慶應ビジネススクール 髙木晴夫教授のMBA授業Live [リーダーシップ論]
- 中経出版 (2002年6月29日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784806116462
作品紹介・あらすじ
本書は、リーダーシップの重要な場面をいくつも取り上げ、その場面に自分をおいて、自分ならどのように考え、どのように意思決定し、どのように行動するかを問いかけるトレーニングブックである。
感想・レビュー・書評
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MBAとは経営学修士(Master of Business Administration)のことです。
これを教えている学校で、企業が抱える問題の具体例を分析し、グループ討議で解決策を見つける授業風景が書かれた本です。
自分が社長になった気持ちで、自分ならこうするなぁ!と考えながら読むと面白いです。
自ら見て、考えて、実行する、という感覚を磨く本です。
具体例が書かれているので、どんどん読めます。
「オプティマ・ジャパン株式会社(リーダー主導の組織改)」、
「瑞穂製鉄株式会社(フラット組織の導入)」、
「東京電力株式会社(炎の発言)」、
「レリアン株式会社(1948年の小林栄子)」、
「ABBとパーシー・バーネビック(リーダーの遺伝的要因と経験的要因)」
の五つのケースメソッドが書かれています。
オプティマジャパンと東京電力とレリアンは面白い内容です。
最後のリーダーシップ論は、初めの説明は難しかったけど、あとの討論がおもしろかったです。
ゼネラル・エレクトリック(GE)の元CEOで変革の人といわれたジャック・ウェルチが書いた「わが経営」を読んでからこの本を読むと、より一層理解が深まると思います。
「読んで吸収するための知識」を補う為には『組織行動のマネジメント』を参照。
(参考図書等)
●『組織行動のマネジメント』S・P・ロビンス著、高木晴夫監訳(ダイヤモンド社)
●慶應ビジネススクールURL
http://www.telecon.co.jp/keio/top.htm
●『レリアン成功物語-主婦が重役の椅子に座るとき-』守田梢路著(株式会社商業界)1985年
●『影響力の武器-なぜ、人は動かされるのか』ロバート・B・チャルディーニ著、社会行動研究会訳(誠信書房)1991年
●『ネットワーク リーダーシップ』髙木晴夫著(日科技連出版)
●『マルチ・ドメスティック企業論』ウィリアム・テイラー著、本庄美佳訳(ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー1991年6月-7月)
●『変革するリーダーシップ-競争勝利の推進者たち-』(ダイヤモンド社)ジョン・P・コッター著
(心に残った言葉)
●毎月の予算を超えた売上金額の5%が店に還元され、40%を店長が、残り60%を販売員たちが均等配分する仕組みであった。(p.183)
●結局、会場でこの日の参加者すべてに拍手とスポットライトがあてられた。(p.195)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
慶應義塾大学ビジネススクールは、MBA教育を行なうために、日本で最初に設立された経営大学院で、アメリカのハーバード・ビジネススクールを範としています。経営教育の授業方法もハーバード・ビジネススクールにならい、講義形式ではなく、「ケースメソッド」という討議形式で行なわれる。(amazon.co.jpより)
先日、BOOKレビューした「人材育成のジレンマ」と同じケーススタディ(著書の場合はケースメソッドという)をテーマにそれぞれの問題解決方法や意思決定力を議論した講義内容をそのまま書籍化したといった感じだ。
著者の髙木教授が何度も言っていたことは、解決方法の手法やバリエーションを学んだとしても、現場では机上の論理に終わってしまうということだ。何が問題点でどのような方向転換をしていけば改善できるのか?という差し迫った状況で、柔軟に客観的に核心を突いた論理を生み出す思考回路が大切だと説いている。そういった意味では、ケースメソッドを用いて学ぶやり方は、現場主義にはもってこいだ。頭の中でぼんやり理解していても実戦的ではないだろうから。
私も不才ながら大学まで学ばせていただいたが、こういったディスカッション形式の講義はなかったように記憶している。教授から一方的に知識を埋め込まれ、単位欲しさに出席日数を稼いでいた内容と比べると、本当に学んでいる場だなぁと羨ましく思った。新鮮な刺激を与えてくれた本書に感謝したい。