もっと知りたい酒井抱一 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

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  • 東京美術
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  • Amazon.co.jp ・本 (80ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784808708528

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  • 徳川将軍家の譜代大名だった酒井家に生まれた抱一は最初、浮世絵師として出発した。その後、尾形光琳リバイバルに寄与するなどして、独自の際立った花鳥画を残すことになる。
    その間、出家をしている。

    光琳、抱一がそれぞれ描いた「燕子花」を比較してみると、光琳はレイアウトや筆致が大胆できらびやかなのに対し、抱一は繊細でわりと幾何学的。

    さらには光琳の金に対して、抱一は銀。この渋みがなんとも魅力。この側面にはどうやら、俵屋宗達、本阿弥光悦のテイストが染み込んでいるようだ。

    例えば「紅白梅図屏風」「波図屏風」(この波は光琳にならい大胆だがやはりかつ波頭が繊細)。

    本書の表紙にもなっている「夏秋草図屏風」には一目惚れだったがこれも銀。
    右隻には夏。青薄、昼顔、白百合、仙翁花、女郎花。
    左隻には秋。花薄、葛、蔦、藤袴。

    これ、かつては光琳の「風神雷神図屏風」と文字通り表裏一体になっていたらしい。なんと豪華な。

    他方、俳諧的な余白を残した「絵手鑑」というスケッチ集のようなものもすごく良い。とくに「江ノ島図」と「富士山図」が好み。これ、ポストカード集とかにしてほしい。ぜったい買う。

    ところで、鈴木其一は抱一の弟子だったと判明。これまたポップかつ幻想味があって面白い。この系譜、追いたい。

  • 播磨姫路藩主酒井家に生まれた抱一は書・俳諧・能など多芸多才な人物でした。そんな彼は画の世界に触れ、狩野派、浮世絵、円山派、土佐派などを広く学びました。後に、尾形光琳の作品に惚れ込み、光琳の没後100年の際には「光琳百図」という図録まで制作したほどでした。そんな抱一自身の作品は、琳派の技法を受け継ぎつつも、独自の路線を確立し、“江戸琳派”と呼ばれました。【兵庫県】

  • 江戸時代後期の琳派、酒井抱一の解説本。琳派3人の本を軽くめくってみて、色彩が目に残ったのでこちらから読んでみました。解説の影響か、細やかなで風流人な印象。
    他にも中村芳中や渡辺南岳、弟子の鈴木其一などの作品も紹介。芳中の「光琳画譜」が可愛くて、そのまま絵手紙に使えるくらい。

  • 姫路城 天空の白鷺と一緒に市立美術館に行きました。
    翌週、日曜美術館で、歴史、背景を確認。
    坂東玉三郎ゲストでした。夏秋草図屏風見たかったな~。

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著者プロフィール

1955年東京都生まれ。東北大学大学院博士課程前期修了。博士(文学)、日本美術史専攻。静嘉堂文庫美術館主任学芸員を経て、武蔵野美術大学造形学部教授。酒井抱一を中心に宗達・光琳の流れを探究。主な著書に『絵は語る13 夏秋草図屏風』(平凡社、第16回サントリー学芸賞)、『都市のなかの絵』(ブリュッケ、第16回國華賞)、『生きつづける光琳』(吉川弘文館)、『俵屋宗達』(東京大学出版会)など。

「2016年 『日本美術のことばと絵 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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