時代劇の「嘘」と「演出」 (歴史新書)

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著者 : 安田清人
  • 洋泉社 (2017年8月3日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800313072

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時代劇の「嘘」と「演出」 (歴史新書)の感想・レビュー・書評

  • 時代考証という「視点」から時代劇を眺め、時代劇とは何か、なぜ日本人は時代劇を愛してきたのか、これからも時代劇は続くのかという問いかけにこたえるヒントを探る。『週刊ポスト』連載を加筆修正し書籍化
     * * *
     約40年間続いた〈水戸黄門〉が終了してから早2年。時代劇退潮のなか、歴史を描くTVドラマとして孤塁を守るのがNHK大河ドラマだ。昭和38年に第一作〈花の生涯〉が放送開始。現在、放送中の〈八重の桜〉が52作目となる「国民的ドラマ」の名に相応しい番組だ。

     その大河ドラマだが、近年、「時代考証」が話題に上ることが少なくない。史実との違いやリアリティの欠如を指摘し、時代考証がなっていないのではないか、との批判がメディアで語られるのをしばしば目にする。時代考証は本当にダメになってしまったのだろうか。

     そもそも時代考証とはなにか。大河ドラマで初めてスタッフ・クレジットに〈時代考証〉が記されるようになったのは第5作目の『三姉妹』(昭和42年)。その後、時代考証、あるいは監修として、歴史学者や時代考証家と呼ばれる人たちの名前が記されるようになり、近年は風俗考証、建築考証、衣装考証といった個別の「考証」も登場。時代考証の細分化が進んでいる。

     時代考証の仕事は大雑把にまとめると、次のようになる。まずシナリオのチェック。歴史上の出来事や実在の人物の行動や考えなどが事実に反していないかどうかを洗い出し、さらにはセリフや所作、あるいはナレーションにいたるまで、時代にそぐわない表現があれば訂正する。

     そして撮影に入ってから現場からあがってくる疑問や質問に答えるのも、「考証」の仕事となる。大河ドラマにおける時代考証とは、歴史を映像表現として描くための「お墨付き」を与える作業と言えるだろう。

    ※週刊ポスト2013年4月26日号

  • 日本において時代劇や歴史小説は人気のジャンルで、日本人の歴史好きの最大要因と思う。考証の正確さと物語の面白さは全く別物だが、ある時代を扱う以上それに準ずる制約が掛かるのは当然で、考証というフィルタリングが、エンタメとしての歴史モノの質を担保したのは間違いないだろう。すなわち考証家が時代劇や歴史小説家を育てた側面がある。昭和期に比べ、国民的に人気の歴史小説や時代劇はめっきり少なくなったが、素人ですら誤りをネットですぐ調べられる現代こそ、逆に精密な考証をものともしない作品が求められているのかもしれない。そこで興味を持った人達が歴史を勉強し、やがて歴史エンタメに一家言もつほどに育てば、両輪は上手い具合に回っているという事なんだろう。

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時代劇の「嘘」と「演出」 (歴史新書)の作品紹介

時代劇狂の歴史編集者が綴る、偏愛的時代劇論!時代劇をみて、「時代考証がなってない」という批判はもちろん無意味ではない。しかし、史実を押さえて時代考証をしっかりやれば、面白い作品ができるかと言えば、そんなことはない。真実を追究する歴史学は犯すことのできない固有の価値を持つし、歴史を扱うフィクションにも、エンターテインメントを追求する絶対の自由がある。ならば、その両者が交差する地点にこそ、時代劇の理想の姿があるのではないか。本書は、時代考証という「視点」から時代劇を眺め時代劇とは何か、なぜ日本人は時代劇を愛してきたのか、これからも時代劇は続くのか、そんな問いかけにこたえるヒントを探る。

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