現代イスラーム世界論

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  • 名古屋大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (928ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784815805357

作品紹介・あらすじ

現代イスラーム世界の成立と展開、激動の現在と今後の展望を、国際社会との関係の中、思想と政治・社会・経済の動態的連関を軸に捉え、イスラーム復興が今日の世界にもたらした巨大な運動の全体像を描ききった画期的労作。

感想・レビュー・書評

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  • アミン・マアルーフ「サマルカンド年代記」で描かれた、アフガーニー像が魅力的だったので、「第8章 アフガーニーのイスラーム改革とその遺産 」のみ読了。思想家としては一級で、タバコ・ボイコット運動をはじめ、各国の運動に影響を与え、またムハンマド・アブドゥをはじめ多くの後継者を産み、20世紀のイスラーム世界が直面する、西洋文化との対峙で生じる問題について、先駆的に考えていた、と。その反面、思想を実現するための、政治的力量には疑問符がつくとするが、各国を点々とする身には酷な評価では、と。そして、流浪の身として、政策実現のために、宮廷に近づき、宮廷闘争に巻き込まれ、追われる、ということが間々あったとし、最期についても、そうだったのではないか、と。

  • 前から気になっていたが、その価格と頁数でなかなか手が出せなかった本。やっと踏ん切りがつき、読み始めたはいいが、イスラムの過去、現代、未来についての造詣が自分になさすぎ、何度も挫折してやっと読み終わった。

    本当は、辞書のように気に入ったところだけ読むという使い方ができると、この本の良さをより感じられるのだろう。

    19世紀以降のイスラーム復興について取り扱った7章から12章は、今までざっとしか理解ができていなかったそのテーマの話を、恥ずかしくない程度まで理解を深めることができたように思う。

    またイスラムは、学校で勉強したよりもはるかに、外からの影響で変革してきた部分が大きいことが分かった。

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著者プロフィール

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授。専門は、イスラーム学、中東地域研究、比較政治学、国際関係学、比較文明学。
 1953年生まれ。北海道夕張市出身。1983年エジプト国立アズハル大学イスラーム学部卒業。1984年国際大学大学院国際関係学研究科助手、1985年国際大学中東研究所主任研究員・主幹、1990年英国ケンブリッジ大学中東研究センター客員研究員、1997年国際大学大学院国際関係学研究科教授などを経て、1998年から現職。2006年より同研究科附属イスラーム地域研究センター長併任。京都大学・法学博士。1986年流沙海西奨学会賞、1994年サントリー学芸賞、2002年毎日出版文化賞、2005年大同生命地域研究奨励賞を受賞。2005〜2011年日本学術会議会員。
 思想史においては7世紀から現代に至るアラビア語で書かれた史資料を用いた研究をおこない、現代に関してはアラブ諸国とアラブ域内政治を中心に中東を研究し、さらに近年は広域的なイスラーム世界論を展開してきた。また、日本からの発信として「イスラーム地域研究」を歴史研究・原典研究と現代的な地域研究を架橋する新領域として確立することをめざしている。
【主な著書】
『現代中東とイスラーム政治』(単著、昭和堂)、『イスラームとは何か─その宗教・社会・文化』(単著、講談社現代新書)、『ムハンマド─イスラームの源流をたずねて』(単著、山川出版社)、『「クルアーン」─語りかけるイスラーム』(単著、岩波書店)、『イスラーム帝国のジハード』(単著、講談社)、『現代イスラーム世界論』(単著、名古屋大学出版会)、『イスラームに何がおきているのか─現代世界とイスラーム復興』(編著、平凡社)、『現代イスラーム思想と政治運動』(共編著、東京大学出版会)、『イスラーム銀行─金融と国際経済』(共著、山川出版社)、『岩波イスラーム辞典』(共編、岩波書店)、『ワードマップ イスラーム─社会生活・思想・歴史』(共編、新曜社)、『京大式 アラビア語実践マニュアル』(共著、京都大学イスラーム地域研究センター)、Intellectuals in the Modern Islamic World: Transmission, Transformation, Communication(共編著、Routledge)、Al−Manar 1898−1935 (監修、京都大学COEプロジェクト、アラビア語『マナール』誌・CD−ROM復刻版)他。

「2011年 『イスラーム 文明と国家の形成』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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