ワケありな名画

著者 :
  • 彩図社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784801300569

感想・レビュー・書評

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  • 『怖い絵』と比べてしまうと、こちらに軍配は挙げられない。
    というのも、私は絵画を語る本において、カラー図版を本当に楽しみにしているからだ。
    本書は残念ながら全てモノクロ。
    表紙の「オフィーリア」だけが唯一のカラー。
    ネットで調べれば、図書館に行けば、カラー図版なんてゴロゴロあるだろう。
    美術館に行けば本物にだって出会えるだろう。
    でも......そこまでの手間をかけずに、解説と絵画を同時に楽しみたくて本を手に取るんじゃないか、と言いたい。

    さて、内容に移ろう。
    「明日の神話」の類い稀なる遍歴に様々なことを思う。
    本作を語る中で、アート集団Chim↑Pomが登場する。
    個人的には彼らのアートを私は好まないしが、岡本太郎の志は姿を変え、世代を超えて受け継がれていくのだろうと思えた。

    「ホロフェルネスの首を斬るユディット」は男性への復讐だと著者は述べる。
    それほどまでの情念が込められている、と。
    そうだろうか。
    体力的にも、地位的にも、男性より下位に見られ、そう扱われてきた恨みは首を斬るぐらいではすまないと思うが。
    著者はこの絵画を見て、「男ならぞっとするだろう」というが、女なら、すっとするかも。

  • 読書録「ワケありな名画」3

    著者 沢辺有司
    出版 彩図社

    p23より引用
    “ 絵に描かれた彼女たちの表情はどこか充
    足感に満ちている。これを見ているかぎり、
    画家とのあいだに何もなかったとはいえない
    のである。彼女たちは、はじめに画家の性的
    な対象となり、それから表現の対象となった
    のではないか。”
    p51より引用
    “ シーレのモデルをしたある女性はこう述
    べている。
    「彼のためにポーズをとるのは、ぜんぜん気
    持ちよくない。彼はものを見るようにしかモ
    デルを見ないから」”

    目次より抜粋引用
    “事件になった名画
     恐怖に彩られた名画
     捏造された名画
     謎に包まれた名画”

     フリーライターである著者による、名画と
    その周囲の出来事について記された一冊。同
    社刊行作再編集文庫版。
     モナ・リザの盗難から建物の都合による絵
    画の切断まで、名画にまつわる如何わしくて
    胡散臭い逸話が記されています。

     上記の引用は、同じようにヌードを絵にし
    たためた、モディリアーニとシーレについて
    の文章。
    芸術家といいうのは個性が強い印象ですが、
    モデルに対する接し方一つも、こうも違うも
    のなのですね。
     何度も何度も盗まれたり、生前あまり売れ
    ていないことに付け込んで贋作を数多く作ら
    れたりと、芸術の周辺には魑魅魍魎が蠢いて
    いるようです。自分のお金を使うときは、そ
    の物に本当に値打ちがあるかどうか、よく考
    えてから使いたいものですね。

    ーーーーー

  • 予想外にかっちりした本
    デューラーの自画像、板絵を剥がして2枚にした話なんて初めて知った
    キリコの自作否定の話は知っていたものの、
    同時に有名作を再度描いて売っていたとかも知らなかった
    女占い師たちの補修時のむちやくちや
    切断されたショパンとサンドの絵画
    滝川太郎の贋作問題

  • おそらく「怖い絵」の後発本。もったいないのが、印刷がモノクロオンリー! 絵によっては印刷で潰れてしまって何が描いてあるのかまるでわからない。なので、絵画の画像をいちいちネットで調べて読んだ。エピソード自体は面白いので本当にもったいないと思う。あと、「怖い絵」は予算あったんだなぁと。

  • 名画の裏には 考えさせられるドラマがあるっという感じの本でした。
    ワケありと書いてあるので、心霊とかの話がでてくるのか‼︎と構えなくても大丈夫です。

    内容的にはその当時のタブーだった表現や自分自信も美術をやっているので分かりますが、こだわりすぎて常識からはずれた行動などが集まった内容です。

    ふとみたあの有名な絵画の裏には作者の葛藤 悲しみ 苦悩 それを知るには良い本でした。

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著者プロフィール

フリーライター。横浜国立大学教育学部総合芸術学科卒業。
在学中、アート・映画への哲学・思想的なアプローチを学ぶ。編集プロダクション勤務を経て渡仏。パリで思索に耽る一方、アート、旅、歴史、語学を中心に書籍、雑誌の執筆・編集に携わる。現在、東京都在住。
パリのカルチエ散歩マガジン『piéton(ぴえとん)』主宰。
著書に『図解 いちばんやさしい哲学の本』『図解 いちばんやさしい三大宗教の本』『図解 いちばんやさしい地政学の本』『図解 いちばんやさしい地経学の本』『図解 いちばんやさしい世界神話の本』『地政学から見る日本の領土』『ワケありな映画』『ワケありな名画』『封印された問題作品』『吉田松陰に学ぶ リーダーになる100のルール』『本当は怖い 仏教の話』『要点だけで超わかる日本史』『教養として知っておきたい33の哲学』(いずれも彩図社)、『はじめるフランス語』(学研プラス)、『地政学ボーイズ』(原案・監修/ヤングチャンピオン)などがある。

「2024年 『図解いちばんやさしい地政学の本 激動の世界最新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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