脳からわかる発達障害―子どもたちの「生きづらさ」を理解するために

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著者 : 鳥居深雪
  • 中央法規出版 (2009年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784805832257

脳からわかる発達障害―子どもたちの「生きづらさ」を理解するためにの感想・レビュー・書評

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  • 発達障害について、脳の機能という視点から掘り下げて紹介されている一冊。

    認知とは?
    記憶のメカニズムとは?
    コントロールのメカニズムとは?
    注意のメカニズムとは?
    実行機能とは?
    感情のメカニズムとは?
    などなど。

    それは、個人の努力うんぬんではなく、あくまでも脳の機能の問題であるということ。
    わかりやすくて、深い本です。
    これは私にとって何度も読み返して活用していく本になっていくと、思います。
    発達障害について、理解を深めたい方におすすめの一冊です。

  • 本書は、発達障害を脳機能から理解するための本である。

    著者は、長い間、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、
    高機能広汎性発達障害等の子どもたちと関わってきて、
    「なぜ発達障害の子どもはできないのか」を考えるようになり、
    同時に「なぜ発達障害でない人はできるのか」を
    考えるようになったという。

    発達障害の子ども達と関わることが、
    「普段何気なくやっていること」を支えている
    「実はとても複雑で高度な脳の働き(高次脳機能)」への興味関心、
    そして、その情報を一番必要としていることに
    わかりやすく伝えることへとつながっていく。

    大脳生理学や認知神経心理学といった脳科学の進歩は、
    高次脳機能や発達障害についても多くのことを明らかにしてきたのだが、

    その情報は一部の専門家が理解しているだけで、
    一番情報を必要としている、発達障害の子ども本人、
    子どもたちに関わる保護者や教育者には伝わっていないことに
    著者は問題意識を持つ。

    著者の略歴は、オンライン上では、
    「千葉大学医学薬学府博士課程修了。医学博士。」からはじまっているので、
    最初から医学薬学系だった方という印象を持っていた。

    ところが、本書には、その前の略歴がさらに書かれていた。

    著者は、もともとは社会福祉学の専攻だったのである。

    通常学級の担任、知的障害特別支援学級担任、
    情緒障害通級指導担任、養護学級教諭のご経験がある。

    その後、総合教育センター、子どもと親のサポートセンター指導主事として、
    不登校、非行の子どもの教育相談や生徒指導に関わっている。

    社会人大学院生として千葉大学教育学研究科修士課程修了(教育学修士)後退職し、
    それから、千葉大学医学薬学府博士課程修了(医学博士)だったのである。

    ここに刻まれた略歴が表す著者の歩みは、
    本書に確かに織り込まれており、
    発達障害を脳機能から理解するための本なのだが、
    教育関係の本を読んでいるような印象を受ける。

    第1章の最初で、発達障害の典型的なタイプの子どもたちが登場するのだが、
    こういった冒頭の書き方は、教育系のルポ本に多いのではないだろうか。

    また、「全部ひらがなにして書かれた英文」のように、
    障害がない人でも実際に理解が困難である状態を
    疑似体験できるような工夫をしている。

    脳機能ばかりを語って人を語っていないのではなく、
    まずは人を語りそれから脳機能を語っている。

    こういうと御幣があるかもしれないが、
    医学系の本にありがちが無機質な感じではないので、
    人文社会系に読みやすいのである。

    脳機能について知りたいのだけれども、
    医学系の本を読むのはちょっと・・・
    と敬遠してしまっていた関係者にとって、
    非常に読みやすい1冊ではないかと思う。

    章構成は次の通りである。

    第1章 発達障害って何だろう?

    第2章 脳機能から理解するLD(学習障害)の子どもたち

    第3章 脳機能から理解するADHDの子どもたち

    第4章 脳機能から理解する高機能広汎性発達障害の子どもたち

    第5章 子どもの育ちを支える

    第6章 脳についての基礎知識

    ここには、章題のみを挙げたが、
    節まで降りると「メカニズム」という言葉が多い。

    LDの章には、「見ること」「聞くこと」のメカニズム、「記憶」のメカニズム、
    ADHDの章には、「コントロール」のメカニズム、「注意」のメカニズム、
    高機能広汎性発達障害の章では、「社会性」と「対人認知」のメカニズム、「感情」のメカニズム
    について説明している。

    発達障害と日々向き合っている人がなじみやすいものを先に持ってきて、
    「脳についての基礎知識」のように脳の図がたくさん出てくるようなものを
    あとに持ってきていることも工夫のひとつであると思う。

    各節が短く簡潔にまとめられていて、総ページ数が索引を入れても186ページである。

    それでいて、発達障害関係ならば必要な概念、理論、基本的な用語は押さえられている。

    医学的診断一辺倒ではなく、
    著者の教育的な経験と知識と医学的な知識のバランスがよい。

      多動性や衝動性の症状を併せ持っている場合は、
      幼児期にADHDという診断がついていることがあります。

      しかし、ADHDという診断がついていたとしても、
      PDDの特徴ももっていると考えられる場合、
      教育的にはPDDとして支援を行っていった方がうまくいくことが多いです。

      それは、高機能PDDへの支援が、最もていねいで手厚いからです。

    といった記述が見られるのである。

    第5章は、遊びを通した認知支援(CIP:Cognitive Intervention in Play)、
    五感を育てる、ソーシャルスキルトレーニング、
    指導法としてTEACCH、SPELL、応用行動分析、ソーシャルストーリーなどが紹介されている。

    あとがきにこんな言葉がある。

      障害のある子どもたちを支援していると、
      さまざまなことを「ポジティブに」考えるようになります。

      「うまくできたところはほめ、うまくできなかったところは修正する」・・・・。

    私自身も、このような考え方をするようになったのだが、
    それは、北海道浦河町にある精神障害等をかかえた当事者の
    地域活動拠点である「浦河べてるの家」の活動を知ること、
    そして、近い立場の人が精神疾患を得たことを通してであった。

    本書でも紹介されているSSTを、
    べてるの家で行っているところを見たことは今でも自分の支えである。

    著者が得た学びを私は精神障害分野から学んだ。

    本書を読むことを通して、専門とは何かについて考えた。

    著者は、障害のある子どもの教育に携わり続け、
    それがやがて、「脳科学の成果を教育に生かしたい」という思いとなり、
    学問の垣根を越えて新しい分野に挑戦した方だ。

    真に実践を突き詰めようとしたら、ひとつの専門では立ち行かず、
    自分でそれを超えるか、他分野の人と協力をしていくことが必要なのだろう。

    また、本書に語られていることに限らず、専門知識といわれているものは、
    ちょっと目線を離してみると、その分野だけでのものではないのだとわかった。

    例えば、発達障害の子どもは、
    「視覚情報処理」と「聴覚情報処理」のバランスが取れていないことが多いので、
    使いやすい感覚について、「視覚優位」、「聴覚優位」という言い方をする。

    これは、何も発達障害分野だけのことではない。

    NLPでも、視覚・聴覚・体感覚のように
    ベースとして使っている感覚によってタイプ分けするそうだ。

    自身の専門分野と考える知識を深めるのも大切だが、
    そこだけにこだわらずに広い視野も大切だ。

    そんなことも考えさせてくれた1冊だった。

  • 大変わかりやすく書かれているので、これから発達障害について学んでいく人が最初に手に取るのにはふさわしい本だと思うが、ある程度知識がある人には新しいことは特にない。
    ただ、第5章の具体的な支援方法や教材集は、実際に発達障害児と接する人には非常に手助けになるものだと思う。

  • わたしの第一参考書

  • 臨床を目指す大学・専門学生にとっては導入本としてわかりやすくまとめてくれている専門書です。だけど一般の方が発達障害を理解するためには少し難しいかな、、?しかし読みやすいし、対応なども載っているのですごく役に立ちます。図や写真などで理解を助けてくれて、発達障害者が読んでもそこまで傷つかない本かなあと思いました。(ADHDの私はそこまで傷つきませんでした)研究所の先生からお借りした本ですが、自分も買おうと思いました。

  • ぱらっとしか見てないですけど、ADHDのページの「ADHDの人にはこんな風に感じられています/見えています」はかなり正確だと感じます。実際にパニックになりましたw 実感を以て理解したい人に、おすすめ。

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脳からわかる発達障害―子どもたちの「生きづらさ」を理解するためにの作品紹介

「見る」「聞く」から「感情」「社会性」まで-"脳のはたらき"を知ると"支援"が変わる。教育・子育てに活かす"わかり易い"脳科学の基礎知識。

脳からわかる発達障害―子どもたちの「生きづらさ」を理解するためにはこんな本です

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