短歌で読む哲学史 (田畑ブックレット)

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著者 : 山口拓夢
  • 田畑書店 (2017年1月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784803803402

短歌で読む哲学史 (田畑ブックレット)の感想・レビュー・書評

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  • この男自分が無知と知っているその一点で他よりも賢い
     山口拓夢

     右は、古代ギリシャの哲学者、ソクラテスの「無知の知」を短歌形式にしたもの。日常語を用いた率直な要約で、難解そうな哲学にも親しみを感じられそうだ。

     札幌大特任教授で、西洋哲学・神話学研究者である作者の「短歌で読む哲学史」は、学生に薦めたい1冊。古代から現代までの哲学史を、短歌で要約しながら解説した著書で、136頁という手軽さも魅力だ。キャッチコピー的な短歌の活用ゆえだろう。

     短歌と哲学との親和性には、以前から気付いていたが、そのヒントは〈命令形〉にありそうだ。近現代の秀歌には、命令形や禁止形を使ったものが多く、短い詩型だからこそ「~せよ」「~するな」というメッセージが皮膚感覚で直に伝わる。心を射抜く言葉の力が、ぎゅっと凝縮されるのだ。

     本書でも、ニーチェはじめ何人もの学説が、命令形で要約されている。

     直接に感覚から来る快楽を受け入れてただ隠れて生きよ

     これは古代ギリシャのエピクロスの「快楽主義」についての作。ただの無節操な快楽追求ではなく、「無苦悩」を理想とする、やや消極的な発想のため、結句「隠れて生きよ」は過不足のない表現と思う。

     人間は充足せずに自らを未来に向けて投げ出してゆけ

     これは現代のサルトルの著書「存在と無」についての作。過去の自分に充足せず、「未来」の可能性にみずからを投げ出せ―なるほど、原著も久々に再読してみたい。(2017年12月3日掲載)

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短歌で読む哲学史 (田畑ブックレット)の作品紹介

短歌で哲学を詠む?その破天荒な試みがもたらした絶大な効果!…本書は高校生から読める「哲学史」を目指して書き下ろされた。古代ギリシアのタレスからアリストテレスまで、また中世神学、カント、ヘーゲルからドゥルーズ=ガタリまで、一気に読ませると同時に、学説の丁寧な解説により哲学の醍醐味を十分に味わうことができる。そして本書の最大の魅力は、短歌の抒情性と簡潔性が複雑な西欧哲学の本質に見事に迫り、そのエッセンスを掴んでいること。本書に触れた読者はおそらく、まるで哲学の大海原に漕ぎ出す船に乗ったかのような知的興奮と醍醐味を堪能するにちがいない。

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