- Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800264893
感想・レビュー・書評
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美術・アート業界という、一般にはあまり馴染みのない世界が舞台。世界的に評価の高いアーティストの、何億という高値で取引される作品たち。大きな金額が動けば、そこには必ず人の欲やエゴが絡み、不穏な輩も現れてくるのは世の習い。その「やばい部分」に果敢に足を踏み入れ、テーマとして取り上げた意欲作である。
もちろんフィクションでアリ、虚実ない交ぜではあろうが、参考とした美術品のオークションや、怪しいアジアの大富豪とのやり取りなど、知らない者にも「ものすごいリアリティ」を感じさせてくれる。
「人前に姿を現さない」孤高の天才作家と、そのマネジメントを一手に引き受けているやり手美女。その美女のアシスタントを務める若い女性が主人公で、「大きなうねり」に翻弄される様がまたリアル。
ミステリなので殺人事件が起こるが、その「謎解き」がメインのテーマではない...のではなかろうか。アート業界の表裏を描く「お仕事小説」でもあり、最後の最後で気づかされるが、主人公の「成長譚」でもあるのだ。
「狐と狸の化かし合い」のような緊迫したストーリーの中で、読者へのちょっとした「プレゼント」のようなエピソードも挟み込まれていて、盛りだくさんであり、かつ抜かりがない(^ ^
本作がデビュー作らしいが、とてもそうは思えない「手練れ」と見た。他の作品もぜひ読んでみたくなる(^ ^詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あとからじわじわと来る本
何故か、時折からの本のワンシーンを思い出してしまう
仕事への向き合い方を考える主人公
海外での展覧会のときの、一大イベントに向けた緊張感、臨場感、日常とかけ離れた世界観。
このシーンが好きだった
画伯、美術品コレクターなど、普段接しない世界観に触れられたのもおもしろかった。
読書の醍醐味だなぁ、と実感。 -
美術の世界の裏側がよくわかる作品。アートとは何か、価値とは何かを考えさせられる。
犯人がわかるようでわからない‼︎でもそれが全てが明らかになった瞬間の爽快感を増幅させてくれる‼︎ -
ミステリー小説といつことでやはり人が死ぬ。結果は最後の数ページで一気に解決。
アート作品の取引を崇高な芸術活動として特権化するんではなく、他の企業と同じように商品として海外に売り出すための戦略を学んだ。というのが印象的。
価格は需給のバランスに基づいた客観的ルールから設定される。値段は本来価格のつけられないものの価値を表すためのもの。常に変動する。