【2017年・第15回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作】 がん消滅の罠 完全寛解の謎 (『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800265654

感想・レビュー・書評

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  • 医療物の難しい単語が出てくるものの
    文章は読みやすく感じた。

    それぞれの過去と伏線の回収
    最後のページはやられた、、と思った。

    こういう驚きがあるから読書はやめられない!

  • これまで医療に関する実態、コロナ情報に関する本を読んできました。
    その勢い、のような流れで読んでいますが、これはフィクションです。

    病院は独特の世界ですし、私にはあまり関わりがありません。
    ただ、いろいろなことを考えつつ読めましたので、読んでよかったと思います。

    とても読み応えがありました。
    「医師としてできないこと、医師でなくてはできないこと、。。。」のような(詳細はすぐ忘れるのでちがっていたがごめんなさい)伏線、その真実、裏の裏を返してくるような、ミステリー。うんうん、おもしろい。

  • 「医師にはできず、医師でなければできず、そしてどんな医師にも成し遂げられなかったこと」
    それはいったい何なのか───

    最初は保険金詐欺だと思っていた。
    ところがその後の展開は、想像を絶するものだった。
    ”完全寛解”の謎が解けても、なんだかモヤモヤとしたものが残る。

    狂気としか思えなかった。
    たしかに一度は死と向き合い、その淵から這い上がれたとき、人生感は変わるのかもしれない。
    でも、それすらも誰かの手によって操られるなんて…
    理由はどうあれ、こんなことが許されていいのだろうか…
    人の命をもてあそんではいけないと思う。

    ただそれとは別に、治療方法や新薬の研究、治験への取り組み、がん保険のしくみ、
    専門的なことが丁寧に解説されていて勉強になりました。
    「このミス」大賞受賞作ということですが、
    単に娯楽ミステリーと割り切って読むことができたら、
    感想はまた違ったかもしれません。

  • 岩木一麻『がん消滅の罠 完全寛解の謎』宝島社文庫。

    医療ミステリー風トリック・サスペンス小説と言ったところだろうか。

    このミス大賞受賞作だけに完成度は高いが、罠と謎の真相に拍子抜けした感がある。また、謎の真相を追究する登場人物の言動に軽さがある割りには、謎の黒幕側が抱える背景がやたら重かったりとアンバランスさも感じてしまう。

    それでも、この作家がこの先どのような作品を描くのか興味深いところ。

  • 今もがん研究に関わっているので、いつかは読むべきと思っていた。築地のがんセンター・腫瘍内科医の夏目が主人公。転移性のがんが消えるという立て続けに4例経験。いずれも湾岸医療センターからの転院患者、このセンターでは患者の初期のがん細胞を培養し、切除後に再度体内に戻し、そのがん細胞を抗がん剤で叩くというあり得ない真相。内容は保険金詐欺、犯人の娘の死への復讐が入り乱れる。現在もがん研究に関わっていますが、患者さんの苦悩は痛いほどわかる。臨床家・研究者はデータに謙虚(即ち、EBM)であるべきだと思います。

  • このミス大賞ということで、期待して読んだ。
    登場人物もそう多くなく、会話主体で物語が進むので、読みやすく、半日で読み終わった。
    三分の1くらい読み進めたところで犯人というか黒幕が誰なのかはわかってしまうのだが、私は、どういうトリックを使ったのかよりも、なぜこの人がこんなことをしでかしたのかという興味でどんどんページをめくっていた。
    最後の1行まで期待を裏切らない内容だったと思う。

    後ろに「このミス」の選評が載っていて、登場人物に華がないとか、展開が地味だとか書いてある。たしかに華はないかもしれないけど、リアルにいそうな人物で、現実味がある。

    ただ、作者は女性蔑視の傾向があるように思う。
    現実世界の医者は男性が多いのでしょうがないのかもしれないが、登場する医者の多くが男性(女性は一人だけ)。
    保険会社の人も男性が上司で女性が部下だし、貧困患者の代表は女性で、富裕層の患者はみな男性。
    そして何より気になったのは、「がん細胞の培養に必要とされるのは、専門的知識よりも集中力や生真面目さだ。」と書き、「多くの女性は男性よりもこういった業務(がん細胞の培養)に向いているというのがこれまでの経験で到達した結論だった」と(唯一登場する)女性医師の心の言葉として書いている。
    この部分はストーリーに何も関係ないのになぜこんなことを書くのでしょう。それも、反発が少なくて済むように女性医師の意見として書くという用意周到さ。

    ストーリーが面白かったのに、残念です。
    星の数1個減らします。

  • いくつもの謎解きが読むペースを早め、要所要所でなるほど!とスッキリさせてくれて、構成が素晴らしいと感じた。自分の職業に近いこともあり、興味を掻き立てられた。それにしても、最後の最後は驚きの展開が待っていて本の面白さを実感した。

  • 直前に読んだ『悪医』と同じく、がんをテーマにした医療小説。
    小説とはいえ、がんが消滅するとはどういうことかと興味津々。今話題の『このミス』大賞受賞作ということもあり期待したが、やたら専門用語が多く(一部説明はあるものの)、読みづらかったのが偽らざるところである。
    医療の専門家が書くゆえ、それは仕方のないことか。
    ひたすら、筋を追うことに大半の労力を使ってしまった。
    しかし、最後の一行には、ヤラレタ!と絶句。やはり、医療ミステリーだった。
    書中、主人公たちの会話で、「ねえ、結局、がんというものは何ものなの?」という問いに、「多細胞生物の定め」だという説明には、なるほどと納得。

  • 「このミス」大賞受賞作。余命宣告を受けたがん患者がその後、リビングニーズ特約で大金を受け取ったのにもかかわらず、がんが消えてなくなるという謎に、余命宣告をした医師・夏目と友人の保険会社社員・森川、そして同僚の羽島と共に立ち向かっていく。医療系ならではの難解な言葉は多いものの、登場人物が個人的に仲が良いので、会話自体に堅苦しさがなく、医療系ミステリーの割には読みやすかった。ただ、やはり謎の本質自体は、本当にそんなことが出来るのかどうか、素人では判断出来かねるので、「ふーん」って感じ。

  • 最近になって、「鈴木保奈美のあの本読みました?」というTV番組を知りました。その放送の中で、宝島社が主催している「このミステリーがすごい」大賞を受賞し、印象に残っている作品ということで、審査員の大森望さんと鈴木さん両名が印象深かったと言われた作品です。
    私もミステリーは好きで、大賞に選ばれた作品は読んでいるつもりでしたが、この作品は未読でした。
    2017年1月に初版本が発売されており、図書館の蔵書にありました。

    余命宣告を受けた患者がその後生き延び、癌も消え去るという「活人事件」という設定がミステリーでしばしば見受ける死というものと相反しており、驚きます。そして著者が癌の研究者であったこと(今は出版社に勤務されているようです)をフル活用しているなと感じる作品でした。

    審査員のあとがきに書かれていますが、話題になったとされる専門的な説明と会話に傾きがちなところは、確かに読み進める上で苦労しましたが、謎解きを目指す読者としては、なんとか読み終えました。

    キーワードは、夏目医師の恩師が語った

    医師にはできず、医師でなければできず、そしてどんな医師にも成し遂げられなかったこと 本文184頁

    著者の作品は、私がスルーしてしまうぐらいだし、その後の活躍はどうしても癌に偏っているようなので、なかなか手に取ることはないのかなと残念な気もします。最近は医学者のミステリー作品も多いので、今後ちがった角度での作品作りに期待したいです。

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著者プロフィール

1976年、埼玉県生まれ。神戸大学大学院自然科学研究科修了。国立がん研究センター、放射線医学総合研究所で研究に従事。現在、医療系出版社に勤務。第15回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2017年に『がん消滅の罠 完全寛解の謎』でデビュー。他の著書に『時限感染』(以上、宝島社)、『テウトの創薬』(KADOKAWA)がある。

「2022年 『がん消滅の罠 暗殺腫瘍の謎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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