一億二千七百万の愛を捧ぐ (SHYノベルス141)

著者 :
  • 大洋図書
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784813011095

感想・レビュー・書評

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  • Jリーガー×元Jリーガー。だいぶ年下攻め。場末のバーでバーテンをしている元Jリーガーの和久田がとってもいいオヤジ。人生に疲れて投げちゃってる感がとてもいいです。誰にも見つけられたくないのに偶然バーに来た槙野に見つけられ、しかも槙野は現役時代にエスコートキッズとして会ってて、すごく和久田にあこがれてて。槙野の情熱勝ちでした!面白かったです。

  • 好きな類のお話ではなかったのですが、とんとんと読むことができました。
    でも、あまりにも熱烈な恋愛で胸やけしそうです。

  • 綺月さんは「エロく」描写している訳じゃないと思う。確かに激しく、時に暴力的に性衝動が発動される描写を書かれてはいるが、そういう状態の熱量やエロい場面と言う現象よりも、日常から非日常的に同性に欲望を抱く瞬間の、性器や肉体に対し見ている人物が抱く、切り替わる瞬間の描き方が秀逸なんだ。槇野を突き放したいが為に和久井が行為を強要する時の、局部に対して槇野が抱く心情の変化の部分、嫌悪感が愛しい物体に変わる瞬間の描写が何とも言えず リアルだった。ブツを描写しながら、それに伴って移り変わる槇野の心情をものの見事に描き上げていたと思う。局部の質感と言うかなぁ、器官でしかないものが、愛しい人とのたった一つの接点、と言う槙野の心中の移り変わり描写が本当にBL作品として素晴らしかった。放ってるのに、満ちてくる。ーーーだったと思うが、中出しされた受けが行為自体に情を感じとる描写として秀逸だったなぁ…和久井がイってしまった時の声の文字起こし「ーーーーーーーアッ」と言う声にならなさ具合も秀逸だった。

  • 遅ればせながら、ステキなオヤジ発見。
    この本が刊行された当時には、まだ腐の修行不足でオヤジの良さと、攻×受のポジションの美味しさがきっと分からなかった…
    イラストは水名瀬雅良センセで、オヤジがかっこよすぎです。なので、脳内で勝手に無精髭のだらしないかんじに変換。

    和久田は、やさぐれて、自堕落な生活に身を落とした35歳の元Jリーガー。場末のバーでバーテンとしてひっそりと厭世的でネガティブな日々を送っています。
    というのも、彼はJリーガーとして華々しく活躍して、イタリア(たぶんセリエA)でプレイした絶頂期のあと負傷してしまい、いつの間にか姿を消してしまった過去の持ち主だからです。

    スポーツ界で長く活躍できる種目は多くないし、第二の人生で成功するのもまた一握りの選手だけです。愛していたサッカーから見離され、その現実を受け入れることができずに今も日々を送る和久田の失意や絶望が胸に迫ります。彼が煙草を吸い始めた理由も泣けます。

    そんな和久田の前に突然現れたのが、今を輝かしく生きるJリーグの花形選手で一回り年下の23歳、槙野です。槙野にとって和久田は幼い頃からのヒーロー。和久田に憧れてサッカーを始め、エスコート・キッズとして初めて言葉を交わしたときから、ずっと彼は自分の「キャプテン」だったのです。部屋に和久田の写真貼りまくりとか、憧れる人に対するファン心理が、槙野の場合かなり危ないレベルですが。

    槙野は、目標にしていた憧れの「キャプテン」が底辺での生活に甘んじていることに失望し幻滅するのですが、一方で再び出会ったことにより、軽蔑するのに離れがたいという複雑な想いが次第に湧き上がってきます。

    二人の相手に対する反発や、同じ道を志した者だけに分かる気概や、複雑な心の内がとても丁寧に描き出されていて、胸打たれずにはいられません。今は対照的な立場の二人ですが、実は紙一重であることを互いによく分かり合っているんです。

    相反する二人は傷つけあい拒絶しあいながらも、次第に相手の気持ちを受け入れていくようになります。それは諦めでも惰性でもなく、まさしく和久田の魂の再生といってもおかしくありません。そこまでひたすら真の彼を求め続けた槙野の強い憧憬が、愛に変わっていくのも納得。
    理想の大型年下わんこです。

    失望がまた次の希望に変わっていく強い愛を感じるベッドシーンがステキでした。
    終盤にしかなかったベッドシーンを新装版とか、何かの形で増量してほしいです。

  • 個人的に思い入れのあるサッカー選手が引退したばかりの頃に読んだ作品だったので、図らずも嗚咽が抑えられないくらいに泣いてしまった作品。

  • ●あらすじ●</br></br>
    新宿の寂れたバーでバーテンをしている和久田は、女に貢がれる堕ちぶれた生活をしている。人生を投げ出し、どこか疲れた雰囲気が女の母性本能を強烈にくすぐるのだ。そんなある日、和久田のバーに人気サッカー選手の槙野が現れた。そして、かつて和久田もまた国民的な人気を持つサッカー選手であった過去を暴かれる。槙野にとって、和久田は憧れの人だったのだ。強引に和久田に迫る槙野だが、どこまでも墜落している和久田を知るほどに幻滅する。けれど、離れることも出来なくて・・・!?</br></br>

    ●感想●</br></br>
    この作品も購入を迷った一冊。スポーツものは敬遠したかったのですが、寂れたバーのバーテンにどうしても弱い私・・・。スポーツ観戦が好きなだけに、どうしてもスポーツものにのめり込めないのです。どこか妙に冷静に読んでしまうんですね。特にサッカー、野球は・・・・・・。
    <blockquote>
    「貢がれ放題・・・?」</br>
    呟いたのは、槙野だった。全員が一瞬口を閉ざしてしまうほど、それは神妙な声だった。</br>
    「そんな生活してるんですか?」</br>
    「おい槙野」</br>
    高村が、背後から遠慮がちに口を挟む。それでも槙野は失望を言葉に代えることを止めようとしない。残酷すぎる一途さで、現在の和久田に一方的な理想像を当てはめようとするばかりだ。</br>
    「壮さん、まさかサッカーやめたわけじゃないですよね?いまもどこかで続けてるんでしょ?俺、チームではフェイントがいいとかいわれてるんですけど、焦らし方とか抜き去るタイミングとか、あれってやっぱり経験と勘なんですよね。俺なんて、壮さんに教わりたいことがいっぱいあるんです。みんなもきっと喜びますから。ね?」</br>
    望み通りの答えをもぎ取ろうとして、槙野が和久田の目を覗きこむ。だがそのセリフとは裏腹に、槙野の顔から次第に笑みが消えていくのだ。</br>
    再会の喜びの代わりに、じわじわと滲みだしてきた感情は・・・・・・憤り、だろうか。</br>
    「来てくれますよね?・・・キャプテン」</br>
    懐かしすぎる呼び名を口にして、槙野が口元を引きつらせる。TVのインタビューで見せていた眩しいほどの輝きも、和久田の作るつまみを「美味い」と喜んだ陽気さも、もう、そこには微塵も存在しなかった。
    </blockquote>
    順調に才能に恵まれなんの挫折もなくプロ選手になったであろう槙野。その辺りの好青年ぶりというかサッカー馬鹿というか・・・和久田には一番会いたくなかった人間じゃないかな。過去の光り輝いていた自分をよく知っていて、現在の和久田の姿を卑下する。和久田だってなりたくてこうなった訳じゃないのはわかるだろうに・・・。確かに理想の神様だった人が落ちぶれてる姿は見たくないけど、きっと好きでなった訳じゃない。誰より彼がサッカーを愛してたことを知っているならば、責めるより先に何で、怪我をしたんじゃないかとかチーム内でトラブルがあったんじゃないかとか事情を察しようとしないのかな。どうも幼稚で自己中の槙野。きっと自分が順調で挫折を知らないからだと思うんですが。
    和久田も何もここまで、というまで落ちぶれなくてもいいのに。プライドの高さが災いしたんでしょうが。結構、槙野に対して毒舌というか酷いこと言ってますが嫌いではないですね彼は。逆に槙野にここまで言われちゃうのが可哀想な気が。
    <blockquote>
    「・・・槙野。お前さっき、協力すると言ったよな」</br>
    「ええ、言いました。俺、壮さんのためならなんだってしますよ」</br>
    誇らしげに復唱する槙野を斜めに見上げ、和久田はニヤリと唇を歪めた。その表情に一抹の不安を抱いたのか、壮さん?と槙野が顔を覗きこんでくる。</br>
    その顎を、和久田は無意識のうちにつかんでいた。</br>
    「・・・・・・っ」</br>
    槙野が痛みに顔をしかめる。それでも決して振りほどこうとしない。和久田が心を開いたと勘違いしているのだ、この「好青年」は。</br>
    募る憎しみが指先へと移行し、暴力となって発露する。顎をぎりぎりと締めつけてやると、明確な不安が槙野の目に過った。槙野の顎に食い込んでゆく自分の指を他人のもののように感じながら、和久田は声を上擦らせた。</br>
    「お前、ホモだろ」</br>
    「え・・・------」</br>
    ぽかんと呆ける槙野を、和久田は嗤った。これみよがしに肩を揺らして。</br>
    「俺のケツばかり追いかけやがって。あげくに俺に、ここで暮らせだと?お前、そんなに男が好きか。ガキのころから、そんなに俺とファックしたかったのかよ。ああ?」</br>
    「壮さん・・・!」
    </blockquote>
    冒頭にも書きましたが、私はスポーツ観戦・特にサッカーが好きでして。生まれも育ちもサッカー王国・静岡、ジャニーズよりも高校サッカー選手がアイドルだった小学生時代でしたもの。まさに、槙野の気持ちはよく分かる。だからこそ、落ちぶれた和久田を見たくない槙野の気持ちもよく分かるんだけど、言ってはイケナイ部分も多いと思いますよ。もうちょっと言われた方の気持ちも考えて話しましょう。一方的に憧れを押しつけられるのもキツいだろうし。傷口にぐりぐり塩を擦り込んでるようで、無神経さに嫌悪感が・・・・・・。</br>
    和久田に関してはなんだか切ないです、色々と。現実過ぎて・・・・・・。サッカーは選手寿命も短いし、怪我でリタイヤする選手も多いのにその後サッカーに関わる仕事が出来る人は日本代表で活躍したりした、ごく一部の人だけですよね。野球にしてもそうなんだけど。コレはBLとして読めばいいんだけど、余分なことを考えちゃってちょっと辛かったです。</br>
    それにしても、こんなにやる気のない駄目駄目なバーテンも初めてだなぁ〜、ちゃんと仕事しようよ。飲み屋の裏側は私もアルバイトしてたんで笑えましたけど。いつでもやめてもいいようなヒモの生活してるのに、どうしてお店「レオン」を辞めなかったのかしら。槙野が鬱陶しく、元サッカー選手だとバレた時に逃げると思いました、和久田なら。
    途中までホントにBL?と思えるほどの展開で、和久田は女を渡り歩き、槙野は和久田を追いかけ罵声を浴びせるも恋心とはほど遠い感じで。ふと、この人達どっちが受?攻?とか思ったり。色っぽい話になったのはホントにラストに近くて。</br>
    白黒はっきりしたいので、なんだかモヤモヤした終わり方が残念。個人的には和久田にマスコミに説明してもらって、槙野の無罪だけでももぎとって欲しかった。お涙頂戴の釈明会見でもいいから、槙野のことを好きだと認めるならそれが誠意だと思うんだけどな〜。槙野に選手生命も危ぶまれるほどの危険を冒してヤクザにお金を払って貰っておいて、そのまま・・・ってのもどうかと。槙野からしたら、和久田を守っただけでも充分満足なんだろうけど。和久田それでいいのか!

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