東海のうたびと

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著者 : 加藤治郎
  • 中日新聞社 (2016年5月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784806207092

東海のうたびとの感想・レビュー・書評

  • きみの言葉はこころを素描できるかい彗星のように裂けた制服
     加藤治郎

     名古屋市在住で、多数の歌集・歌書をもつ加藤治郎が、愛知、岐阜、三重、静岡4県の現代歌人を紹介したコラムが単行本となった。タイトルは、「東海のうたびと」。岡井隆、春日井建、平井弘、山中智恵子ら31人の歌人が取り上げられており、現代短歌史における東海地方の豊かさを再確認することができた。

     するだろう ぼくをすてたるものがたりマシュマロくちにほおばりながら
     村木道彦

     子を乗せて木馬しづかに沈むときこの子さへ死ぬのかと思ひき
     大辻隆弘

     牡蠣を割【さ】けばひとつしずくにまみれいる白き命あり濃霧のにおい
     松平盟子

     引用歌も、現代短歌史を飾る代表歌がいくつもあり、アンソロジーとしても存在感がある。

     個人的には、かねてから注目していた冬道麻子が記述されていたことがうれしい。1950年、静岡県生まれ。進行性筋ジストロフィーで、長く床に就いたままの生活という。

     握力計の知らざるちから身にありて4Bの鉛筆に文字現わるる
     冬道麻子

    「握力計」では測れないほど手の力は弱っているが、いざ作歌に向かうと、不思議な力が身からわき起こり、「文字」を産みだした、という感動だろう。

     掲出歌は、加藤治郎の母校、愛知教育大学付属名古屋中学校を詠んだもの。「できるかい」という口語遣いが作者の持ち味。
    (2016年7月31日掲載)

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