パリのおばあさんの物語

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制作 : Susie Morgenstern  Serge Bloch  岸 惠子 
  • 千倉書房 (2008年10月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (37ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784805109137

パリのおばあさんの物語の感想・レビュー・書評

  •  じんわり心にしみる絵本。
     確実に進む老いに不自由を感じ、最愛の息子にはちょっぴり強がってみせながら、自由にしなやかに生きるパリのおばあさんの姿に、女優の岸惠子さんの訳がナレーションのように重なって聞こえてくる。著名人の訳ならではの特典映像みたいなものかな。
     人は誰しも歩んできただけの過去の道と、これから進む未来の道を持つ。その重みと軽やかにつきあっていける人生はすてきだ。いまの自分がいちばんいい自分と思わせてくれる、お気に入りの一冊になった。

  • とってもハンディな本なんだけど表紙の絵が雰囲気あってステキ。
    部屋に立てかけて飾っておきたくなる。
    そしてお話も小粋で洒落ている。おばあさんには第二次対戦時の
    苦しい体験もあるのだけど。けっして暗さが漂っていない。
    なによりおばあさんが可愛らしくて、チャーミングで、私もトシ
    をとることがコワくない気にさせられる。
    また読もう。

  • 女優の岸惠子さんが初めて翻訳した、フランスで子どもから大人まで読みつがれている絵本。
    ユダヤ人のおばあさんは辛いナチスの時代を知恵と我慢で生き抜いてきました。
    子どもはいるけれど、おじいさんに先立たれてからはひとり暮らしです。
    体のあちこちが悪くなって、できないことが多いのに、愚痴もいいません。「やりたいこと全部ができないのなら、できることだけでもやっていくことだわ」と前向きです。
    物忘れがひどくて一日中さがしものをしていても、とても楽天的、
    今日うまくいかなくても、明日になればきっとよくなると考えます。
    ユーモアがあって、おちゃめなおばあさん、自分の人生をしっかり見つめて生きていて、すてきです。

  • 人に勧められて手に取りました。絵は優しく本の作りと合っています。おばあさんの人生を語りつつ訴えてくる内容は十分に濃く重い。

    戦争が変えてしまったいろいろのこと。
    おばあさんはひたすら自分の目の前の道を邁進してきました。
    「わたしの分の若さはもうもらったの。今は年を取るのがわたしの番」
    「もういちど、同じ道をたどってどうするの?だってわたしに用意された道は、今通ってきたこの道ひとつなのよ」
    若いころに戻ってみたくないかと聞かれておばあさんはそう答えます。
    人は若いころに戻ってみたいだけでなく、時には昔へ帰りたいとかやり直してみたいと思うものですが、おばあさんは潔く今の自分を受け入れています。
    そういう風に自分も来し方行く末を思うことができたなら…と思わずにはいられません。

    岸恵子さんの訳がとてもいいと思います。手に取りやすいサイズ感、表紙からは思いがけない内容の濃さ、結構な年月を過ごした大人にこそお薦めしたい絵本ですね。

  • 原作はスージー・モルゲンステルヌとセルジュ・ブロック。
    訳者は「この広い世界には,いろいろな人が生き,日本にいては考えられない暮らし方をしているのよと、しみじみ知って欲しいと思うのです」とあとがきに書いている。
     
     パリの小さなアパルトマンに住む、ひとり暮らしの年とった女性の日常を,彼女自身の言葉や思いで、淡々と綴られているように思える。
     しかし彼女はフランス人ではない。夫も中央ヨーロッパからの移民だった。
    ナチスの時代に,夫は捕らえられて収容所に入れられたり,脱走したり。子どもたちは山奥にある修道院に預け,彼女も隠れ家を転々としていたのだ。

     最近彼女はこう聞かれる。「おばあさん。もういちど、若くなってみたいとおもいませんか?」しかし彼女は云う。「いいえ」と。「もう一度,同じ道をたどってどうするの?」

     彼女は物忘れもするし、鍵もなかなか開けられないし,日常生活にも事欠くありさまだが、ゆったりと自分の人生の最後を生きている。

     こうありたいものだ、自分の余生を最後の日に向かって,さまざまなこともありながら、自然体で暮らすというこの姿勢。

     水彩風の繪も鉛筆でのデッサン風の繪も素晴らしい。

  • 訳者さんが岸恵子さんだったので、興味持った本。薄いながらも考えさせる内容で、面白かった

  • 戦争のない毎日がどれだけ幸せか、優しく語りかける。

  • 静かだけれど、確固たる意志を持った日常の強さ。年を重ねるってこういうことなのかなと、思いました。

  • ダ・ヴィンチ プラチナ本 2009年2月号

  • 訳者の岸惠子さんのあとがき
    「生まれて、生きて、死ぬ。これは人間だれもが持つ平等なさだめです。けれど何処にどう生まれるかを、人は選ぶことはできません。この物語のおばあさんの一家はユダヤの人たちです」

    どんな環境に生まれてくるか、人は選べない。恵まれているか、そうでないか。
    暗黒な時代を生き抜いてきたからこそ言える「明日になれば、きっと良くなるわ」というおばあさんの言葉。

    老い衰えていく、という誰にでも与えられたさだめを、柔らかく受け入れていくということが描かれている絵本。しなやかで強くて美しい人間の姿が、そこには在る。

  • パリで暮らすユヤダ人のおばあさんが人生を振り返る。
    色々なことがだんたん出来なくなってくるけれど、それを残念に思ったり、諦めたりせずに日々を生きていく。

    もう一度若くなることが出来たとしても、私の道はこの1本だけ。
    戻る必要はない。

    戦争の辛さを経験したことのない人には今の辛さは本当の辛さではない、という部分は納得できないけれど、老いを肯定的に受け止めているのは交換的。

    悪いことの中からもいいことを見つけて喜びに変える様子はポリアンナのよう。

  • いままで読んだことないタイプの絵本だった。
    すごくいい感じ、おばあちゃんにもっと会って大切にしよう。

  • 今の私と、似てる、「一つ失えば、もっといいものが、十も転がり込んでくるさ」そうだよね~

  • 一つ失えばもっといいものが十も転がり込んでくるっていい言葉だな。歳をとって色んなものを失っても朗らかで、振り返る思い出には辛いこともあったけれど自分の道はこの道ひとつしかないと言い切るおばあさんが素敵です。息子からの電話に、「相変わらずよ」と答えるシーンは本当に刺さります。これからは、その言葉の裏に何かありはしないかと思いやれるような人にならなくては。

  • 素敵なおばあさん。私も良い年の取り方をしたいなと思いました。個人的にはおばあさんの座っているイスも素敵で気になっていました。

  • 自分との付き合い方を知り尽くしている、素敵なおばあさん。でもまぶしいくらい。パリのおばあさんも星の王子様もいいものだなと思うのだけれど、正しすぎる。まるで周りが望んだ理想の年のとり方をおばあさん。おばあさん自身はどうだったか。かえってこちらが責められているような気が、少しだけする。

  • 歳をとるのが怖い。
    私は誕生日になったばかりだけれど、あっという間に歳をとっていくと思う。


    おばあさんのように
    今をたくさん笑って
    泣いて、怒って
    おばあちゃんになったときに


    自分の人生の苦楽が刻まれたしわしわの顔を見て素敵だ、と呟いてみたい。

  • 初めて催した大人のための絵本朗読会で使いました。

    岸恵子さんが翻訳されています。

    『まってる。』と同じ人が絵を描いています。

    特に40代以上の女性に好評でした。
    『老いる』という現実に、誠実に毅然と向き合っている、一人のおばあちゃんのお話し。
    最後のおばあちゃんの言葉が好きです。

    朗読すると、30分くらいあります。

  • おとな向けの絵本って感じなのであっという間に読める。
    老いることへの覚悟というかあきらめと
    でもその中でも日々の楽しさを見つける知恵みたいなものが
    ぎゅぎゅっと入った本だった。年をとるってなかなかイメージ
    できないけど、それを具体的に優しくイメージさせてくれる本だった。
    今若い人が読んだらお年寄りに優しくしようと思うし、
    中年の人が読めばこのおばあさんのように気高く年齢を重ねようと
    思うだろう。おばあさんが読んでも共感しそうだし、幅広い年代が
    楽しめる本だった。

  • 晩年を生きる女性の視点で書かれた、
    子供にも大人にも読める絵本。

    優しい言葉で、生きることや老いることについて語られている。
    あまりにも深くて、読んでいたら涙が止まらなくて困った。

    絵本で老いを語られるとは・・・
    フランスってつくづく大人の国だなぁ。

  • 岸恵子さん翻訳の絵本。

  • くすんだ空の色の表紙。

    帯には、かわいいおばあさんのイラスト。
    そしてこんな文字が・・・。

      フランスで子供から大人まで
       読みつがれている絵本を
      岸惠子さんが初めて翻訳!

    帯をそっとはずしてみた。

    霧が濃いような、靄がかかったようなアパート群の中で
    たったひとつだけ黄色い灯りがともっている。

    これは、大人向きの絵本という雰囲気をかもし出している。

    フランスでは子供も読むのかな?

    だけど、フランス人なら読んでいそうだなという気もする。

    「あの赤いマントを着ているおばあさんを見て。
    ちっちゃな買い物カゴを持って
    市場で野菜を買っているでしょ。
    いっぺんにたくさんは買えないよ。
    もう、力があまりないんですもの。」

    イラストの中のおばあさんを探した。

    やさしく話しかけるような文体、
    そして、淡々と語られるおばあさんの事情。

    歩くのも大変、お金を払うのも大変、
    鍵をなくすのも怖い、鍵を探してドアを開けるのも一苦労。

    このおばあさんを取り巻く現実が静かに迫ってくる。

    でも、このおばあさんは、恨み言をいうのではなしに、
    楽しく、かわいく暮らしている。

    コインを見分けるのに時間がかかれば、
    恥ずかしそうに照れ笑いしながら八百屋さんにこう言うのだ。

    「まあ、今日のインゲン豆の長いこと。
    編み棒にしてソックスでも編もうかしら」。

    鍵が錠前になかなか差さらないときは、
    「わたしの可愛い扉ちゃん、
    わたしを早く中に入れてちょうだい」。

    昔はできたのに、好きだったのに、
    できなくなったことがあまりにたくさんある。

    本を読んだら疲れるし、
    縫い物や刺繍をする気力もないし、
    編み物は得意中の得意だったのに、
    「指と編み棒が仲たがい」。

    玉ねぎとにんにくをいためた大好物の料理も
    もう胃が受け付けない。
    「良かったわ。これでもう玉ねぎを切って
    目を泣きはらすこともなくなったわ」。

    でも、この本が不思議なのは、
    読んでいてまったく暗い気持ちにならないこと。

    それは、きっとこのおばあさんが自分を嫌いじゃないからだ。

    今の自分も含めてちゃんと好きだからなんだ。

    「やりたいこと全部ができないのなら、
    できることだけでもやっていくことだわ」。

    おばあさんは鏡を見て、
    「なんて美しいの」とつぶやきく。

    彼女は、「四分の三世紀ものあいだに味わった
    わたしの人生の苦楽が刻まれた顔」を美しいといえる、
    「黒髪の森を白髪が勝どきをあげて侵略していく」のを
    「ステキだわ。子供のときから、変身するのが大好きだったんだもの」
    と言える。

    こんなふうに時間を重ねたいものだと思う。

    そして、おばあさんの刻んだ時間がどんなものだったのか
    今の生活の中から、おばあさんの回想の中から、
    少しずつ、少しずつ見えてくる。

    おばあさんは、フランスにやってきたとき、
    聞いたこともない言葉を話し、
    今までとは違う服を着て、
    ふだんの習慣まで変えなければならなかった。

    そして、戦争を乗り越えなければならなかったのだ。

    おばあさんは、薬を飲むのを忘れるし、誕生日も覚えてない。
    でも、雪が降ったのは覚えている。
    どんな学生か忘れたけれど、そのとき習った詩は暗誦できる。

    一日忘れ物を探し暮らしても、
    「一つ失えば、もっといいものが十も転がり込んでくるさ」、
    今日うまくいかなくても、
    明日になればきっとよくなっているわ。

    おばあさんの考え方は、無理なく自然とそうなのだ。

    こうでなければ、つらい時期は乗り越えられなかったかもしれない。

    これはあ... 続きを読む

  • 歳を重ねても前向きに生きることの大切さに気付かせてくれました。このおばあさんのようにありたい。繰り返し読みたい一冊です。

  • 家族がみんな一緒にいられるのは楽しいことだから大切にした方がいいなと思った

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パリのおばあさんの物語の作品紹介

パリに暮らす一人のおばあさんが、昔を振り返りながら、いまを語る。フランスで子供から大人まで読みつがれている絵本を女優・岸惠子が初めて翻訳。

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