錆と人間 (ビール缶から戦艦まで)

  • 築地書館
3.10
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本棚登録 : 178
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784806715214

作品紹介・あらすじ

ウォールストリート・ジャーナル、ベストブック・オブ・ザ・イヤー受賞!
ロサンゼルス・タイムズ、最優秀図書賞最終候補作!

「最大最凶のデストロイヤー」と言われる錆(さび)。金属を加工し利用することで文明を発達させてきた人類にとって、錆は大敵だ。
防食技術と自由の女神、ステンレス鋼開発秘話、国防総省と錆との戦い、腐食防止の環境ホルモンのリスクをひたかくしにする缶産業の実態、極寒のアラスカを縦断する石油運搬パイプラインは、産出量の低下も相まって維持管理は重大な問題である。
錆という自然の脅威に、めっきを施し、電流を流し、新たな技術と培った経験を武器に立ち向かう人類の戦いを描く。

感想・レビュー・書評

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  •  錆とテーマにした本を書くとはずいぶん渋い著者だなと思った。読み進んでいくと錆にもいろいろなことがあるのだなあと分かる。本の分厚さも気にならないくらいだ。



     著者は、環境・科学ジャーナリストしてワシントンポスト紙などに寄稿している。本書は処女作で、アメリカ国内において高い評価を得ていると書かれている。



     錆をテーマにして写真を撮っている女性が紹介されている。その名は、アリーシャ・イブ・スックだ。錆を被写体に選ぶとは相当な錆萌えだな。過去10年間に3万枚近く錆の写真を撮っているというから驚きだ。



     自由の女神の修復や、缶をめぐる規制でいろいろな利権が絡み一筋縄ではいかなかったことがつづられているのを見ると、鉄の錆よりも人間の心の錆の方が厄介だ。除夜の鐘を聞いても取れないだけに重症だな。



     錆でのこれだけいろいろなことが書けるとは、錆を甘く見るとやけどする。小難しい呪文のような数式が登場しなかったので、文系でも楽しめるので良かった。

  • 第20回アワヒニビブリオバトル「ラスト」で発表された本です。
    2016.12.06

  • 腐食・防食に関わる工学の現場での技術者らの奮闘を、オムニバス形式で生き生きと描いたノンフィクション。原著はウォール・ストリート・ジャーナル、ベストブック・オブ・ザ・イヤー受賞。社会の安全・安心を支える工学に関心がある新入生に薦めたい。

  • 本は脳を育てる:https://www.lib.hokudai.ac.jp/book/index_detail.php?SSID=5064
    推薦者 : 小泉 均 所属 : 工学研究院

    錆(さび、腐食)と取り組むさまざまな人々の仕事と人間像を描いた本である。錆と人間の歴史から、自由の女神の腐食と補修、ステンレス鋼の発明、缶の腐食と環境ホルモン、錆を撮り続ける写真家、アメリカ国防総省の防食担当者、防食技術者という職業について、石油パイプラインと錆探知ロボットなど、さまざまな事について取り上げている。錆という点で共通しているだけで、全体として一貫したテーマがあるようには見えない。書き方も各章でバラバラである。しかし、錆というものが、どのような科学や工学、社会、政治、人間とかかわっているか概観でき、非常におもしろく読める。腐食・防食工学の分野を目指す学生だけでなく、多くの学生に読んでいただきたい。

  • 「最大最凶のデストロイヤー」と呼ばれる錆(さび)は,金属によって発展してきた人間にとってまさに”敵”である。本書は,自然発生して休みなく拡大し続ける錆に対して,ステンレス鋼や腐食を防ぐ技術を開発してきた人間の長い長い戦いの歴史である。

  • 面白いが少々冗長的な部分があり、何よりこれは避けられない問題だがカタカナ読みの名前がどうしても頭にうまく入ってこずに登場人物が多数になるとちょっと混乱してしまう。でも錆についての理解が深まったのは間違いようのない事実である。

  • 原題に「Rust - The Longest War」とあるように、人類と錆との終わりのない闘いを数々の例を挙げながら解説している。
    第4章 「缶の科学」は読みごたえがある。アルミ缶は中身の腐食性でエポキシ樹脂によるコーティングの厚さが決まり、コーティングしなければコカ・コーラの缶は三日で錆びるという。コーティングに使われる「ビスフェノールA」が、環境ホルモンとして人体に与える問題点についても触れられている。

  • 請求記号 563.7/W 36

  • 科学道100冊 2019 「元素ハンター」
    【所在】2F開架 
    【請求記号】566.76||WA
    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/book/183645

  • ●錆という、マイナーなジャンルについて、タイトル通り錆と人間の戦いを描いたルポルタージュ。

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著者プロフィール

ジョナサン・ウォルドマン(Jonathan Waldman)
アメリカ、ワシントンD.C.で育つ。ダートマス大学とボストン大学のナイト・センター・フォー・サイエンス・ジャーナリズムで書くことを学び、また近年は、コロラド大学でテッド・スクリップス奨学金を得て環境ジャーナリズムを学んだ。
環境・科学ジャーナリストとして、ワシントン・ポスト紙や『アウトサイド』『マックスウィーニーズ』といった雑誌に寄稿しているほか、フォークリフト運転、樹木医、サマーキャンプの監督、ステッカー販売、コックなどの仕事を経験。本書は処女作で、ウォールストリート・ジャーナルのベストブック・オブ・ザ・イヤーを受賞、またロサンゼルス・タイムズの最優秀図書賞最終候補作にも選定され、アメリカで大絶賛を受けた。ウェブサイトは jonnywaldman.com。

「2016年 『錆と人間 ビール缶から戦艦まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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