- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784811807379
作品紹介・あらすじ
年間30万匹の犬・猫が殺処分されている。目の前の命への愛情と、救えない命への葛藤。感傷を乗り越えて、現実に向きあいつづける人々がいる。ドキュメンタリー映画『犬と猫と人間と』の監督が綴る、いのちをめぐる旅。
感想・レビュー・書評
-
図書館に有り
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本も読んでみた。ざっとだけど。映画と同じ感じだった。
-
「日本の犬猫には生まれてきたくない」
そんな現状を改めて知ってショックを受けました。
日本の犬・猫の保護・殺処分の状況を取材して
ドキュメンタリー映画にした監督・撮影の飯田基晴氏の初著作。
現実を知り、他国との比較も交えながら、
日本におけるこれからの動物との生活を、
いかにお互いが幸せで過ごすことが出来るのかを
考えさせられる本です。
現在犬猫等の動物を飼っている人、
これから飼う予定の人は、一度読んで欲しい本です。 -
映画監督 飯田基晴さんは上映会の後、一人のおばあちゃんから声をかけられる。
お金を出すので、動物達の命の大切さを伝える映画を作ってほしい と言うのだ。
ドキュメンタリー映画「犬と猫と人間と」の撮影を始めた飯田監督が目にした日本の動物達の現状とは…。
映画は日本のペット達の現状を知らない人達に見てもらいたい作品になっているけど、
こちらの本はむしろ動物愛護に関わりたいと思っている人にこそ読んでもらいたい一冊。
飯田監督が撮影を通して感じた動物愛護に現場で関わっている人々の苦悩や葛藤が描かれています。
以下は本の内容ではなく、見かける動物愛護関連の主張に対する私見と疑問。
-------------------------------------------------------------------------------------------
無責任に動物を捨てるな!と言うのは簡単だけれども、
自分がペットを捨てざる得ない状況に追い込まれる可能性は絶対にないと言い切れるのか…。
動物達の殺処分が報じられると動物愛護センターには苦情や非難が殺到するというけど、
殺処分を止めてしまったら 毎日次々と運び込まれる捨てられた動物達であふれていく施設はどうなるのか。
命を売り物にするな、ペットショップで動物を売るなと言うけれども、
そうなった場合に売られていた子達がどうなるか知らずに発言している訳ではないはず。
その子たちは尊い犠牲なのか?それで本当に動物愛護といえるのか?
動物実験に反対するとして、
医薬品や化粧品を動物実験無しで人間に使った場合のリスクを
メーカーのせいにするのではなく、自分自身で負うことができるのか。
-------------------------------------------------------------------------------------------
などなど、本で書かれている 救える命を取捨選択しなければならない現場と
動物愛護で声高に叫ばれているスローガンの間にものすごい乖離を感じてしまった。
社会は少しずつしか良くしていけないし、
それは決して非難やバッシングで実現されていくものではないはずだ。 -
同タイトルのドキュメンタリー映画の監督が書いた本。
動物愛護団体・センターが抱える矛盾がよく伝わってくる。 -
以前映画が作成された「猫と犬と人間と」の監督が、
この映画を撮る事になったきかっけから、
出来上がったその後までを一冊にまとめたメイキング本。
本当にいろいろなことを考えさせられます。
最近こんなに真剣に沢山の事を考えた事がないくらい。
通勤時間に読むと泣いちゃうだろうなとは思いつつ、頑張って涙をこらえながら読みました。
だって泣いても薬殺処分される犬猫の一匹も救えないもんね。
年のせいかちょっとの感情の揺れでじわっと涙が出てしまう昨今ですが、
それでも「泣くより他にすることあるだろう!」という気持ちにさせられます。
日本の現状、世界の現状。
一人一人の意識を変える事は本当に難しいけどそれが一番必要なことなんだよな。
犬猫はアクセサリや雑貨じゃなくて、子ども同じで生きてるんだよ。
日本の犬猫に生まれて幸せだと言われるようにならないとね。 -
ペット大国となった日本ですが、簡単に動物を飼える状況と同じように簡単に動物を捨てることもできる…。我々人間と同様、いのちあるものたちなのにどうしてそんなことができるのでしょうか。動物を愛する人にもそうでない人にも読んでほしいし、教育現場にいる大人にも特に読んでほしい。
-
たしか森絵都が、日経夕刊の「プロムナード」でこの本のことを書いていて、図書館にあったのでリクエストしていた。(記事が見当たらないが、ネットにはこの「プロムナード」に言及したものがいくつかあって、それによると11/17の記事だったらしい。)
ちょっと…と読み始めてイッキ読み。飯田基晴さんは、「あしがらさん」を撮った人としておぼえていた。
その「あしがらさん」の上映会場での舞台挨拶のときに、飯田さんは初対面の猫好きのおばあさん・稲葉さんから「動物たちの命の大切さを伝える映画を作ってほしいの。お金は出します」と言われたそうだ。それが、「犬と猫と人間と」の映画をつくるきっかけ。この本は、映画制作のもようを伝える。
稲葉さんは、日本では捨てられ処分される猫や犬がまだまだ多いことに心を痛め、映画で命の大切さを訴えたら少しでも変えていけるんじゃないか、と思ったのだという。
制作をひきうけた飯田さんたちの、動物愛護協会や殺処分の現場、捨て犬や捨て猫たちのこと…取材と撮影がつづく。
すべての命を救えないことに自覚的な、動物福祉協会のリーダー・松田さんは、「あきらめるけど、あきらめない」「5年後には、この子(処分される犬)に準じた犬を救うことができるようにする」(p.60)と語る。松田さんが、行政の動物管理センターに関わり、施設改善を要望しつづけてきたことを語るこんな言葉が印象深い。
▼「…私は文句をたくさん言うけどね。行政は(文句を)言わないと変わらないから。きれいごと言ってもだめ。でも、ほんとうによくがんばったことは、がんばった。ただたんに、行政が悪いって言って済まさないで、じゃあ、私たちにはどれだけできるのかっていうことを実践することが必要です」(p.59)
飯田さんが見た殺処分の現場。動物たちが炭酸ガスで窒息死させられる処分機が、やがて静かになり、ボタンで床板が開いて、階下の箱へ動物の遺体が落ちる。そこから焼却炉に運び、遺灰は産業廃棄物として処分されるというが、飯田さんが驚いたと書くように、処分機から階下の箱へ落ちたあとの作業は民間に委託しておこなわれている、というのを読んで、私も驚いた。なんだろうこの驚きは。
"民間でやれることは民間で"という声が大きいこの頃、その「民間でやれること」として仕分けされる仕事が、なんで民間なのか、もひとつワカランと思うこともまた多い。
ボタンを押して処分機の床板を開くところまでが行政の仕事で、その処分機から落ちた動物の遺体を焼却処分するところは民間の仕事で、というその線引きが、私の驚きとワカランという思いをつのらせる。
本は読んだが、映画「犬と猫と人間と」も、見てみたいと思った。 -
お婆さんとの出会いのエピソードが良い。DVDも観てみたい。