- Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
- / ISBN・EAN: 9784801917446
感想・レビュー・書評
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カリーヌ・ジエベル『無垢なる者たちの煉獄 上』竹書房文庫。
上巻は上々の滑り出し。なかなか面白い設定のサスペンス・ミステリー小説である。サイコパスでシリアルキラーのパトリックに比べたら強盗犯など生温い。
14年の刑期を終えたラファエルは弟ウィリアム、刑務所仲間のフレッド、クリステルと宝石強盗を決行。3千万ユーロものの宝石を手にしたが、警官隊との銃撃戦によりウィリアムが負傷し、夫の帰りを待つ獣医サンドラの古びた屋敷に逃げ込む。ところが、サンドラの夫パトリックの正体はシリアルキラーだった……
ラファエルの焦燥とシリアルキラーが獲物を狙う描写が交互に描かれ、ジリジリした展開が続く。強盗犯対シリアルキラー、果たして……
気が付けば、何故か悪人であるはずの強盗犯を応援している自分が居た。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
フランスのミステリー作品、初めて読みましたが面白かった。前半わりとモサモサしてるんだけど、パトリックという真打ちが登場してから、加速度をつけて悪夢さながらの頭脳戦が進んでいきます。悪人VS悪人の構図は平山夢明が好きな人にはフィットするかも。同様に、タランティーノが監督したらさぞ面白かろうと思ったのですが、エピローグまで読むとちょっとテイストが違うかな、どちらかというとデヴィッド・フィンチャーかなと感じました。こういう終わり方はフランスっぽいというか。これも一種のピカレスクロマンなんでしょうね。フランス国内で色々賞を取っている作家さんなので、是非他の作品も読んでみたいです。
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格調高いタイトルに惹かれました。さらさらとした文体で実に読みやすいです。悪vs邪悪の対決。最初悪人、と思ってた彼らが可愛く見えてきます。ラファエルの過去が繰り返し投影されるので、彼らが主役なんでしょう。ここから先挽回できるのか、下巻が楽しみです。