私が「ヴィジュアル系」だった頃。

著者 :
  • 竹書房
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784812421918

作品紹介・あらすじ

YOSHIKI、SUGIZO、キリト。カリスマ達が肉声で語る驚愕の真実!大槻ケンヂのV系トークも炸裂!二度とありえない奇跡の共演!帰ってきた音楽評論家市川哲史が斬る会心の力作。

感想・レビュー・書評

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  • そういえば「ヴィジュアル系」という言葉はいつ頃から使われ始めたたんだろう?気付けばよく耳にしていた。「ヴィジュアル」って言葉はX(現X Japan)の取材記事で何度もメンバー本人達が口にしていた言葉だったし、Xのメンバー、特にhideちゃんが音に加えてこだわりをすごく持っていた部分だったから、「ビジュアル系」ってカテゴリーになった言葉が出てきても、不自然な感じはなかった。でもよく考えりゃ、確かに差別的な言葉ではある。市川氏の言うとおり、訳してしまえば「見かけ系(見掛け倒し)」なのだから。
    というわけで、この本は「誰が『ヴィジュアル系』という差別用語を編み出したのか」を探る企画で生まれたらしい。結局はやはりXのキャッチコピー?である「Psychederic Violence Crime of Visual Shock」から来ていて、それを音楽誌の方が引用して使い出したんだろう、という曖昧な結論で終わる。でも話はそれより膨らんで、一体この「ヴィジュアル系ジェネレーション」の一風はなんだったのか?という核心にも迫っている。青春時代、この風に一緒に乗っかってのぼせていた人にはおもしろい書なのではなかろうか。私は電車の中でにやつきながら読ませていただいた。

    自分の青春時代の背景が、いわゆるV系の全盛を飾っていた方々、本人の口から語られているのはおもしろい。これほどにもそれぞれの方々の個性が、音楽に、そして何より戦略的に、反映されてるというのを見ると興味深い。結局音楽のみならず、ビジネス戦略ができている人が成功しているのだ。いや、本当にその辺の企業家の人たちよりよっぽどマーケティング戦略を知ってると思う。

    その昔(悲)、インディーズとメジャーの壁が非常に高かった頃にCDを自分達で作って、ちゃんと売るために自分達でレーベル作って自分たちの権利を守って、もっとたくさん売るために広告打ったり。自分たちを広めるために、その当時珍しく髪をおっ立ててバラエティ番組に出たり。すごい、Operation managementから、Advertising、Marketing、Business Planning、Strategic ManagementからLegal Managementまで、体育会系で「うぉりゃ〜」ってツーバスどこどこ叩いてたウニ頭のお兄ちゃんがやってしまって、ついにはデビューして2年ほどで東京ドームでライブをやってしまうほどのバンドに成長させてしまうんだから、これほどすごいことはない。そのPR戦略には頭が上がらない。戦略的というか、確信犯だし、「負ける気がしない(これよく聞いたなぁ)」つまり「勝気」まんまんで突っ走ってるだけだった、とは言えど、いや、すごいです...気合い一発ってことだろうか?
    まさに「やってやれないことはない」だ。そうそう、哲学も凄かったのだ。そのため名言がたくさん生まれている。
    「みんな無名だった...でも、無敵だった」
    たまりません。まさに「無謀と書いてYOSHIKIと読む」だ。

    昔音楽と別に感銘を受けたその生き様だったり、気合いだったり、熱意だったりというものがよみがえってきて、この本のメインのテーマとずれたところで、いたく感動してしまった。あの頃自分が大事にしたいと思ったことを久々に思い出させてくれた。
    なんであの時(今もだけど)あんなにバンドに狂えたのか、、なんだか見えた気がした。もちろん音楽に衝撃を受けて、感動して、共鳴したわけだけど、それと共に誰も教えてくれなかったあのかっこいいんだかあほ単純だか分からない突進力と妥協を許さないストイックなこだわりや自分のポリシーを貫くというスタンスに、勇気付けられたのだ。う〜ん、熱いなぁ。

  • ヴィジュアル系の初期(?)オーケンから、
    YOSHIKI、SUGIZO、後期キリトたちとのヴィジュアル系とはなんぞや!?を対談した本。

    懐かしい時代。

    しかしオーケンはやっぱ事情通ですな(笑)

  • やはり当事者同士の話は良いですね。
    偏見とかがないから。
    市川さんはほんとにいろんなバンドの人達と
    仲良くて、信頼し合ってて、良いですねー。
    よっちゃんのとこと、SUGIZOさんのとこが特に興味深かった。
    キリトもほとんど興味無い私ですが、面白かったです。
    「私も〜」もぜひぜひ読みたい。

  • Twitterの酒呑botでBT今井地蔵さんの描写に掴まれ、市川さんのことを知った。酒呑み日記以外の文を読むの初笑。市川さんとV系のインタビューを読むと知らない人でも何時の間にか魅了される。SUGIZO、キリトに興味もった。

  • 市川哲史の文章は面白いね。
    続編もあるということは売れたんだこれ。
    初っ端が大槻ケンヂという構成がミソ。
    適度な距離感と醒めた批評眼が備わった。
    ただ、キリトとの対談でエールを送り合っているようになっているくだりはイタダケないのではないでしょうかね。

  • もう何世代後のバンドが出てきているか分からないけど、古典が読みたくて。V系という呼び名が無かった時代から、いかに栄え初期の盛り上がりが終わっていったかまで。YOSHIKI、SUGIZO、キリトとの対談を通して、あの時代そんなことがあったんだとすごく面白かった。歴史って意味で資料的でもあるかも。ちょっとこの時代に生きたかった笑。それぞれのバンドにメンバーの想いがあって解散してったと知って、今でも古いバンドが活動を続け新譜が聞けるのはなんて幸せなんだろうと思った。

    SUGIZOの対談で出てきた「麗しき暗黒」という表現、本質かも。

  • 市川哲史が大槻ケンヂ、YOSHIKI、SUGIZO、キリトと対談し80~90年代のビジュアル系を振り返る。

  • 読み物としてはとても面白い。資料としての価値も高い。ただ一面的なものの見方になっているので、そこに捉われないように注意したい。

  • 自分が通った道を思い出させてくれる面白い一冊。
    市川さん今でも大好きです。

  • 私が「ヴィジュアル系」を知った頃、もうマリスミゼルは活動を始めていた。この本においては終期を彩ったとされるバンドである。<br>
    そのため、勃興期について語っている著者とオーケンの対談は大変興味深い。特に、V系=「地方から持ち込まれたヤンキー縦社会」という鋭い分析には唸らされた。<br>
    <br>
    「ヴィジュアル系」は何故生まれ、どのように開花し、そしてどこへ姿を消したのか。<br>
    あの頃、少しでもV系に触れた記憶のある全ての人へ捧ぐバイブル。

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