- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784804611891
感想・レビュー・書評
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牛(本来の自己)を探し求める過程が、10段階にわたって描かれている「十牛図」。
第7からは、牛も消えたり、何もかも消えたり、かといって、再び、現実に戻ったりと、
認識の「頓悟禅」(質的飛躍)の段階を示している。
割合平易な言葉で書かれているので、分かりやすいといえば分かりやすいが、禅の本質が「教外別伝」「只管打座」であるので、限りなく深いといえば深い。
後半は、坐禅を組むことについて書かれていて、非常に参考になるのではないかと思う。
特に、グレーニング氏の「参禅記」は、「坐禅をして何か得られるものがあるのか、なにか良いことでもあるのか」という、我々が普通に思うようなことから、
「鐘のゴーンと一体になって見せよ」という考案に深く没頭する深さまで、描かれていて、私たちが、「禅とはこのようなものか」を文字の上で知る大きな参考となることであろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
図書館で借りた。
禅の道に入ろうとする人に対して与えられる
4つのテクストのうちの一つである十牛図の
内容を解説しながら禅についても述べている。
(4つをまとめて四部録といい、他は信心銘、証道歌、坐禅儀)
尋牛、見跡、見牛、得牛、牧牛、騎牛帰家、忘牛存人、人牛倶忘、
返本還源、入廛垂手
という10の段階で表されている。
得牛以降のどの段階でも、そこで良いと思うと天狗禅になる、と
戒めてあるのが印象的だった。
身につける技術のモデルとしてもいいものだと感じる。
他に著者の講演の「坐禅と参禅」、グレーニング夫人という方が
参禅したときの心境の記録である「参禅記」というものが入っている。
「参禅記」は禅の様子が分かって面白い。
オイゲンヘリデルの『日本の弓術』を読んでいる気分になった。 -
「十牛図」とは真の自己を追い求める思索の過程を、
牛を探す牧人の姿に映して十枚の図にまとめたものです。
禅を学ぶ人に対して最初に与えられる基本的なテキストの
一つだとか。
この本では十牛図の一枚一枚を丁寧に読み解いていきます。
描かれた図だけでなく、図に添えられた文(序と頌:じゅ)の
細かな表現にまで言及していました。
読んでいる内にちんぷんかんぷんになりますが、面白かったです。
「自己実現」と口で言うのはたやすくても、実際にはどれほどの
苦悩を伴うのかを垣間見た気がしました。
巻末に収録されているリース・グレーニング『参禅記』もためになります。 -
禅において悟りを牛に例え、或いは本来の自己の姿が牛に表されているとして、修行の道程を表現するために用いた説明図と説明されるが、本来の「十牛図」が何であるかとの議論もあろうかと思う。しかし、自分探しというテーマでそれこそ「禅」的に黙想することをお勧めしたい。ありのままの自分を受け入れているという感触を得た瞬間があればいい。