人によっては面白みに欠けると感じるかもしれません。
    最後の最後で、こういう展開に持っていったのかと思わせる内容だったため、事前に本作のテーマについては情報を入れずに読んだ方がより楽しめると感じました。

  • 青山墓地で起きた幼女惨殺事件。被告人は独房で奇妙な独白を始める。
    戦前、戦時下と金髪碧眼の兄妹と遊んだ思い出はいつの間にか狂気と魔性の物語になっていく。ミステリとホラーの噛み合わせが見事にマッチしており、長すぎず、短すぎない程よい小説となっている。

  • 幼女誘拐殺人を追う警察の視点と犯人の独白で進むストーリー。
    「このミステリーがすごい! 2014年版」の企画第2位の復刊。

    ミステリーともホラーともなんとも分類できない世界観。
    というより、少年時の耽美な回顧録といった印象が強い小説だったな。

  • 「犯人」の回想シーンや逮捕につながる経緯など、物語部分は普通。種明かしというか、推理パートの運び方はちょっと目新しくて、おっ、と思ったけど、それだけで、何だか物足りない感じで終わった。
    200906

  • 3

  • 古い作品だからか、吸血鬼の描写など既視感があった。主にミステリーの要素が強く、あらすじにあったようなホラーとの融合は感じられない。
    最後のドキッとする後味の悪さはいい。警部が闇堕ちする展開もあるかと思ったけど何もなくて拍子抜けした。

著者プロフィール

1934 - 1985。推理作家、翻訳家。1963年に『弁護側の証人』でデビュー後、多くの作品や翻訳を手がけたほか、ミステリーに関するエッセイなども。歌舞伎好きとしても知られ、論考を残している。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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