【2017年・第15回『このミステリーがすごい!大賞』優秀賞受賞作】 縁見屋の娘 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
3.25
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感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800267443

作品紹介・あらすじ

「縁見屋の娘は祟りつき。男児を産まず二十六歳で死ぬ」-江戸時代、京で口入業を営む「縁見屋」の一人娘のお輪は、母、祖母、曾祖母がみな二十六歳で亡くなったという「悪縁」を知り、自らの行く末を案じる。謎めく修行者・帰燕は、秘術を用いて悪縁を祓えるというが…。縁見屋の歴史と四代にわたる呪縛、そして帰燕の正体。息を呑む真実がすべてを繋ぎ、やがて京全土を巻き込んでいく。

感想・レビュー・書評

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  • 予言の夢を見たり、天狗が出てきたり、幽体離脱があったりと、ファンタジーの要素も強い。というか、江戸時代の人なら、こういうことは信じていたかもしれない。4代にわたって娘しか生まれず、みな26歳で死んでしまうという縁見屋。4代目のお輪は、謎のの修行者帰燕とともにその呪縛に立ち向かおうとする。お輪がいろいろ思い悩む姿が描かれていて、その気持ちには共感できた。江戸時代に、京都は二度の大火に見舞われたわけだ。

  • 「縁見屋の娘は祟りつき。男児を産まず二十六歳で死ぬ」
    人情小説かなあと思ったら、天狗や修行僧まで、かかわってくる。
    京で口入業を営む「縁見屋」の一人娘のお輪。母、祖母、曾祖母がみな二十六歳で亡くなる。縁見屋の歴史とかかわる呪縛はすべて人の思いから重なったもの。
    お輪の父は「過ぎたことは気にするんやない。終わったことは二度とは起きん。ええことも悪いことも。せやさかい、今を大事にせなあかん。今を大事にして、きちんと生きておったら、悪いことなんぞ起きんさかい。」を口癖にする。
    妻を失い、娘まで失う不安を恐れ、いろんなところへ信心を行う父。能天気なまでの朗らかさも、暗い運命を吹き飛ばそうとする気遣いの姿勢が主人公の強さにつながっています。主人公が「母と子」の思いを知り、自らの祖先の罪を知り、自分の恋心を愛へ帰し、運命を切り開いていく。人助けまでは役行の内、大勢の人の運命を変えてしまうとそれは『過戒』となり、鬼霊まで消え、自らの存在も消える。そうと知りつつも、行者帰燕は、輪のため、京都の大火から人々を助ける指針を示す。だからこそ、帰ってこれたんだと。最後は主人公が選んだ道もよかったと思えました。途中武家のお家騒動の話や嫁姑の問題も出てきますが、それも解決してます。主人公が「縁見屋」を続けてくれることで、大火からの復興とこれからも人と人との絆を結んでいくんだと感じ、読後、ほっとしました。続編もあるよなので読んでみようと思います。

  • 『「縁見屋」の娘は男児を産めず、二十六歳で死ぬ』
    縁見屋の一人娘・お輪は、母・祖母・曾祖母と三代にわたってそうだったように、自分もまた同じ祟りを受け、二十六歳で死んでしまうのかもしれないと密かに思い悩んでいた。
    そんなある日、天狗伝説のある愛宕山で修行をつんできたという美貌の行者・帰燕が縁見屋を訪れ、お輪の先祖の建てた火伏堂の堂守を務めてくれることになった。
    帰燕は、縁見屋の娘たちにまつわる呪縛を、お輪を最後に断ち切ることができるというのだが…


    三好昌子さん、初読。
    「このミス」入賞のデビュー作ということで手に取った。
    文章もさらさらと、面白く読んだ。
    天狗伝説、因果応報、夢のお告げ、叶わぬ恋、超自然現象…アイディアのすべてを書きたいと思って詰め込んだんだろうな、という感じも、デビュー作だからと大目にみてもいい。

    けれど、読み終わってみてしっくりこなかったのは、お輪の恋心だった。

    お輪の中の千賀が目覚め、帰燕の中の我が子・清太郎を求めたのだとするなら、お輪が帰燕に寄せる思いは“母の情愛”にとどめて欲しかった気がする。
    はじめ、あまりにあっさり2人が接近するので、コレは過去に天狗が縁見屋の娘を見染めたのに裏切られた祟りか?それでまた燃え上がってるのか?と思ってしまった。

    そして、十八の娘の魂が夜毎抜け出すほどの恋情が叶わず、泣く泣く帰燕をあきらめたはずなのに…
    十一月の終わりに徳次と祝言を挙げて、十二月には“閨の営みにも慣れ“…って。
    あっさり。そんなもん?うーん。

  • 綺麗にまとまってはいるが、帰燕との関係がなんとも。男女の縁でないというけども、どう考えても男女の縁だし、それでこのラストはなんとも複雑な気分になる。
    あと京都弁がなんだか不自然な気がする。

  • あまり時代物は読まないのですが、これはとても読みやすかったです。
    なんだろう?久しぶりに乙女のようなドキドキ感を味わいました(笑)これってそんな作品?一応ミステリーですよね?

    叶わぬ恋っていうのは切ないながらも、女子は好きですよね。
    その辺が明暗を分けるのかな~

    この作家さんのは次回作も読んでみたい。

  • 仕事の都合で、ときどき「プチ出張:に行く。
    行った際、時間があれば「土地勘をつける」ために、
    できるだけ職場の周辺を歩き回るようにしている。

    その結果、プチ出張先それぞれに
    「お気に入りの本屋」ができてくる(^ ^

    で、この本は、そんな「プチ出張先」であった
    船橋の書店にて購入。

    この船橋の本屋さんは、店員さんの「お勧め」力が
    ハンパなくぐいぐいと押してくる(^ ^;
    本作もそんな「お勧め」に押し切られて(^ ^;
    購入したのですが...いや、当たりでした(^o^

    時代は江戸時代、舞台は京の口入れ屋。
    「祟り」のせいで、この口入れ屋には
    嫡男が生まれず、娘も26歳で死ぬ...と言う話で。

    その口入れ屋の娘「お輪」と、
    偶然現れた「愛宕山の修験者」を中心に、
    時代を遡り、様々な人を巻き込み、
    縦にも横にもストーリーは広がって行く。

    その壮大な舞台設定と、呪いだの祟りだの
    幽体離脱だのというファンタジーも交えつつ、
    すべてに破綻無くまとめ上げる作者の筆力は半端ない。

    さらに登場人物一人一人のキャラも魅力的。
    描写が「ややくどいかな」と思われるふしはあるが、
    それぞれのキャラにおいて無理は無い心象描写。

    男と女の情や、親子、とくに母と子の絆を軸に、
    真実と「人々の口に上る噂や思い込み」とのギャップを
    緯糸にしながら、壮大な物語を描き出す。

    いや〜...面白かったっす(^ ^
    時代物を読みつけてない人とか、
    京言葉が苦手な人にはややハードル高いか?

    最後の最後は、もうちょっと「タメ」があっても....
    という気がしなくもなかったですが....
    「分かりやすいハッピーエンド」という観点からは
    充分アリなのかな、とも思いました(^ ^

  • なんだろ。お輪にいらっとする。
    帰燕とは男女のそれじゃないと、いうもののお輪の気持ちはまさにそうではないのか。

  • 「このミステリーがすごい」優秀賞受賞作品という触れ込みで手に取った限りは、それなりの作品であることを期待してしまうのは仕方のないことだと思う。

    本作については、入り口の軽さがそのまますーっと奥へ入っていき、中庭を過ぎていつの間にやら裏口から出て終わってしまったような気がした。
    全編を通して30分で完結するドラマを観ているような、簡潔さ。
    このミス ライトノベル部門というのがあるとすれば、おそらくふさわしいものと思われる。
    少年ドラマシリーズで観られれば、もっと面白かったかもしれない。

  • 面白かったんだけど、このミスらしくないというか。
    そもそもミステリーというよりは、ファンタジーのような……。

  • 2023/6/4読了。
    江戸時代を舞台にした伝奇ファンタジー人情物語。
    時代考証は詳しくできないが、京の町や生活の描写には違和感がなく、その点は良かった。
    反対に、人物の心理描写や言動に違和感があり、物語への没入の妨げになった。
    このミス優秀賞かつ歴史物ということで購読したが、期待したジャンルではなかった。
    ストーリーとしても特に心を揺さぶられる程のことはなく、キャラクタに関しても特段強いものではない。
    おしなべて俺にはあまり合わない作品だった。

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著者プロフィール

作家

「2020年 『鬼呼の庭 お紗代夢幻草紙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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