▼あらすじ
下條はなんでも思い通りになる人生を心底つまらなく感じている。
刺激を探し続け、ついにはエリート街道から外れ、ヤクザまがいのゲスへと堕ちていた。それでも、人生はイージーゲームで進んでいく。
そんなある日、ひとりの汚いクズ男を見つける。それは、かつて青春時代にたった一度だけ下條へ敗北感を与えた男、久瀬だった。
落ちぶれた久瀬の姿に下條は苛立つ
──お前を堕とすのは、俺の筈だった──
不愉快さと懐かしさで複雑に絡まる気持ちをよそに、下條の口からぽろりと言葉がこぼれる。
「金ならくれてやるから、俺に飼われるか?」
インテリヤクザなゲス男とホームレスでヒモなクズ男、ふたりの人生が再び交わった時、未来はどこへと繋がっていくのか……青春時代に止まった世界へ新たな轍が刻まれ始める!
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丸々一冊表題作で、ダークな雰囲気のお話でした。
まぁまぁ面白かったけど、はっきり言ってちょっと生温いというか、思ってたほどクズだとかゲスだとか感じる部分がなくて少し拍子抜けしてしまいました。(出だしは良かったんですけどね…)
あと、ストーリーが微妙に分かりづらかったです。
二人とも似たような喋り方をするので時々、「これどっちの台詞?」って思うところがあったり、現在、過去とシーンが何度も切り替わる所為で全体的に話のテンポが悪くなってるようにも感じました(^^;)
久瀬が実は警察だったという展開は意外で面白く感じたんですけど、その後の展開がどうにも分かりづらくて途中で何度も「んん??」ってなってしまい、なかなか物語の世界に入り込む事が出来なかったです。
あと、これは完全に私の好みの問題なんですが、下條が攻めの方が良かったなあ…と(笑)
一応、リバップルなので下條が攻めをする時もあるようですが、作中では久瀬×下條のシーンしか描かれていないので、下條×久瀬派の自分としてはやや不完全燃焼気味…(笑)
ただ、最後の方にある騎乗位シーンは色気があってとても良かったです。
タバコをふかしながら久瀬の上に乗っかる下條が男前で、CPに不満のある私でも思わず萌えてしまいました(^^)
まぁ、設定自体は悪くなかったので、後はもう少しストーリーを分かりやすく、じっくり進めてくれたら評価も多少変わっていたかもしれません。
全体的にシリアスで糖度低めのお話ですが、重過ぎるという事はなく割とあっさりしているので、適度にスパイスのきいたビターテイストのお話が好きな方にお勧めしたい作品の一つです。