- Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
- / ISBN・EAN: 9784804801759
感想・レビュー・書評
-
(01)
20世紀ほど、たくさんの新作シナリオが創作された世紀(*02)はかつてなかったのではないだろうか。
シナリオ技術という同じテーマを先行して論じた書物もある。本書にも引かれているのは例えば、フランシス・マリオンの「シナリオ講話」であり、「長谷川伸小説戯曲作法」(横倉辰次編)、フライターク「戯曲の技術」、安田清夫「トオキィ・シナリオ構成論」などである。本書は映画とテレビにほぼ限ってシナリオを論じ、小説や戯曲との違いを述べ、映像ならではの時間省略やモンタージュ、小道具といった術にも言及している。
その上で、各技術を分解して、論を小分け(*03)にし、具体例を示しつつ、誤りの診断といった禁則を提示し、面白いシナリオを理論化しようと試みている。
(02)
大衆的なメディアが確立し、そのメディアが駆使する物語を効果的に駆動させるためには、より多くのシナリオの書き手が必要であった。シナリオを書くことは技術でもあり、同時代の欲望や感動、情緒や機微を共有さえしていれば機械的に繰り出せる側面もあることから、本書のような方法論も普及していったという事情もあるだろう。2013年においても27版が出版されているから、2020世紀のシナリオ技術の需要もまだまだ多いと言える。
(03)
シャレード、ストラグル、パンチ、モンタージュといった技術、伏線やサスペンス、アクションとリアクション、リトマス法やカセ(枷)、まぎれといった例えや用語も混え、ト書きとセリフの役割、人物たちの舞台(フレーム)への登場の方法、ドラマツルギーやストーリーテリングといった物語の基礎、あるいは風景やロケーションの効果などにも触れ、網羅的なシナリオ技術を企図している。詳細をみるコメント0件をすべて表示