バロック協奏曲 (フィクションのエル・ドラード)

  • 水声社
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  • Amazon.co.jp ・本 (155ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784801002647

感想・レビュー・書評

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  • バロック協奏曲
    一昨日夜くらいからカルペンティエールの「バロック協奏曲」を読み始め。今のところ、メキシコの鉱山主である旅人が、キューバで黒人の楽士?雇ってヨーロッパへ向かったところ。マラカスとか使う音楽にスペイン語は似合わないとか、マドリッドはメキシコに比べ何もないとか、今から見ると意外な記述もちらほら。

    バロックミーツジャズ
    「バロック協奏曲」ですが、ヴェネツィアで作曲家トリオに会ってから華やかさ急展開。たぶんカルペンティエール作品中一番陽気な作品ではなかろうか。ヴィヴァルディ指揮ピエタ修道女楽団のバックのもと、ヘンデルのオルガン、スカルラッティのチェンバロによる即興が始まる。と、メキシコ鉱山主の従者の黒人が棒など叩き始めジャズのリズムを加える。スカルラッティが「こいつはリズムを押し付けてくる」と叫ぶと、従者は「これはジャム・セッションというものだ」とやり返す。朝になり墓場の近くで朝食?その墓場にはストラヴィンスキーのものがあり、ヘンデルがヴィヴァルディに「この男はヴィヴァルディは400もの同じようなコンチェルトを書いた、と言っていた」とからかえば、ヴィヴァルディは「俺たちは昔の音楽なんて顧みなかったから一番モダンなんだよ」と言う。そういう点ではジャズと共通するのか。とそこに「ドイツ人作曲家」の柩が流れてくる。これはワーグナーなのか。
    確かにストラヴィンスキーもワーグナーもヴェネツィアで亡くなった…んだっけ?とにかくなんだか作品空間では、時間が逆に流れているような…
    この作品、かなり楽しいけど、80ページくらいでもう半分過ぎた…
    (2017 09/07)

    モーリが鐘を鳴らす時…
    「バロック協奏曲」をさっき読み終えた。
    物を間近に見るためには、その物から遠ざかることが、海を隔てることが、時には必要らしい。
    (p111)
    これは一貫してカルペンティエールのテーマとなったもの。「光の世紀」などもそうだけど。
    作品中で取り上げられているヴィヴァルディのオペラ「モテズーマ」はドイツグラモフォンから出ていて、この間ナクソスで試聴してみた。 ヴィヴァルディらしい颯爽とした作品。
    モーリ(黒人)が鐘を鳴らすと一日が終わり、作品中の時間の混線状況が加速してゆく…
    そういえば、コルテスのアステカ征服とバロック時代のその評価という読みどころはほとんど踏み込めなかったなあ、自分は。
    (2017 09/08)

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著者プロフィール

アレホ・カルペンティエール(Alejo Carpentier)
一九〇四年、スイスのローザンヌに生まれ、八〇年、パリに没した。小説家。主にハバナで教育を受け、一九二四年から文化雑誌『カルテレス』に寄稿し、政治運動にも参加、マチャード独裁政権下、二七年に投獄される。二八年、フランスに亡命。五九年のキューバ革命後ベネズエラからハバナに戻り、文化活動に協力、晩年は外交官としてパリで暮らした。主な著書に『光の世紀』(一九九〇)、『この世の王国』(一九九二)、『追跡』(一九九三)、『方法異説』(二〇一六)、『バロック協奏曲』(二〇一七)、『時との戦い』(二〇二〇、いずれも水声社)などがある。一九七七年、ラテンアメリカ作家としてはじめてセルバンテス賞受賞。

「2021年 『エクエ・ヤンバ・オー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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