ストレンジ・シチュエーション 行動心理捜査官・楯岡絵麻 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800269256

感想・レビュー・書評

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  • 題名のストレンジ・シチュエーションって、直訳すれば変わった状況だろうか。心理学用語だと、愛着理論として有名だが・・・この題名が作品にどう関わるのか楽しもうと、本書を手に取った。

    予言の自己実現性はまた古い論文からの引用だと感じた。ピグマリオン効果もそのひとつだったと記憶している。作品は4章で章ごとに歪んだ愛が描かれている。最初の事件が、織り込まれているものの、短編に近いと感じる。

    綿貫の同期を思う気持ちもストレンジシチュエーションだ。最終章に向けて盛り上がってくる、ハズだ。絶対。きっと。たぶん・・・
    新橋の居酒屋でスッキリビールをあおるというより、哀愁を払拭するために飲みたい気分になった。

  • 自供率100%の取調官、〈エンマ様〉こと楯岡絵麻のシリーズ第5作。

    キャバ嬢にころりとだまされる。
    悪気のない筒井に、盛大なネタバレをかまされる。
    絵麻を援護射撃するどころか、逆にグサッとくることを言う。

    西野のコミカルな小ネタに笑う。

    西野が、マイクロジェスチャーをつかった推理風なことをやってみせたり。
    強い推しがいて、絵麻のいつもの女性的魅力があまり通用しなかったり。

    いつものパターンから飛び出しているのも、面白かった。

  • 久しぶりの楯岡絵麻シリーズ。
    警察官の自殺から始まった、様々な事件を追う事に解明されていく謎。
    最初の事件をエピローグ以外はあまり関連性はなかったけど。
    他の事件も短編として楽しむことが出来ました。
    最後は哀しい結末でした。

  • シリーズ第5弾。
    今作では絵麻の同僚の綿貫の同期が殺人事件に加担し、署内で拳銃自殺を図った事件を根底に、事件を繋ぐ連作短編集。
    ここ何作かよりは地味な印象はあるが、初心に返り、大脳辺縁系に訴える絵麻の取り調べ手法が復活。
    綿貫の同期の自殺の根拠が弱い分、いつもより面白さは半減してしまっているが、最近発売された新作に期待。

  • ようやく読めていなかった1冊が読めました。1話目の事件を少しずつ解き明かして、最後の推理までキレイにまとまっていました。

  • 宮出の拳銃自殺から全て始まる。
    倉林が殺ったって証明したけど
    それだけじゃ終わらんのやな。

    第2話の管理人 哀れな人
    第3話 アイドルグループの闇 みんな無茶苦茶やな。

    第4話
    男尊女卑がすぎる家族。母親も受け入れてるし。
    息子もおかしくなるわ。親が悪い。

    毅人が狂わんかったんだけが救い。
    色々事情もあるわけやしすぐ釈放して
    妹と一緒に暮らして欲しい。
    それにしても何人の犠牲があるんやろう。
    宮出も倉林をそそのかして殺させたことが分かって
    結局罪が重くなったし。

  • 安定感ある楯岡絵麻シリーズ5作目。天敵コンビ筒井・綿貫の良い味もジワジワ出てきて、上手くシリーズをコントロールしている。

  • 短編4篇。
    第一話からいきなり衝撃がおそいかかる。
    警察官の拳銃自殺。
    なぜ彼は死ななければならなかったのか。
    この物語は本書中を通して、暗い影をおとし、一方で真実に迫るための鍵となる。
    なお、拳銃自殺は、単なる自殺にあらず、被疑者死亡の銃刀法違反となる。
    …まあ、それよりも、もっと重い「罪」がのしかかるのだが、それは本作とは関係がない。

    重い話の清涼剤が西野。
    相変わらず簡単にキャバ嬢の手練手管に引っかかり、「キモ」(気持ち悪い)と言われている。
    そして、エンマ様の恋愛指南。
    単純接触効果、ゲイン効果、ウィンザー効果…性的魅力は相対評価にすぎないし、恋愛感情は錯覚の積み重ね(229~230)だそうだ。なるほど…

    本題に戻ると、本作で影を落とし続ける宮出(死亡した警官)だが、彼の行動を顧みれば省みるほど、本作で登場する愛というものについて深く考察せざるを得ない。
    そして、親の姿が子供の手本になる、というのも怖い。
    わたしなんかが親で、子供たちはちゃんと育つのか、そんな気にもさせられた。
    でも、きっとそうやって立ち止まって、振り返って、地を這って、子供を育てるのならば、その姿を見て育った子供たちは、必ず何かを感じ取ってくれるはずだ。
    いや、そうあって欲しいものだけれど、所詮は親子であっても他人。
    できることは限られているし、子供たちの人生は子供たち自身のもの。
    だからこそ、親は、大人は、正しく生きようとする姿を見せ続けなければいけないのだ。

  • 居直り強盗に加担していた警察関係者の自殺に端を発した事件を軸にした短編集。この軸が前面に出てくるのかとおもたら、1小節目だけで、後は綿貫や絵麻達がちょっとだけ関係者に接触しているだけ。もうちょっと、真相にたどり着く過程を描いてもよかったんじゃないかな。

  • 今回は新要素がなく心理学も薄く、シリーズならではの個性より事件もの的に拡散した風で求心力があまり感じられなかった。ストーカー、マネージャー、メンバーと巻き込んだアイドルの若い命が惜しい。もじった名付けは遊び心?仲の良い兄妹の結末も切ない。ぽんぽん掛け合う絵麻と西野は安定した魅力。仲良いなあ。可愛い。

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著者プロフィール

佐藤青南
一九七五年長崎県生まれ。「ある少女にまつわる殺人の告白」で第九回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、二〇一一年同作でデビュー。一六年に『白バイガール』で第二回神奈川本大賞を受賞。ドラマ化された「行動心理捜査官・楯岡絵麻」シリーズ、「白バイガール」シリーズ、絶対音感刑事・鳴海桜子が活躍する『連弾』『人格者』『残奏』など、著作多数。近著に『犬を盗む』『ホワイ・ダニット 行動心理捜査官・楯岡絵麻』『ストラングラー 死刑囚の逆転』がある。

「2023年 『残奏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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