作品紹介・あらすじ
誕生から140年余、農牧場を囲うために生まれた鉄条網は、敵と味方、支配と従属、富者と貧者を分離する冷徹・無比なテクノロジーとなった。変哲もないトゲ付き鉄線が辿った「外敵排除」の近現代史。
感想・レビュー・書評
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タイトルどおり鉄条網の歴史を記述する本
興味深く読めた。
動物が庭に入らないよう発明された鉄条網は、安価でローテクなので急速に普及し、用途も広がった。人を分断し、疎外し、閉じ込める用途に・・・という感じで、第一次大戦の塹壕戦、強制収容所、先住民居留地etcと読み進めるうちに、最終章は、(結果として)鉄条網が守り、甦らせた自然の話になる。
その結果、読み終えた時点では結構明るい気分になったが・・・それがいいのか悪いのか???
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自由を拘束するローテク
外敵排除
敵と味方
支配と従属
富者と貧者
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人と動物を、貧富を、人種を分けた。著者曰く、140年も現役をつづける超ローテクの鉄条網は、人の「欲望」がつづくかぎり第一線を退かない。Wire fences won't retire from active duty as long as our desire exists.
著者プロフィール
1940年東京都生まれ。東京大学卒業後、朝日新聞入社。ニューヨーク特派員、編集委員などを経て退社。国連環境計画上級顧問。96年より東京大学大学院教授、ザンビア特命全権大使、北海道大学大学院教授、東京農業大学教授を歴任。この間、国際協力事業団参与、東中欧環境センター理事などを兼務。国連ボーマ賞、国連グローバル500賞、毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。主な著書に『感染症の世界史』『鉄条網の世界史』(角川ソフィア文庫)、『環境再興史』(角川新書)、『地球環境報告』(岩波新書)など多数。
「2022年 『噴火と寒冷化の災害史 「火山の冬」がやってくる』 で使われていた紹介文から引用しています。」
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