夜の帳の中で: 吾妻ひでお作品集成 (LEGEND ARCHIVES COMICS)

著者 :
  • チクマ秀版社
3.81
  • (9)
  • (7)
  • (15)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 90
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784805004562

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 吾妻ひでお先生のちょいエロと画集と言ったところ。ホームレスの話はやっぱり面白い。ちょっと本気で描いた画集もいい。ユーカリ荘物語は続きが見たい。

  • 図書館ではY・Aのラベルが貼られていたので男子小中高生に読んでもらいたい。『定本ときめきアリス』で変な妄想を過剰に膨らませた後で『夜の帳の中で』でどっぷり落ち込むといいと思う。

  • 一気に読んではいけない気がして、毎日少しずつ読みました。
    エログロナンセンスとロリだけではない、『純文学』

  • 最近の吾妻ひでお先生は,『失踪日記』でたてつづけに大きな賞を受賞されました。おめでたいかぎりです。『失踪日記』をきっかけに,吾妻先生の作品が広く読まれることを願ってやみません。

    『夜の帳の中で』は,1980年から1984年にかけての,いわゆる「純文学」系の作品を集めたものです。わたしは,この時期の作品をとおして吾妻先生のファンになりました(「ふたりと5人」も連載時に読んでましたけど)。わたしがいちばん好きなのは,登場人物の頭髪の輪郭線のひとつ内側が白い時期の作品群です。詳しく言えば,それは1983年後半から1984年の作品ということになります。『失踪日記』で一度目として描かれている失踪の,直前の作品群です。

    この時期の吾妻先生の作品は,「不条理マンガ」とも呼ばれています。というのは,登場人物が陸上で呼吸しているのか水中で呼吸しているのか明確でなく,周囲の事物のどれまでが人間と心を通わせる存在であるか,どれまでが性交可能な存在であるか,さっぱり分からないからです。「不条理マンガ」とは,オチのないマンガをいうわけではありません。

    この作品集の作品はどれも素晴らしいのですが,わたしはつねづね1984年の「鎖」を吾妻先生の代表作のように言うクセがあります。そうお考えのかたがほかにいらっしゃってもかまわないんですが,それは「頭髪の輪郭線のひとつ内側が白い」かどうかというわたしの趣味を反映させた,偏った言いぶんです。その趣味を脇にやるならば,やはり「陽射し」や「海から来た機械」が吾妻先生のこの時期の方向性を決定した傑作であるとわたしは思います。「陽射し」や「海から来た機械」は1980年の作品であり,それらによって敷かれたいわゆる不条理路線が,やがて「鎖」から一度目の失踪につながっていきました。

    この時期,吾妻先生は月刊誌の短編マンガ家であり,わたしははたちになるかならないかでした。月刊という間隔は,新しい作品が発表されるたび,吾妻先生の作品に照らしてみて自分の人生がこれでいいのかどうかを考えるのにちょうどいい時間を与えてくれたと思います。いまのはたちの方々のことはよく分かりませんが,昔は,歌手がレコードを出したり小説家が本を出したりするたびに,新しい作品に照らして自分の人生の軌道を修正するはたちの人々がたくさんいたように思います。

  • ナンセンスギャグ漫画家の
    ナンセンスギャグ漫画じゃないやつ。

  • 評価の難しい作品。前半はロリでシュールな内容。後半になるにつれシュール色は強くなり、ややエログロな感じも目立つ。面白いとは思うが、さて1890円という値段は妥当だろうか。

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

漫画家。1950年、北海道生まれ。1970年代に『ふたりと5人』『やけくそ天使』などで人気作家に。その後、不条理漫画や自費出版の同人誌「シベール」でおたくの教祖的存在になるも、80年代末から失踪やアルコール依存症を繰り返す。その体験記『失踪日記』で、日本漫画家協会大賞、文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、手塚治虫文化賞マンガ大賞、日本SF大会星雲賞ノンフィクション部門を受賞、話題に。

「2015年 『文庫 逃亡日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吾妻ひでおの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
吾妻 ひでお
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×